のいばらにっき
たき



 歌舞伎見てきました。(長くなっちゃった…)

歌舞伎を見てきました。
といっても、幕見で900円(税込み)だから、映画見に行くのと大差ないんですよ。そりゃあ、いつかは一等桟敷で通しで見たいと思いますけどねー。そして吉兆のお弁当を食べるのさ。店は無理でもお弁当なら何とかなるかも知れないし。(切ない)
ま、ともあれ。
『本朝廿四考』−十種香− という演目を見て参りました。
八重垣姫という長尾(上杉)のお姫様と武田勝頼の(まぁ大雑把に言えば)恋物語です。
八重垣姫は歌舞伎の“三姫”と呼ばれる歌右衛門の家の芸。……だそうです(^^;)
まぁ、人形浄瑠璃が元になってるお話で、見た感じ、確かに浄瑠璃っぽい感じはしました。
でーもー。もう、そんなことより。

姫様可愛いーっ!!

もうね、可愛いんですよ。八重垣姫が。
お話の舞台は戦国時代。
犬猿の仲の武田の嫡男・勝頼と長尾(上杉)の八重垣姫の政略結婚がまとまるんですが、色々あって、勝頼は切腹してしまいます。
勝頼の許婚だった八重垣姫は、会った事もない許婚の訃報に泣き暮らす毎日。
そんな折、長尾の家に濡衣という女と簑作という花作りが召抱えられます。
ところが、切腹したのは実は影武者で、この簑作こそ勝頼本人だったのです。
濡衣は勝頼の影武者の恋人で、二人は長尾の家にある武田の家宝を取り返す為に身分名前を偽って潜り込んだのでした。

で。こっからお芝居が始まるんですが。や、まじで。だって一幕だけだもん。
おいしいトコ取りなのね。一番人気のあるところとか、見てて面白いだろうなってトコを、長ーいお芝居の中から切り取って、そこだけやっちゃう。
でも、面白いんですよ。流石に、クライマックスとか、盛り上がるトコとかだけ、やってるだけのことはあります。(苦笑)

話は、八重垣姫が勝頼そっくりの簑作に一目惚れしちゃうところから始まります。
そのあと、しらをきりとおすつもりだった勝頼と濡衣は、姫様の強烈な思いに負けて正体を明かし、恋する二人は初めて出会ったのでした。
しかし、それも束の間、姫の父親(謙信)の命により二人は再び離れ離れに。さらに、簑作の正体を知っていて召抱えた父親は、勝頼暗殺の者を二人も放つのでした。

っていう、ある意味ものすごい所で終わるんですけど。
もう、イキナリ始まっていきなり終わる感じ。
でもね、ここの見どころは、なんてったって姫様ですよ!
会った事もない許婚の訃報に泣き暮らしていたかと思ったら、その許婚(の絵姿)にそっくりな若者に一目惚れをかますし。その若者と知り合いくさいお女中(ちょっと違うか……)に仲立ちを強引に承諾させるし。それでも人違いだと言い張る男にどうっても受け入れられないと知るや「自害してやるぅ〜」とまで言っちゃう。
そして、実は本人です。と言われた途端にころっと幸せになっちゃう。
それがね、もう、可愛いんですよ。
仕種とか、動作とか。そりゃあ、現代劇に比べたら、ものすごい大きくて大袈裟な動きなんだろうけど、でもね。
そう思えないの。
もう、ただひたすらに可愛い。
演じてるのなんか五十代のおじ様ですよ。でも、全然そう見えない。
そこにいるのは(多分)初めての恋に舞い上がっちゃってくるくるしてる、初々しいお姫様なの。
すげぇよ。さすが伝統芸能。だてに何百年も続いてないよ。
や〜面白かった。そのうちまた行こうかな。
やっぱね、千本桜と葛の葉がみたいです。変化(へんげ)のある派手なやつ(笑)

2002年04月06日(土)
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