のづ随想録 〜風をあつめて〜
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2001年09月10日(月) さだまさし『精霊流し』に三度泣いた。

 さだまさし『精霊流し』に三度泣いた。

 フォークのスタンダードと言ってもよい名曲『精霊流し』ではなく、ここでは最近出版されたばかりの本格書き下ろし小説、さだまさし著『精霊流し』を指します。
 なんや聞くところによればテレビ番組『ほんパラ!関口堂書店』とかいう書籍紹介番組の中での企画で生まれた本であるらしく、さだまさしファン歴23年のこの俺がうっかりその企画が進行していることすら知らなかった。7月某日のさだまさしメールマガジンでそのことを初めて知り、8月末の発売をそれはそれは首長竜となって待っていたのでした。

 厚さ2センチちょっとのハードカバー、約400頁。実に久しぶりにこんなごっつい本を買ってホンの一瞬だけひるんでしまったのだが、ページをめくってしまえばあっという間に引き込まれ、読み始めてから3日もしないで読み終えてしまった。
 もちろん、俺にとって“さだまさしが書き下ろした小説”という点がなにより親しみやすかった。自伝的小説であり、八編の短編小説は当然『精霊流し』というバックボーンに沿って描かれているのだが、実はこれらのほとんどが、さだまさしのコンサートでのMCで何度も語られている“名エピソード”であることは、さだまさしファンならすぐに気づく。そんなことも手伝って、一気に読めてしまったわけだ。

 三度泣いた。
 いや、正確に言うならば三度涙があふれてきた、が正しい。本を読んで涙を浮かべたのは倉本聰著『ニングル』以来である。『ニングル』はマジで涙が頬を伝うほどで、深夜までかけて読み通した名作だ。
 そしてこの『精霊流し』。
 まあ、さだまさしファンでないと書店で手にしにくい本かも知れないが、その中身は少年時代や青春時代の挫折や愛情をやさしく切り取った鮮やかなフォトグラフでもある。
 気が向いたら、書店で緑色の表紙を見かけたら立ち読みでいいから、第五話『精霊流し』を読んでみて。

(幻冬社 さだまさし『精霊流し』 1429円+税)


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