のづ随想録 〜風をあつめて〜
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【のづ写日記 ADVANCE】

2002年01月24日(木) 最近、また……

 最近、また蕎麦やうどんを食べるようになってきた。
 どうも俺には、興味を示すモノに対してもバイオリズムというか気持ちの盛り上がりというか、“波”があるようだ。誰でもそうなのかな。今はすっかり“蕎麦モード”の俺であります(瞬間的に“カツカレーモード”にもなるんだけどね)。
 もともと蕎麦好きで、関連書物をちょこちょこと趣味レベルで読んだりもしている。どちらかと言えば、うどんよりは蕎麦、というスタンス。正直な所、蕎麦のほうが“通”を気取れるような風情がある、というのもその理由の一つだった。
 先日、俺の住む埼玉県内の美味い蕎麦屋うどん屋を紹介する本の改訂版を購入した。その本が出版されていることはもうずいぶん前から知っていたのだが、昨年同じ本をすでに購入していたので特別手に取ることもなかった。たまたま書店でその改訂版をぱらぱらとめくっていたら、昨年のものより紹介されている店も増えていて、「こ、これは……」と唸り、即購入。最近はこの本を頼りに、昼時になると蕎麦屋ののれんをくぐる、という具合だ。
 ある日、昼時をとうに過ぎた時間にある蕎麦屋に入った。店内には地元の住人らしい老夫婦が座敷に座っているだけだった。俺はさっさと注文すると、ほどなくして出されたせいろそばを一気にたぐった。うん、美味い。時折薬味に添えられている本山葵を少しなめつつ、俺はあっという間に食べ終わった。蕎麦湯で一息ついていると、
「今日はすこし暖かいですね」
 と、店の奥さんらしい女性が話し掛けてきた。そうですね、と答え、俺は続けてこのせいろが大変美味しかった、と告げた。奥さんは微笑んで、
「昨日は寒かったでしょう? だからうどんばっかり出て大変だったんですよ」
 奥さんは問わず語りに話し始めた。
 もともと埼玉県は良い小麦のとれるところ、ということになっていて、俺の好みとは逆に『蕎麦よりもうどん』という土地だ――ということは俺も知っていた。昔はどこの家でもうどんを打つのが当たり前だったらしい。だから、埼玉では蕎麦だけでは商売にならないのでうどんもやっている――というような話を聞いた。茨城の蕎麦粉も使っている、と聞かされ、俺の実家が茨城であることを話すと、奥さんはなぜか目を丸くして驚いていた。
 美味い蕎麦をたぐり、店の人と蕎麦の話ができる。おだやかな午後の時間が店内にゆっくりと流れていた。
 もう少し蕎麦談義に花を咲かせたい――というよりはいろいろ教えていただきたい――気分だったが、蕎麦屋で長っ尻は無用、「じゃ、ごっそさん」と俺は店を後にした。


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