2002年07月31日(水)



この日は午前10時に池袋駅へ。
待ち合わせているのは他でもない。
下半身の底からアツイ男、とるねこだ。
なぜそんな早い時間に待ち合わせているのかと言うと
二人で温泉に行こう。
という話になったからだ。
温泉旅行という癒しの最上級にあげられるような
すばらしい日本の伝統イベントに
なぜムサイ男と二人で行かねばならないかは
読者の皆さんの想像に任せる。
と言うより、そっとしておくのが大人というものだ。

池袋駅からは
東武東上線に乗って北上する。
実はこの時点では私は行き先を知らなかった。
企画発案者のとるねこにすべてを委ねていたからだ。
そのまま妖しい土地へ拉致される危険もあったが
敢えて行き先を尋ねなかったあたりに
私の男らしさを感じてもらいたい。

初めて乗る電車に揺られること1時間ほど。
到着した駅は森林公園。
埼玉県は熊谷の近くだったと記憶している。

駅から出てみるとそこは田舎の風景。
池袋からたった1時間ほどなのに
これほど景色が変わるものなのかと驚いた。
懐かしい匂いがする。
私の生まれた土地もこんな感じの田舎だった。
故郷と違うのは日差しと気温。
暑すぎる。
日陰を伝って歩く僕に
同行者であるところのとるねこは
「ヘタレ」などと暴言を吐いていた。
忘れないようにメモっておいた。

駅前の蕎麦屋でメシを食い、
そこの店員に温泉までのバスは12時10分に出ている。
という情報を得てゆったりとバス停へ向かえば
実は12時きっかりにバスは出ていたという
そして次のバスは1時間後だという
一体なんの嫌がらせだろうかと思った。
仕方がないのでタクシーで向かったが
結構、高かった。

着いた温泉の名は「四季の湯」
四季と書いてトキと読む。
意味がわからない。
おそらく「強敵と書いて友と読む」の仲間だと考えられる。

そこは山の中にポツンとあって
温泉街のようにたくさんの温泉宿が軒を連ねているのとは違い
どちらかというとリゾート地的な感があった。
おまけに平日だったせいか人が少ない。
これなら精神的にも安らげそうだ。
とるねこちん。グッドチョイス。

早速、フロントへ。
せっかくなので
温泉+マッサージ+食事
がセットになったプランを選択。
畳み掛けるように風呂へ。

これがまたまた良い湯。
少し濁っていて塩気がある。
ナトリウム。とか。塩化。とか書いてあったので
まぁ、塩のことだろうとは思う。

露天風呂に浸かり、
水風呂に入り
泡風呂を経て
燦々と照りつける太陽の元
これでもかというほど浸かりまくった。

もちろん混浴にも入った。
ていうか入らないなんて有り得ない話と言える。
むしろ混浴こそ露天風呂の真骨頂だと私は考える。
混浴なくして人生楽しめるだろうかいや楽しめない(倒置法)
ただ惜しむらくは、水着着用が義務付けられていたことと
若い女性がいなかったことだ(致命的)
まぁ、高さ9mもある打たせ湯もあったことだし
許すことにする(唇かみ締めつつ)

その後、休憩がてら一度風呂を出て
マッサージを受けることにする。
なにを隠そう私はマッサージを受けるのは生まれて初めてだ。
そう。初体験(顔を赤らめつつ)
痛くないか心配だったが
これがまたすばらしく気持ちが良い。
危うく寝そうになった。
マッサージ士の人が年配のおばちゃんだったから
上手だったし余計に安らげた。
これがもし若いお姉さんだったら
これほどまでには安らげなかったろう(いろんな意味で)

20分という時間制限だったので
終わった後にとるねこと二人で
短すぎる。という意見が一致し
あとで再びマッサージを受けることにする。

そしてもう一度風呂へ。
温泉は何度も出たり入ったりするのが良い。
今度は半身浴などで軽く流す。
それだけでも十分汗が吹き出てくる。
自分の腕や胸から汗が流れ落ち
伝っていくのを黙って感じながら
山に吹く風を楽しんだりした。
これこそ温泉だ。癒しだ。素晴らしい。

風呂から上がってメシにする。
ソバがえらく旨かった。
コシがある。
気に入ったので土産やで生ソバを買った。

それから足ツボ指圧をやってみる。
僕は基本的に健康であるし
自分で足の裏を押したくらいでは
全然痛くもなかったので
別に平気だろうと思っていたら
これが大間違いで
えらく大変な目にあった。
ミリミリ。とかミチミチとか
変な音がしてたと思う。
どうやら僕は腰あたりが弱っているようだ。
あと目とか腕とか頭とか。
内臓は比較的なんともなかったと思う。
それにしてもほんと痛かった。
なぜか左足の方が痛かったが
それは右半身が疲れているということだろうか。

足ツボをしてくれたお姉さん(30代くらい)は
なかなかステキな女性で
笑顔のかわいい(おそらく人妻)だったが
腕をみると血管ムキムキで筋肉質。
まるで男の腕だった。
やはりこういう仕事をしていると
そうなるのだなぁと思ったりした。

さて。私の足ツボマッサージも無事に終わり
続いて同行者であるところのとるねこの番であるが
彼は始める前から
「俺は叫ぶから」
と宣言していた通り、
びっくりするくらいのヘタレぶりでもって
「あっ。あひっ。」
などと声にならない声を発していた。
ちなみに口は常時開いていた。
その表情を記念撮影したのが
みなさんに見せられないのがとても残念だ。

そうこうしてる間にすでに5時を過ぎてしまったので
帰途につくことにする。
私がトイレに入ってる間に
バスが行ってしまい
1時間ほど待つハメになったが
同行者であるところのとるねこは
笑顔で許してくれた。
愛を感じた瞬間だ。

正直言って、帰るのはとても面倒だった。
バスで15分。電車で1時間。
それでようやく池袋だ。
比較的近いとはいえ
温泉に入ってマッタリした後に
混み合った電車に乗るのは気がめいる。
自分の家に温泉ほしい。

途中、池袋でとるねこオススメのパスタ屋で
舌鼓を打ちつつ
新宿でお別れ。
家に帰りました。

総合的に見ると大成功の温泉旅行だったのではないかと思います。
急遽計画を立ち上げて行った割には
満足できるものでした。
とるねこに感謝。
とても楽しかったです。
男二人で旅をするのも悪くないね。
でも今度は女連れて来い(煙草プカァー)
また行こう。


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2002年07月24日(水)


最近、私は残業が多いので
寮で晩飯を食っていない。
寮の飯がマズイってのもあるが
空腹に耐え切れずにいつも駅前の定食屋で済ます。
だがここのところ同じ店ばかりで
メニューも大抵制覇したので飽きてきた。
よって今日は新しい店の開拓にチャレンジした次第だ。


ガラガラ。
のれんをくぐって入った私に
店員が元気な挨拶をする。

「イラシャイマセー」

文字ではうまく伝わらないかもしれないが
シャチョサーン。と同じイントネーションだと思ってもらいたい。
キツイぜ。
いきなりカウンターを合わせられた感じだ。

動揺を隠すように僕はメニューから
今晩の食事を選ぶ。
お。ウナ丼があるじゃないか。
そういえばつい先日は土用の丑の日だった。
ウナギを食わなければ。


俺>「すいません。じゃぁウナ丼ください」

店員>「ハイ!ウナトンイチョー!(ウナ丼一丁のつもりらしい)」


すると奥の厨房から合いの手が



奥の店員>「ハーイ!ナトイーチョー!(納豆一丁?)」

言えてないし。
つーか納豆頼んでないから。



ちょっとリッチにウナギを頼んだはずが
納豆を出されてはたまらない。
格下げもいいとこだ。
どうしようかと思案していたら
さっきの店員が


店員>「チガウよ!ウナトンよ!(ウナ丼のつもりらしい)」


と訂正してくれた。
ほっ。助かったぜ。


と思ってたら


奥の店員>「エ?ナトーでショ?」

通じてないし。





店員>「チガウよ!ウナトン!」

奥の店員>「ナトー?」

店員>「ウナトン!!」

奥の店員>「ナトー?」


(ここらへんで私的にはウナ丼とかもうどうでもよくなった)


店員>「チガーウ!」(キレかけ)


奥の店員>「ナトー?」


(ここらへんで私的には笑いを堪えるので精一杯だった)


奥の店員>「○×α$★д!!епΘ○Λ!!・・・!!」(何語なのかサッパリ)

店員>「ゝЩ%б!#�罅�ёи!!チガウ!!ΨΞτΧΩψ!!」



(私的にはこのへんで自分も参加したかった。ナトー?)



アタリだな。この店。
飯食えた上にコント見れた。
また行こう。


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2002年07月21日(日)



仕事の合間に一息つこうと
会社にあるカップジュース自販機で
ペプシを買ったら
原液のみが出てきて
試しに飲んでみたら舌が痺れる程の濃さ。
仕方ないのでそれは捨てて
次にデカビタを買うと
溢れ出す始末。
どうなってんだ。
rikuですこんばんわ。
温泉の話はもういいんじゃないかと思ってます。
さぁ!行ってみよう!
温泉の話の続きだヨ!(誰も読んでないとみた)



早朝、日も昇って間もない時間。
中学からの悪友的存在で言うところのあほたれタカシに
寝起き一発で叩き起こされて
杉の木しかない山奥を散歩。
たどり着いたのは一軒の家。



俺>あのー。タカシくん?

タカシ>なんだ。

俺>これはー。どうみても民家ですが?

タカシ>そうだな。

俺>この看板見えます?鉱泉って書いてありますよ?

タカシ>書いてあるな。

俺>鉱泉ってなんです?温泉に行くんじゃ・・・・

タカシ>俺もそのつもりだったがな。

俺>なんか石炭とか掘ってたら偶然出ちゃった。みたいな感じですか?

タカシ>そんな雰囲気を醸し出してるな。

俺>僕はてっきり登別温泉みたいな温泉街を期待してたんですが。

タカシ>俺もだ。

俺>早朝の5時ですけど、温泉入れますかって尋ねてみます?あの民家に。

タカシ>おそらく寝てるだろうな。

俺>大変失礼なことを申しますがこの旅は失敗だったんじゃ・・・

タカシ>うるせぇ!いいから黙って車に戻れやボゲェ!



それはそれはホレボレするほど
見事な逆ギレでした。


車に戻って二人で一服。
二人で今後の方針について話し合う。

まずは考えをまとめよう。
カーナビに従ってきたのが間違いだった。
そうだ。
温泉なんてほかにいくらでもあるじゃないか。
ちょっと寄り道したと思えば。
そういえば来る途中にも違う温泉の看板があったぞ。
おー。
いいじゃないか。
じゃぁそこに行こう。


ということで
安易に行き先を設定。
向かった先はまたもや砂利道。
周りは杉ばっかし。
まぁ、そんな予感はしてた。


俺>栃木ってこんな温泉ばっかなのかよ!

タカシ>知るかボゲェ!(キレるの早くなってる)


そうこうして
鉱泉とやらをいくつか回った後
ようやくそれらしい温泉街へたどり着く。

そこは塩原温泉という
なかなかの温泉街。
ホテルや民宿。
土産屋が軒を連ねている。
近くを流れる川も美しい。
周りを囲む山並みの緑に
澄んだ空気が映えるようだ。


俺>これだよ!俺はこれを待ってたんだよ!

タカシ>やったナ!俺達はついにやったナ!


と、無意味な達成感を満面の笑みで表現しつつ
だんだんテンションのあがる二人。

まずは目に留まった「足湯」
というものに使ってみる。
これは駐車場の隣にあって
しかも無料というところがいい。

昼間は観光客などで混むのかもしれないが
なにしろ早朝ということで
人気はない。

この足湯がまたいーんだ。
←コレ
最初はすごい熱いんだけど
それがだんだん心地よくなってきて
そんで足しか浸かってないのに
全身がホカホカして汗が吹き出てくる。
あれは体によさそうだったなぁ。

途中からきた地元の老夫婦と語らうことも忘れない。
北海道出身ということを話すと驚いていた。
このネタはどこにでも掴みに使えるから重宝する。

次に向かったのは
早朝からやっている温泉。
「野天風呂」という言葉に誘われた。
野天って!露天じゃねぇの?
グレードアップ版?!
よっし。浸かってやるゾぉ〜〜。


みたいなノリで行ったんですけど
まぁ普通の露天風呂でした。


でも貸切だったからくつろげたわー。
こう、体も心もほぐれてゆくようね。
隣にいるのがあの、あほたれタカシじゃなくて
キレイなお姉さんだったらもう言うことなしだったんだが。
その辺はまぁ悲しくなるので触れないでおく。





そしてさんざん温泉に浸かった後、
広間になっている休憩室で
地元のビールで乾杯。
いやぁ。僕はあまりビールは好きじゃないんだけど
あの雰囲気がいいのか。
それとも温泉がいいのか。
うまかったなぁ。





で。そのまま意識を失いました。
気がついたら昼。
周りにはいつのまにやらたくさんの温泉客。
結構混んでた。
なのに俺とタカシは大の字で熟睡。
しかも枕にしてたら座布団にヨダレとかついてた。
ちなみにタカシも。


やぁべぇ。
ということで逃げるように脱出。




スベスベの肌に驚きながら
帰途につき
途中、宇都宮などによって餃子を堪能。




なんだかんだいいながら
知らない土地にいって
いろんなことをしたので
楽しい旅だったんじゃないかと思います。
僕にはまだまだ知らないことがたくさんあり
そしてその中には
僕の驚くようなこともたくさんあるのだと。

それらを経験することに
時間や労力を惜しんではならない。
じゃないと人生つまらないじゃない。




そんなことを
今回の旅のまとめにして
次回、タカシに誘われた時は


断固とした決意でもって断ろうと思います。




もう帰りの渋滞とかウンザリ。

って3回に分けたわりには
つまらないオチですいません。
俺、こんな男(期待はずれ)




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2002年07月16日(火)



今朝もこ気味良い程鮮やかに寝坊しつつ
バス停へと急ぎ寮から飛び出せば
地面から飛沫があがるような土砂降り。
慌てて傘をさしたらピタっと止む始末。
俺がなにかしたかよ!
と、とりあえずキレておきました。
いつもどおりの爽やかな朝。
こんばんわrikuです。

あーもう。
仕事忙しい。
喉から手が出るくらい忙しい(なにがなんだか)
残業しすぎだよ。
仕事俺に振り分け過ぎだよ。


ということでかなり更新が開きましたが
前回の話の続きです。


突然、日光へと拉致されることを宣言された僕は
僕の中学からの悪友的存在であるところのタカシを
近場の温泉で済ませようとなんとか説得を試みたが
ミスチルを口ずさむところの
あのアホタレは一向に表情さえ変えず
カーナビの行き先をピピっと栃木へと設定したのでした。

まぁそのあたりになると
タカシとの付き合いが10年以上にもなる僕は
抵抗することを諦め
被害を最小限に留めることに
力を注ごうと決めたのでした。
つまり。
寝る。

なんというか。
もう仕事明けでそのまま徹夜する体力ないです。
ジジイとでもなんとでも言えばいいです。
無理です。
超無理。
ここで頑張って徹夜したところで
現地に到着したらテンション丸下がりだし
次の日は一日中寝ることになって
せっかくの休日が潰れてしまいます。
助手席で寝るのはマナー違反とかなんとか
どうでもいい。
俺は寝る。
そう決めたのでした。

その点、
僕との付き合いが10年以上になるタカシは
僕の安眠を妨げる恐ろしさを十分知っているので
なんの抵抗もなく
僕は眠りに入った。





=そして2時間後。=





ん。んんー・・・・。
なんだ。
やたら揺れるナァ。

と、激しい体の揺れに
僕は夢の世界から引きずり出された。
そしてその寝ぼけた目に飛び込んできたものは




















木。木。木。そして木。

木。おんりー。













僕は・・・・。
はるばる北海道から・・・・。
日本一の大都市、東京に・・・。
出てきたはずじゃぁ・・・・・。

お、お母さん・・・(幼児退行)



タカシ>あ!おはよう!よく眠れたか?!もうすぐ着くぜ!

俺>ちょっと待て。ここはどこだ。

タカシ>オマエ、こんなに揺れてるのによく眠れるなぁ!
カーブ曲がる度に足がグラングラン揺れてたぞ!ぎゃははは!!

俺>だからここはどこなのっ!

タカシ>お。ここから先はRV車じゃないと入れませんってさ!歩くぞ!

俺>っざけんなよ!っざけんなよ!





という具合に
寝起き一番で杉の木しか見えない山奥を散歩。






俺>つーか道とか、明らかに崖崩れの跡とかあるんですけど。

タカシ>山の中だからな。

俺>電線とか見当たりませんが?

タカシ>人住んでないんじゃないかな。

俺>砂利道ですよ?

タカシ>舗装する必要ないからな。

俺>温泉とかあるんですか?

タカシ>カーナビを信じられんのか?

俺>つーか坂、急だよ!急過ぎだよ!

タカシ>気持ちのイイ朝だなぁ。

俺>疲れた!もう歩けないモン!

タカシ>うるせぇ!いいから黙って歩けやボケぇ!


そんな問答を続けること5分。
見えてきたのは一軒の家。


果たして僕は温泉に入れるのだろうか。
つづく(またかよ!)


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2002年07月14日(日)



部屋の温度が35度もあるんだけど!
おかしくねぇ?!
あり得なくねぇ?!
死んじゃわねぇ!
ク、クククククーラースイッチオン!
出力最大!


こんにちわ。
死への恐怖と日夜戦う
エマージェンシーrikuですけども。


昨日は温泉に行ってまいりました。
ふふ。
上京してからはじめてのことです。
優雅な週末。
この疲れた体に
自然の生み出した素晴らしい癒しと
薬効成分をバビっと染み込ませて来よう。
という腹でした。予定では。



本当ならば土曜の朝に出発するはずだったんですが
この旅の同行者である
僕の中学からの悪友的存在でいうところのタカシが
「今から行かね?」
とわけの分からないことを言い出し
金曜の夜11時くらいに八王子を出発したわけです。
ほんと意味分からない。



サービス業のタカシは仕事明けでテンションが異様に高い。
ていうかウザイ。
逆に僕はその日は仕事が忙しかったし
日中は暑かったのでかなりグッタリ。
しかも夜の11時なんていつもなら寝てる時間です。
猛烈な眠気を感じながら
タカシの話にいい加減に相槌を打ちつつ
でもまぁ温泉に入れば元気になるだろう。と思い
ノリノリで車を走らせるタカシに

「ところで温泉って一体どこの温泉に行くんだ?」
「この近くに温泉なんてあるのか?」
「こんな時間に行って開いてるのか?」

と、実に初歩的な
本来ならば出発前に確実に抑えておくべきことを
タカシに尋ねた。


その時、タカシは
カーステレオから流れるミスチルの新曲を口ずさみながら
お。今の娘かわいかった。
とか歩行者の中から女性を目ざとく見つけつつ

「んとね。日光いこう!日光!」

と言いやがったのです。




・・・・・・・。
あれ?
それって何県?


関東近辺の地理に詳しくない僕にでも
その日光という土地が
都心からかなり遠いということくらいは分かります。
というかなぜ県外?
近場なんじゃないの?
泊まりとか聞いてないし!


お、おろおろ降ろして!
僕を車から降ろして!
おウチに帰る!


僕は頭からビニール袋を被せられた猫のように
ドアをガチャガチャやりつつ取り乱したんですが
タカシの野郎は相変わらずミスチルを口ずさみながら
無表情でドアをロックしたのでした。
とても冷たい目でした。



捕獲完了。
こうして僕の関東初の温泉旅行が始まる・・・。

つづく。

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2002年07月12日(金)


その日は雨だった。
ただの雨ではない。
大雨と言ってもよかった。
大粒の雨が
横風にあおられ
僕と外気を隔てる窓にぶつかっては
下方へと流れ消えてゆく
その様子は絶え間なかった。


台風が近づいていた。


オフィスの中は
空調もしっかりと管理され
一定の温度と湿度を保ち
外の気配を毛ほども僕に伝えなかったけど
インターネットのニュースや
携帯で流れてくる情報で
この台風はかなりの猛威を振るっているらしいと分かった。
僕の生まれ育った北海道では
そうそう大きな台風が来ないので
僕は内心わくわくしていたが
定時が過ぎて
オフィスビルから出ようとした時、
その
傘も用を成さない状況に
一体どうしようかと
足を止めたほどだった。


しかしこのまま雨がやむのを待っていても仕方ない。
電車が止まって帰れなくなるのも困る。

僕は意を決して斜めに降る水滴の壁へと。


雨の中、
まず第一に思ったことは
この街の雨は
北の雨とは違って
冷たくはないんだということ。

たまには濡れるのもいいんじゃないかということ。

そして家に帰ってから浴びる
熱いシャワーのこと。


踏み出す度に足元で跳ねる水しぶき。
横を追い越していく車の音。
傘を透かして見える街明かり。


どれもがまるで
行き急いでいるように
いつもより明らかに
早く動いていた。
そう
感じた。




あなたに会ったのはそんな時でした。



お元気ですか。
あなたはスーパーの前で
困った顔で空を見上げていた。
雨の中、
突風に傘を折られてしまった不運な人。


例えば、
通りすがりの人とふと目が合った時。
あの時のあなたの
心細さが伝わってくるような目を思い出す。
僕は思わず
傘を差し出してしまったほどだ。




お元気ですか。
あなたは
とても申し訳なさそうな顔をしながら
僕の傘へと入ってきた。
雨の中、
助けを手に入れた幸運な人。


例えば
買い物袋を抱えて歩いている人を見かけた時、
僕の申し出に
何度もお礼を言いながら
荷物を僕に託した
あなたの細腕を思い出す。
その腕にあの荷物は似つかわしくない。



お元気ですか。
あなたは駅で
僕が見えなくなるまで
改札口に立っていた律儀な人。


例えば
電車の窓を通して
名残惜しそうに別れを惜しむ恋人達を見ると
あなたのはにかむ笑顔と
心に湧き上がる
満足感を思い出す。
あなたに傘を差し出して
本当によかった。





お元気ですか。
僕はあの時と同じように元気です。

わずかな時間だったけど
僕はあなたのその
優しい雰囲気が
とても好きでした。

お元気ですか。

もしまた会うことがあるならば
その時はどうか
雨の中でと
思っています。


























腰の曲がったお婆さんでしたが。

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2002年07月05日(金)



僕は大学時代を海辺の街で過ごした。
自宅の前から海が見えて
カモメも時折、潮風と共に飛んでくる。
天気が良い時は
講義も自主休講にして
よく浜辺で昼寝をした。
真夜中に眠れなくて
波の音を聴きに行ったこともある。

そんな環境で生活してきた僕には
東京に来てなにがつらいかって
海が見えないことだ。
上京して3ヶ月。
東京の海へは
まだ行った事が無かった。

確かに海は
見ることなく生活しても
さして問題はないけれど
例えば、海を見たいとは思わなくなるような
そういう毎日に慣れてしまうのは
避けるべきなんじゃないかと
そう思ったんだ。
乾いた人間になるのはごめんだ。


だからある日
買い物に出かける予定をなかったことにして
海のある街へと向かう電車に
ひょいと飛び乗ったのは
それは当然の成り行きだっただろう。


どうだろう。
あの開放感といったら。
流れる風景は見たこともない。
乗ったこともない路線で
初めて行く街へと向かう。
そしてそこには海があるのだ。
これ以上にうきうきすることがあるだろうかと
僕は思った。
駅から海への道のりを想像することは
誰にだって楽しいことだ。
行きがけに商店街でもあれば
アイスクリームのひとつもほおばって歩こうか。

そんなこと考えながら
1時間もしたころに着いた街には
君がいました。


元気ですか。
あれを最後に
僕らは会ってはいないし
これからだって会う事はないだろうけど
ちょっとした時、
例えば自動販売機の前で小銭を落とす人を見た時
拾ってあげた小銭を僕の手から受け取る
君の笑顔を思い出す。

僕はただ
目の前に転がってきた硬貨を
拾い上げただけなのだけど
「ありがとう」
と言いながら笑いかけた君の表情に
僕は立ち尽くしてしまった。


元気ですか。
あの時、なぜ君は
どこの誰かも知らない僕と
海を見に行ったのか
今でも、聞いてみたいと思う。
例えば水分を多く含んだ風が吹くと
砂浜についた君の足跡を思い出す。
前を行く白い素足を
まともに見ることが出来なかった。


元気ですか。
僕らは別れ際に
さよならも言わなかったけど
最後まで見とれるほどかわいい笑顔だった君に
僕はなにも言えなかったのだと
気付いていただろうか。
例えば街で
髪の長い女性を見かけると
もしかしたら君ではないかと
目で追ってしまう。


元気ですか。

僕はあの時のように
元気です。

























まぁ、全部嘘ですけどね。

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日記才人