遅すぎて
泣いていたね
あの時
確かに
風が吹いて
雪柳の花びらが
ひらひらと舞う
君の髪が
顔にかかって
さしのべた僕の手を
はらった
ずるいと
たった一言
君の声と
君の顔が
忘れられない
余禄
「死ね」って
言われたこと
ある?
そのとき
頭にきた?
悔しかった?
僕は
「あぁ、やっぱり」って
思ったよ
世の中に
要らない存在だと
自分でも
思ってたから
でもさ
死ぬときぐらいは
楽な死に方がいいなぁ
そんな感じで
今日まで
生きながらえてるって感じ
君は我が運命
好きとは
言わない
愛しているとも
ただ
必要なんだ
卒業 HAPPY STORY
APRIL
窓際の前から2番目の彼の席。
MAY
校舎の前の並木道は新緑の世界。
JUNE
居眠りをする彼は
初夏の木漏れ日に照らされて。
JULY
校庭で水遊びをする彼。
水滴が彼を演出する。
AUGUST
彼に会えない夏休み。
今頃何をしているのだろう。
SEPTEMBER
はちまき姿の彼が
生き生きと駆ける体育祭。
OCTOBER
金木犀の花が香る中庭。
パンをかじる彼と目が合って。
NOVEMBER
文化祭。照明に透けるシャツ。
ステージの彼が遠くに見える。
DECEMBER
街中がジングルベル。
出せないままのクリスマスカード。
JANUARY
元旦の朝、彼から届いた
「あけましておめでとう」
FEBRUARY
どうしても直接渡せなかった
チョコレートは彼の机の中。
MARCH
「あの…よかったら
ボタンもらってくれる?」
驚いてうれし泣きの私
慌てふためく彼
CONGRATULATION!!
サヨナラのあとに
くるりと背を向けた
あなたの腕をつかんだ
抱き寄せて
くちづけた
沈丁花の香り漂う
路地裏で
そっと
ためいきをひとつ
このまま
離したくないなんて
きっと
陳腐に聞こえるだろう
抱いた腕に
力をこめて
もう一度
くちづける
枝垂桜の
淡い明かりの下で