君に望むこと
君に いつも
笑っていてほしい
君の涙に
僕の心は
千千に乱れて
だから
君にふりかかる
苦しみや
悲しみ 痛みを
すべて
この身に受けよう
離れていても
君が笑っていてくれるなら
名も無き貧乏詩人よ
街のイルミネーションに
遠き彼の地を思う
子供たちは まだ
泥のような水を
飲んでいるのだろうか
大人たちは まだ
食べるものもなく
暮らしているのだろうか
私には
金も
力もない
無力さに
消えてしまいたくなる
祈ることしかできない
その祈りが
天へ届くことを願い
ただ
祈ることしか
この河を
泣きじゃくる
あなたの手をひいて
土手を歩く
冬の午後
ゆくあてもなく
交わす言葉も
見つからなくて
時折 夢を見て
真夜中に 目が覚める
もう「あの頃」ではないのだと
再び 眠りにつく
ある朝 登校すると
上履きがなくなっていた
それ以来 登校しては
上履きをさがすことが
日課になった
ごみ箱の中や
下駄箱と壁の間に
あったこともあれば
どこにも
なかったこともあった
十数回 新しく買って
そのうちに
毎日 家に持って帰ることを
思いついた
ある昼 予防接種があって
上着を置いて 保健室に行った
帰ってきた時
床に落ちていた上着には
幾人もの足跡がついていた
教師は
”間違えただけかもしれない”と言った
見て見ぬふりをしていてくれたほうが
よっぽど マシだった
心が成長していない人も
「大人」とよばれてることを知った
雪の朝 登校する時
窓から 数人が顔を出して
ニヤニヤと笑って こっちを見ていた
嫌な予感は当たって
タイルの中庭で滑って 転んだ
どっと笑い声が上がって
他の人を呼びに行った奴もいた
その日以来
早朝に登校し
窓から死角になる壁をつたって
校舎に入ることにした
ある放課後
下駄箱の中の靴には
爪先から踵まで
泥が詰まっていた
仕方がないので
それを両手に
上履きのまま
家に帰った
ああ 古い傷を
えぐるような真似は
もう 止そう
何故 そうまでされて
学校に通っていたのか
未だに分からない
ただ 逃げられなかっただけ
立ちすくんだのか
途方に暮れていたのか
14歳だった
涙の海
君の心が
流す涙を
すべて
受けとめよう
そうして 僕は
涙の海になる