判っている。 どんなにやるべきことが滞っていたとしても、時は止まらないのである。 でも、ムンクのポーズで
「あああああ!このままじゃ年が越せないいい!!」
と叫んでしまう。
風邪で寝込んだせいでイヴもクリスマスもぶっ飛んだ。 年賀状は、諦めた。 送っていただいた分に、返事を書くことにしよう。 今日は、散髪したりとか、新居建設予定地に立て札立てたりとかするつもりだったが、忘年会後朝帰りしたランディが使いものにならなかったために断念。
このクソ忙しい最中、階下が水漏れしてるというので、朝10時に、水道管の取替えがやってきた。 銀行に行こうとしていたところだったので、苦情を言った。
「午後からじゃありませんでしたか?」
「えー?いえ。午前中と言うことでお願いしていたと……」
「午後からとお願いしたはずですが!?」
「……すみません……」
最初から謝れ。
床を切って、下水管チェック、上水の方のメーターもチェック。 修理人が首を捻る。
「漏れてる形跡無いですねぇ……」
そのまま修理人は帰って行ったが、夕方になって、食洗機を使っていると、階下の住人がやってきて、まさに今、天井から水がだだ漏れだと言う。 既に修理が来て、異常はなにも無い、と言われたことを伝えた。 30日に、また再度、修理が来る。 この忙しい時期に、また半日潰れる。
2003年12月22日(月) |
今年の風邪はタチが悪いと毎年言うが |
吐き気・胃痛・関節痛で目覚めた。
ランディのお母さんがくれた富山の置き薬を飲んだが、全く収まらず、のたうち回る。 わたしと同じものを食べているランディの方は特に異常はない模様。 違うと言えば、昨晩、すき焼きを食べるとき、わたしは生卵をつけ、ランディは鍋の中に卵を割り入れて火の通ったのを食べたというくらいだが、余り関係は無さそうだ。 エレベーターの無い5階建ての5階に住んでいるので、帰りが憂鬱だが、翌日が休日なので、歩いて三分の医院に行くことにした。
体温36.9度。
「多分、風邪でしょう。今流行ってる風邪は、胃腸に悪さするようですので」
と、抗生物質、整腸剤、胃薬を処方された。
死ぬ思いで階段を昇り、自宅に帰って薬を飲むために、なにか胃に入れようとしたが、クラッカー1枚さえ消化出来ずにトイレの住人に。 多分、薬も吐き切ったと思われる。
夜になり、体温が一気に38度台に上がった。
うとうとと寝入っても、腰痛い背中痛い頭痛い気持ち悪いで一時間毎に目覚めてトイレに通う。
夜勤明けのランディにゼリーだのプリンだのを買ってきて貰い、病人気分を満喫した。
工務店の人によると、
「広告に『地盤調査結果良好』とあったんで、不動産屋に電話して、結果のデータを請求したんですけどねー。『ごめんなさい』って謝られちゃいましたよー。やってなかったらしいですね。地盤調査」
と、いうことで、レベル調査と並行して、地盤調査も来るらしい。 信頼出来る業者を選んではいるが、その方が、手抜きをしないか監視も出来て都合がいいらしい。
新居を建てる予定地に行ってみたら、近隣の家を建てる際に出たと思われる土砂の類が山積みになっていた。
工務店の人によると、「ロープ張るか、立て札立てておいた方がいいですね。あれも、片付けるとなると2万くらいはかかります」。
げ。
多分、隣の家のゴミだろうが、片付けてくれるんだろうな……
で、ランディに棒と差し金持たせて、レベルの測量。 暫くしたら、地盤調査会社の人がやってきて、きーりきーりと地面に細い穴を開けてゆく。
途中、車を移動させに行ったついでにコンビニに寄り、あたたかい飲み物と肉まんを差し入れる。
「地盤は、なかなかいいようです。堅いらしいです」
おお!そうなのか!
友達から、蟹が届いた。
蟹である。蟹。足だけとか、缶詰ならいざ知らず、まるごとの蟹なんて、久々に食べる。 鍋にして、別の友達が送ってくれたポン酢をつけて、ランディとふたり、無言で食べた。 うどん入れた後、ご飯を入れて、雑炊にしようとしたら、満腹になったので、出汁はそのままにして、うどんと雑炊は、明日食べることにした。
喪失感や、後悔や、悲しみの特効薬は無い。 けれど、ささやかで、そして、大きい幸せが少しずつ少しずつ積み重なってゆく。 数日前まで、なにを作ったんだか、食べたんだか、或いは食べてないんだか、覚えてもいないが、今日は人に会って話が出来たし、ちゃんと御飯が美味しい。
暫し、壁紙はこのままにして、日常に還ろう。
以前、わたしが書いた日記を彼女は読んだだろうか。 今は、それを確かめる術も無い。
彼女に、読んでほしいとも思ったが、自分に彼女をこの世界にとどまらせる力があるとも思えず、あの日記を書いたとは言わなかった。
「だれも信じられない。だれもが偽善者にしか見えない」
と、いうようなことを、彼女は言った。
その通り。
この世界は、生きるに値するほど美しくはない。 だれもがそうと知りながら、誤魔化して生きているのに、おそらく、彼女はそれと真正面から向きあってしまったのだ。
彼女が消えて、また少し絶望が深くなり、傾いたこの世界で生きるために、今宵、わたしは、酒を愛した彼女を偲んで飲もうと思う。
ランディと喧嘩した。 と、いうか、わたしが一方的に怒っていたと言った方がいいのだが。 言いたいだけ文句を言い、気が鎮まりかけたところで、別件が浮上。 タイミングが悪いときってのは数珠繋ぎで不幸がやってくる。
ムカついたが、弁当は作った。
えんどう豆、刻み葱入りだし巻き卵、エリンギのソテー、ウィンナ、プチトマト。 そして、メインのおかずは、でかい鮭の塩焼きである。
ランディは、魚が嫌いである。
昨日は、近所に出来たラーメン屋に行ってきた。
ラーメン自体は美味しかった。
が。
チャーシュー麺を頼むと、普通のラーメンの約2倍の値段なのはまあ我慢しよう。 でも、チャーシュー麺にしちゃ、チャーシュー少なすぎ。 メニューでは、麺を食べた後に、スープに酢を垂らして飲むのを推奨していたので試してみたが、後悔した。 そのままで美味しかったのだから、そのまま飲めばよかった。 人気店の二号店なので、混雑を見越してのことだろうが、店員が無駄に多すぎ。そのくせ待たせすぎ。私語多すぎ。
その後、最近お気に入りのお店でケーキを買う。 ホールの方が、誕生日っぽくて好きだが、ふたり暮らしで食べ切るのは大変なので、ショートケーキとプリンを買った。
で、それを今日食べた。
その後、誕生月割引の招待葉書(ペア)が来ていたので、マッサージに行って、至福を味わう。 蕎麦を食べた帰り道、ランディの先輩とばったり。 近所なので、一緒に帰る。 途中、ランディが「こいつが今日誕生日だったんで、マッサージ行って、飯食って来たんです」と言ったら、なに、それは聞き捨てならない。是非一緒にお祝いさせてくれ、と言われ、ファミレスに誘われた。
席に着くと、その先輩が言うには、
「最近、家帰るとサカナばっか出て来てさー」
「お魚?酒の肴?どっち?」
「お魚の方。嫌いなんだよ。晩飯に、鯵の開きがどん!とか置いてあると嫌んなってさー」
ランディの先輩は、ドリアと、唐揚と、パフェのセットなんか頼んで、美味しそうに食べている。 わたしたちは、もう夕食は済ませた、と言ったが、ビールを三つ注文されてしまった。
……「お祝い」は、どうやら口実くさい。 話題は、ジャパンカップの反省とか、有馬記念の予想とか、「うちの猛獣嫁」(先輩は恐妻家である模様)の話とか、可愛い盛りの子供の話とかである。 まあ、でも、それはそれで楽しかったので、ビールとつまみで雑談していると、
「ケーキでも食べてよ」
と、メニューを差し出された。
「……ビールと一緒にですか」
「だって、誕生日でしょ」
「じゃあ、飲み終わったら、いただきます」
と、お茶を濁そうとしたが、フライドポテトをつまみにビールを飲み終わった瞬間、またメニューを出された。 満腹ではあったが、うれしかったので、御言葉に甘えて御馳走になった。
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