『新市村座』へ行ってきました。今回も、『楽しい!』なんて言葉だけじゃ足りないくらいの充実した時間を過ごしてきました。 もう、市村さんはすっごいおじさんになっちゃったし、演技の卓抜さに比べて歌唱力はイマイチだとは思うけど…でも、どんな時でも楽しませてくれるから大好き。 その暖かい雰囲気が、どんな楽しいことをやるのかわからない底知れなさが、魅力ですね。 そして、駄作も傑作に変えられる力を持っているというのはすごいことです。 だからリピーターも多い。……ちょこちょこと会場には見たことのある方が(笑)。<私も誰かにそう思われているかもしれないけど
先ず、会場で面白かったのは…開演前に最前列の席で揉めてたので、『偽造チケットによるブッキングか?』って思いながら眺めてたんですが、違いました。 チケットの席番は『I列』なのに1列目だと思って他人の席に堂々と座っていたらしい(笑)。 地元ながら…名古屋人ってすごい…って思った瞬間でした。(^^; 帝劇じゃあるまいし、名古屋じゃ偽造してまでってのはありえないか…。 今回、平均年齢は高いな…って思ってたんですが、そういう年齢の方だと自分が間違っててもなかなか退いてくれないんですよね…。中には『もう座ってるんだからその席にあなたが移動すれば?』なんてことを言う厚かましい方もいたりして…。<くれぐれもマナーは守ってください。
ま、のっけにそんな光景を目にしたりもしましたが、今回も贅沢なラインナップでした。 先ず、私の座っていた席は真中の通路から2列めで…横の出入り口に近いところだったんですけど、そこから市村さんが登場したからすごく間近で見ちゃった! けど、そういう時に限って仕事帰りのよれよれ姿で…慌てて会場に入ったから髪もぼさぼさだし、しかも、驚きのあまり馬鹿っ面さらしてました。……これから劇場へ行くときは仕事帰りだったとしても!ちゃんとおしゃれしないと…って思った瞬間でした。(;;) で、そこから舞台まで歌いながら、色々な方と握手をしながら進んでいきます。 いいな…私も馬鹿っ面してないで握手してもらえばよかった。通路から2列目といえど前の席の方はいなかったんで、余計によく見えたんですけど…その分よれよれの姿を見られたってことですよ。(-_-; 『現実を忘れて楽しい時間を〜』てな歌詞が…突き刺さる思いでした。<タノシカッタデスケドー!
『ご挨拶替り』としてS○AP歌ってくれちゃうし…客席に下りてきて観客にマイク向けてましたが…その人は無理っ!ってカンジの年代で…歌ってはくれませんでした。若いお嬢さんがそのあたりにいればよかったね。<でも、今回はおじさんおばさんばかりが目についた…。 あとは『さくら、さくら〜』とかって歌ってくれちゃうからね…驚きました。<全部じゃなくてさわりだけですけどね。 そのあとはDance!…まだまだ足は高く上がります。あのお年なのに(失礼)頑張ってくれてますが、やはり昔と比べると持久力は落ちてきたみたいです。でもね、市村さん。そういう姿を見れるのは嬉しいけど、あまり無理はしないでね…?(^^; そして、その後は座長お着替えの間は音楽でお楽しみ。ファントムとか、ジーザスとかの曲が流れるとどうしても無条件に身体が反応してしまう(笑)。『ONE』とかもね…やっぱりいい曲だし。 そして、それが終われば口上…旗揚げしてからのとこを語ってくれてます。『座長の座を狙われることなく、座員が引き抜きにあうこともなく…』ってのは既にお馴染みのフレーズですか。前回の時も同じことを仰ってましたよ。(^^) でも、もう…『平成市村座』から3年が経っちゃったんですね…。<しみじみ 早いような…待たされたような…でも、その間にいろいろなものを観にいってるからもう…って感覚になるんだろうな。 それが過ぎると前半の目玉『音楽講談・噫、無情 エポニーヌ/だけど一人の巻』! 毎度、お馴染みの(笑)あのフレーズが流れた途端に心があのドラムと響きあってますよ。(^^) う〜やはり、『レ・ミ…』はいい! 市村さん流は『レ・ミゼラブル』らしいです(笑)。 もう、これもすっごく好き! 『レ・ミ…』のエポニーヌに焦点をあてて講談にしてしまってるんですが、あの音楽とあの詞のままでありながらちょこっとずつ変わっていて…尚且つ、エポニーヌだけでなく妹のアゼルマ(ミュージカル版には出てません)、リトルコゼット、テナルディエ夫妻、ジャン・ヴァルジャンにマリウスやアンジョルラスまで演じたり、歌ったりで楽しい。ヴァルジャンよりもテナルディエのが似合ってる…(^^; ただ、どうしても『レ・ミ…』には特別な思い入れがある分、市村さんを観ながらも、この舞台に有り得ざる人の姿や声が聴こえてきてしまう。…病は深いです。 そして、エポニーヌが死んでしまう場面でやはりしんみり…そこで、講談は終わりです。 『屋根の上のヴァイオリン弾き』の公演中、『レ・ミ…』出演者に練習テープを作ってもらってその時から練習していたのだそう。優美な白鳥の水面下では足が忙しなく動かされているのですね。 …本家の次回公演予定は2006年…待ち遠しい限りです。<7/03にはコンサートに行きますけどね〜(笑)。 そして、『レ・ミ…』熱が上がった後は『西洋奇術』…。マジックです。 マジックといえば…曲はもう、あれしかない!っていうくらいにお馴染みの曲。<タイトルは知らないんですが…(^^; その曲にのせてトランプマジックや紐を使ったマジックなど…スタンダードなものですが、鳩は出ません(笑)。 やはりこれも『魅せる』ものだからお得意の分野なのでしょう。なんか、いつ本職にしてもやっていけそうなほど楽しく見てました。<奇抜さも大切だとは思いますが、ほのぼのと楽しい時間が過ごせるかどうかもマジックには必要不可欠な要素ですよね。大掛かりでもモニターで見なきゃいけないようなのはつまらないって! そして、ここで市村さんからお土産をいただいてしまいました。(^^) マジックのお土産…こういうものを観にいって、こういうお土産を貰ったのは初めてです(笑)。 種明かしされてコツも教わって、いつでも自分でできそうですが…一体、誰にやれと…(-_-; この時にお土産の使用法として寸劇(夫婦の会話・マジックお土産編…みたいな)が入りましたが…楽しい。 しかし、そのマジックをやったら『市村さん直伝』って言ってみてもいいんでしょうか?(笑)
そして、中入り…15分間の休憩です。 厚生年金会館の規模で15分しか休憩がないということは…おトイレへ急がねば危ないということですが、近くの席の人が休憩になっても立とうとしなかったために出遅れ感は拭えず…プログラムの方を優先させました。<名古屋が大楽だったから、終演後ではなくなる可能性もあると思って。 そして、食事もね…何か軽く食べないと仕事帰りの身はつらいです。
そして、その後2幕は『芝居仕立人情噺・文七元結』。これは、西村さんの付き人時代(21の頃)に舞台袖で観ていたという…思い入れのある作品だそうです。<名鉄劇場でやってたらしいです 最初、お着物なのに、市村さんが舞台袖に置いた脚立から降りてきてたんで『ナニやってるんだ。あの人は…』なんて思ってましたが、『あの世から戻ってきました』By三遊亭円朝師匠って。<芸が細かいですよ。 座長一人しかいないのでやはり一人芝居でしたが、呑んだくれで博打好きの左官屋の親方とそのおかみさんに娘、文七にお店の旦那、吉原のお店のお使いにその女将、そして長屋の面々(笑)を一人で演じわけ、時に笑わせ、時にほろりとさせる…市村さんらしい話の選び方と運び方でした。変わり身の仕方が面白くて、終始笑っていました。<スムーズに変わるため回転舞台@一部になってたのがツボでした。…小盆な感じ。
話は博打好きで3年も仕事してない左官屋の親方がまた博打で素寒貧になって家に戻ると、おかみさんが娘が昨夜から帰ってないという。そして喧嘩になったところへ吉原の女郎屋から使いがくる。娘は親の借金の為に自分で苦界に身を沈めようとしていた。その店の女将さんがその心意気に打たれ、酒も博打も止めるならと、50両を貸してくれる。ただし、1年経っても借金が返済できなかったら娘に客を取らせるとの条件付きで…。その店からの帰りに親方は身投げをしようとしていた若者に出会う…それが文七だった。 親方は必死で止め、原因がお店の金50両をなくしたというと、それを文七にあげてしまう。だが、その金はなくしたのではなく取引先に忘れていただけで、文七の店の旦那は親方の厚情に感謝して娘を身請けして親方のところに連れてきてくれる。文七と娘はそれが縁で所帯を持った…そんな話。
次は『大喜利』…大切りが正解だそうですが、当て字で『大喜利』が使われるんですって。<縁起担いで 『俵星玄蕃』三波春夫さんの浪曲。 昔はこういうものなんて面白いと思えなかったけど、年を経て間口が広くなったのか…面白いと思えるようになったから不思議。 普通ならこれで終わりなはずですが、サーヴィス精神の旺盛な市村座はこれでは終わりません。 『これで終わったら何を言われるかわからない』ってよくわかっていらっしゃる(笑)。 『大団円』で…いつもなら『ラ・カージュ〜』から『私は私』なんですが、今回は『マスカラ』。 ザザがステージ前に化粧をしながら歌う…あの曲です。 これも、歌いながら少しずつ綺麗になっていく様が好きでした。 あまり、目立つ曲ではないけど、印象に残っててそれが今回は市村さんに合わせての詞に変わってるからどうしても聴き入ってました。 そして、最後…かと思いきや、当然の如くアンコール。 『愛を与えた〜』なんて歌いだすからすっごく期待しましたが…それだけ。(^^; 真打は『私は私』でした。<フルじゃないところが惜しいところですが、やはり、市村座はこれで〆ないとって感じですね。
そして、舞台に投げられたしゃちほこのぬいぐるみについていたメッセージを読み上げる。 『いっちゃん、もっと名古屋に来てちょーだい』…だったかな?そんなメッセージだと思いましたが、その時に最初、市村座公演には名古屋の予定はなかったって仰ってました。 それを市村さんがぜひ入れてくれっていったんですって。<だから公演の一番最後。
…ありがとう。
そう言ってくれる人がいるから、名古屋飛ばしをされてばかりでも寂しい思いばかりをせずにすみます。
あとは『クリスマス・キャロル』の予告…アートピアホールで1日だけ…。 厚生年金の半分しか入らない会場で1日だけの公演…会場が1日しか押えられなかったそうです。 この日に市村座へ来た人は予定さえ都合がつけばまた観にいこうと思った人ばかりだろうから、プラチナは必至ですね。
私も…『クリスマス・キャロル』ならまた観にいきたい!(><)
2004年06月26日(土) |
『Lion King』 |
この作品の観劇はもう何度目かにはなるのだけれど、名古屋ではこれが初めて。(^^; だって、チケットを取ろうと思った時には土日のチケットはかなり先まで売り切れていて、もう『Lion King』だからいいや…と思ってその時に取れる一番安くていい席を探したらこのような日程に…。 チケット取ったの半年以上前だよ……。<ある意味、むちゃくちゃファンっぽい。 『Lion King』はどうしても、『ジャングル大帝』のコピーにしか思えなくて、自分のところの著作権、肖像権には煩いクセに他人の著作権は平気で蹂躙するディズニーを儲けさせるのは業腹な気がして…チケットは安い席でいいやとしか思えない。 それに、四季の方も今はS席のチケット代を払ってまで見たいと思える役者さんいないし。
で、まず思ったことは…『狭っ!』でした。『春』で観た時の印象と比べると舞台がせせこましくも感じる。 やはり、間口の違いは顕著に出ますね。これはもう少し大きな小屋のが見応えあるんじゃないかと思います。スケールの大きなテーマなのに、小屋の大きさが見合ってないというのは残念です。 それから、四季の場合は形は綺麗だけども、Soulを感じさせることができる役者さんは少ないから。 チケット代というのはその舞台に対する評価のお値段だと思います。だから、私がこの舞台につけるお値段はC席の3150円…それでいっぱいいっぱいです。 もちろん、初めて観る作品に対しては馬鹿高いロイヤリティのコスト回収に協力するつもりもあるし、やはり最初はいい席で観たいと思うからいい席を選ぶこともあるんですけど。四季の場合はいい席より安い席の方が面白いと思えるし、そういう席のがいい席じゃ見えないところも見えるから結構、Sじゃない席で観てるかな。 ほかの劇場だったらSじゃないと、むかつくほど観にくいっていう点があるんで(『役者』を観に行くということに非常にウエイトが置かれるので)、その意味ではあの劇場の設計は秀逸なのですけど。多分、こういう観客は経営側からすれば…美味しくはない。(^^;
ま、そんな文句で始まりましたがその中でよかったのはスカーの川地さん…ハイエナから出世しましたね(笑)。 結構、あのハイエナも好きだったんだけどな。でも、陰にこもった感じが強いスカーでした。 強烈なコンプレックスの塊というか…、卑劣なところも(笑)観ていて楽しい。 この人は…なんて悪役の似合うことか(笑)。またそれを楽しんで演じているのがわかるから悪役でも好きだなと思う。
しかし、ムファサ…早川さんもどこかそれに通じるところがあるから、イマイチ兄弟の対比がうまくない。 声は勇猛なカンジで迫力もあるし、あってると思うんだけどな。ただ、喉の調子が悪かったみたいで、声もそんなに伸びてないし、ところどころ音が割れていて…しょぼしょぼ〜ん。 ムファサのイメージとして絶対的な陽の権力者であり、威厳のある父と思っているのだけれど、早川さんを思い浮かべて頭を過ぎるのはどうしても陰。所作の端々や纏う雰囲気に、どこか翳りがあります。 そこはかとなく今までの苦労が滲み出てる…そんな感じ?(^^; それだからムファサに対して、暗い色を感じずにはいられない。 そして、それは役の上ではちょっとね…(^^;この方の持ち味としてはスカーのがよかった気もしますよ、うん。 でも、それ以上に気になったのはムッキムキな腕や胸! 『ガストン役の時にずっと飲んでいたらしいプロテインを今も飲みつづけているのか?』ってことです(笑)。 この作品に出演している男性の役者さん達は他の方も皆、そうなのですがムッキムキ! 下手な女性よりも巨乳(笑)な方もいらっしゃいました。<あれくらいあると男性でもカップ計ったり出来るのかな…?(^^;
ヤングシンバはヤングナラよりもかわいい子がやっていると思うのは、私の目にフィルターがついてるからではないと…思う。元気いいし、ちゃっちゃか動いてるし観ていて微笑ましい。 ただ、そういうのを微笑ましく観れるようになったのは自分が重ねた年輪のせいだとも思うから複雑…。 この作品の性質上、会場にはお子様連れが多かったのですが、ヤングシンバとヤングナラがザズーをまいて象の墓場へと冒険する場面で会場が暗くなったら近くで聞こえた『こわいよ〜』という声が心地いい(笑)。
ヤングナラは…もう少しお鼻が高ければ…と思わずにはいられなかった。決して下手ではないだけに、それを生かせるファクターがないのは悲しいことです。まあ、大人になればまた違ってくるのかもしれないけど。
しかし、それらのお子さんの方がシンバよりも巧かったってのはどうもね〜。
シンバを演じていたのは友石さん…残念ながら存じ上げません。 もう、四季は大きくなりすぎて、最近は足が遠のいてて着々と世代交代が進んでるってのもあるんですけど、この人が他の作品に出ていたとしても、覚えていないかもしれない。ま、そういう感じの人でした。 第一声で口と共に鼻の穴が大きく膨れていたので、出てきた瞬間の馬鹿っ面には笑ってしまいましたが…その他はがっかり。 特に歌ががっかりさ…私は、顔のいい人よりも声のいい人が好きだっ!と公言するくらい、声に拘るし、こういう時に思い出すのは「1.声 2.姿 3.演技」という言葉。<歌舞伎なんかで使うらしい 『役者に一番大切なのは声だ!』…と再び、主張させていただきます。 いくら、脇が締まっていれば主役がへたれでもそこそこは観れるといっても、頑張ってほしいね。
ナラの大平さんは…吃驚した。出てきてすぐの第一声がなんか、ドスのきいた声…。女性にしては…低い。確か、この方は宝塚ご出身だと思ったのですが、もしかして男役だった…?(^^; 『ShadowLand』などはその低音のおかげでとってもJazzyな感じではありましたが、なんだかヒロインというには力強すぎ…。シンバが情けなさ過ぎる部分もあるんですけど、シンバは完全に負けちゃってました。 ナラがスカーを倒して王様になった方がいいよ、きっと…(笑)…なんて思っちゃうほど。 なんだか、最近は男前な女の人ばかり見てる気がする…(−_−;
そして、後は…『Lion King』といえば、ティモンとプンバァのご当地言葉。 名古屋公演のときは名古屋弁…と仰ってたようにしっかり訛ってました(笑)。 ただ、どんなに上手く真似ても他の土地で育った方だとちょっとずつイントネーションが違ったりして違和感を覚えるものです。 プンバァの北村さんがそうでした。静岡出身なので、そんなに遠いわけではないのですが…やはり、ちょっと違う。 ティモンの羽根渕さんはかえって『違和感なさすぎ!』とか思ってたら、『愛知県出身』…地元ですか? いくらなんでも普段、あそこまで訛ってないにしても、喋りやすい?懐かしいイントネーション? ただ、地元の立場から言わせて貰うと…名古屋弁と三河弁が混ざってましたよ? 非常に似通っているものかもしれませぬが、厳密には違うんです。 言葉って難しいね…。 しかし、やはり地元民には受けが良かった。<名古屋人は地元ネタが好き ザズーも『燃えよドラゴンズ』歌ってたし…。
あと、気になったのが会場で子供に一生懸命説明してあげてる親がいましたが、子供は鬱陶しそうでした。 子供がわからないって言ったところだけ教えてあげればいいのに…周囲の迷惑だってことに気づかない人がいていやになりました。 子供は大人が思ってるほどには馬鹿じゃないんだから、いちいち親の訳わかんない説明なんて要らないんだよ。 そういう大人よりも子供達の方がマナーは良かったな…。 そういう親の姿を見て真似しないで、反面教師としてすくすく育ってください。
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