洋楽から邦楽から、 ロックからバラードから、 実力派系からアイドル系から。
聞くでもなく聞かないでもなく、 ただ漂わせておきながら、
作ったことのない料理を、 ぼんやり作ると無になることを知った。
今は金時豆を煮ている。
お部屋中、 お正月の匂い。
『お願いだから、私にあなたを殺させないで』
夢の中で母親にそう叫んだ。
小さな頃に蝕まれた部分が、 じくじくと疼き始めているのは、
私に処理能力が備わったと、 私が判断したから?
それとも、 そんな親にはなるなと、 自らを戒めるため?
妊娠に気をとられていて、 すっかり忘れていたのだけれど、 そんな自分をあざ笑うかのように、 またソレはやってきた。
薬を使うわけにもいかないし、 かといって上手にやりすごす術も知らないし、 ただじっとヒザを抱えて時が過ぎるのを待つしかない。
優しくない私。 気がきかない私。 損得勘定だけの私。 自分勝手な私。 傲慢な私。 人のせいにしてばかりの私。 誰の役にもたてない私。
そんな自分に目をつぶって耳をふさいで、 それがまるで他人であるかのように振舞う私。
みんなみんな、 いなくなればいいのに。
本当にいなくなったら、 私は消えてなくなるのだろうけれども。
私は本来浮気性なわけではないのだけれど、 ほんのりと好きな人がいる。
数人の飲み会への誘いも、 酒が飲めないという理由で断った。
自らブレーキをかけなくちゃいけないほど、 これ以上親しくなるのはマズイと思った。
紅茶の香りを楽しむように、 ただ漂うみたいな想いを感じたのは、 数ヶ月前だったのだけれど、
お腹に子どもがいる現在でも、 優しくされるとドキドキしてしまう自分がいる。
「おめでとうございます」といわれて、 「ありがとうございます」と笑った私に、
「そうですよね。普通、おめでとうですよね」と答えた彼。
深読みは辞めておこうと思う。
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