あろーはー。一年中アロハシャツを着ているトロピカルおじさんです。このところ各地で暑かったり寒かったり不安定な日が続いておりますが、みなさま如何お過ごしでしょうか。
昨年辺りからオニのよーに忙しいとか腱鞘炎で腕が痛いとか、ずっと申しておりましたが、ついに過日、整形外科で手術を受けて参りました。
4月更新の当ページにて申し上げましたように、腕が痛いのは腱鞘炎のみならず手根管症候群のためであった訳でして、その痛みだの痺れだのを取るために、先月4月は手首の内側という珍奇な場所に注射をしたのでした。
その注射がまったく効いておりませんでしてね。
痺れも取れなければ腕もずっと痛くてロキソニンの湿布を貼らない日はありませんでした。それを改めて担当医に告げたところ、「そっかー、じゃ手術しようか」とあっさり言われまして、その翌週に手術日を設定とスピード展開。
かくして去る5月22日に手術を受けるに至りました。
これもめずらしい体験ですので、ぜひ記事として残しておきたいとずっと考えてはいたのですが、あれやこれやしているうちにあっという間に一週間が経ちまして、本日5月29日に執筆と相なりました。
手根管症候群のため、幾つか仕事をお断りさせて頂いて、時間の余裕はできているはずなのですが、やらねばならぬことの数は減らないものでございます。
さて、手術。
内視鏡手術を局所麻酔下で行いました。
写真は術後のものですが、①と②の部分に切り込みを入れまして、その部分から内視鏡を挿入しての施術です。
この切り込みを入れても痛くないように予め麻酔注射をするのですが、これが次のような場所にするのですよ。
注射ってのは針を刺すのですからだいたい痛いものですが、③の注射がこれまで経験したことがない強烈な痛さで、手術台の上に仰臥した状態で行ったのですが、あまりの痛みに手術台から頭が浮きました。
20年ほど前にほとんど麻酔が効かない状態で乳房切除術を受けて身を切られる痛みを耐え抜いた私ですが、あれは若かったから耐えられたのであって、いま同じ経験をさせられても同様には耐えきれんな、とこのときはっきりと思ったのでした。
これまでの経験から局所麻酔が効きづらい体質であることが予め判っておりましたので、担当医に「私、局所麻酔が効きにくいようなんですが、大丈夫でしょうか」と申し出ておきました。「麻酔が効く前に切られたり、手術が終わる前に麻酔が切れて追加して貰えなかったり、ひどいめに遭ってるんで多少怖いんですが」と。
「うーん、医療も日々発達してるから麻酔も効きやすくなってるし、大丈夫だと思うんだけどねー」と医師。ほんとかよ、と疑心暗鬼の私。「絶対大丈夫」とは途中で麻酔が切れちゃった目の手術の執刀医も言ってたことだよ。
強烈な痛みの麻酔を終えてさほど時間も経たない頃に、執刀医の声が「これ痛い?」と問いました。何も感じなかったので「いいえ」と答えました。続いて「これ痛い?」
すると、手のひらにちくっと、軽く針の先で突っつかれたような痛みがありました。
「あ、痛いです」
「えー、痛い?」
半分ブーイングのような執刀医の声。いや、文句言われても痛いものは痛いしな。
「もうちょっと待つか-」
更に一分後くらいにもう一度「これ痛い?」という問いがありましたが、今度は何も感じなかったので答えました。
「大丈夫です」
「じゃ切りまーす」
「切ります」って言われると、感覚がないと判っていても怖いよね。
それに感じないのは痛みだけで、引っぱられたり何か押し込まれたり突っつかれたりしているのは判るんだもの。
肩の辺りに間仕切りをしてくれていて術野は見えないのだけど、手術台に仰臥して真正面を見ると天井には手術灯があって、そこに映ってたりするし。見てしまうと痛そうなのでそれ以上見ないようにしましたが、間仕切りするならこういうところも何とかするべきでないかなーと思いました。
佐々木倫子さんの「動物のお医者さん」という漫画に、似た挿話がありましたね。菱沼さんが自分の盲腸の手術の様子を手術灯でずっと見ていたというお話。「だって、ほかに見るものがないのよ~、退屈じゃない」と菱沼さんは言いました。
麻酔がきちんと効いてくれたので、切られる痛みは感じずに済んだのですが、麻酔がよく効くように、術中ずっと上腕を圧縮空気でふくらませる駆血帯のようなもので圧迫されていて、それが痛かった。
締めつけられる痛みと血が通わなくなる重怠さ。それが素敵にクロスオーバーして腕全体が非常な高G下にあるような、重いような痛みが腕にずっとあって、切られるような、身体が勝手に暴れてしまう激痛ではなかったものの、耐え難かったです。
さてさて手術も終盤。それまで感覚のなかった手のひらに感覚が生まれはじめます。それは痛みです。「あー、痛いかなー?」から「あ、これは痛いね」に移行した辺りで申し出ました。早めに言っておかないと対応して貰えないかもしれません。
「あ、痛いです。手のひらがちくちくします」
「いま縫ってるところです」
厭な記憶が蘇ります。
先程ちらりと申しました目の手術のときです。やはり縫合中に麻酔が切れて痛み出したので「先生、痛いです」と訴えたんですよ。そしたら執刀医先生、
「あと縫うだけだから我慢して!」
外科医信用できねえ! と、このとき確信したのでした。「痛かったら言ってください」って言ってたから言ったのに、何もしてくれぬとは。縫うのが痛いんじゃないか。
しかし果たして、今回は麻酔が追加されたのでした。何と有難いことでしょう。当たり前の処置がこんなに有難いなんて。
やがて上腕の圧迫も解放され、縫合も無事終わるのです。
術日当日は包帯が分厚めに巻かれまして、多少動かしづらくはありましたが、手指は動かせましたので、思いのほか不自由ではありませんでした。麻酔が切れはじめた頃に痛みがありましたが、ひどくなる前に処方された痛み止めを服んでことなきを得まして、それ以上の痛みはありませんでしたし、いまのところ化膿もしておりません。
しかし翌日、術創処置のため再度通院したのですが、かなり腫れたらしいです(自分では判らない)。内出血も多く、傷周辺が腫れて、腫れたせいで中身が術創からはみ出していたので処置しておきました、と処置後に医師が言いました。そう言えば鋏で何か切っていました。ところで「中身」って何?
この日の包帯を取った手の姿は、内出血でところどころ紫色だし、術創は全然閉じてないし、腫れているから傷の中見えてるし、縫い目はあるし、血はこびりついているし、ホラー映画そのものでした。
術後4日めはそのときよりも随分おとなしいものです。
②の傷はすっかり塞がっておりますが、①の傷がまだ塞がっておりません。これが5月26日の段階です。順調にいけば明日5月30日が抜糸予定日だったのですが、術日翌日の様子から、抜糸が遅れそうだとは既に医師から聞いております。明日も通院予定ですが、抜糸はされないでしょう。
しかしながら、術後2日めから単車に乗ったりキーボードでのタイピングなどもできておりますので、不自由は少ないです。また、術前まであった指先の痺れや腕の痛みはすっかりなくなっております。
手のひらの傷が、手のポーズや力のかかり具合いによって少し痛むことがあるので箸が使いづらいのと、包帯や傷を濡らすことができないので入浴や洗いものが面倒。不自由はそれくらいです。
入浴する際はこんな感じにラバー製の手袋を着けて、サージカルテープで密閉しております。
これが意外と面倒なので、入浴頻度がやや下がって、調理頻度は一段と下がっております。入浴した折りに続いて洗いものをまとめてするようにしております。
確かにこのように手袋を着けておりますと外側から水を被ってもそれによって濡れることはないのですが、割りと早い段階で汗をかいて内側から濡れてしまいがちですので、入浴ものんびりとはしておれませんな。
術後に残っていた痛みも随分引いて、手指の可動範囲もだいぶ大きくなってきました。順調に回復していると言っていいでしょう。当初の予定よりも抜糸は遅れますが、さほど遠くない日に叶いますでしょう。
という訳で、手術をしましたが回復は順調ですし、手術したおかげで症状は消えて楽になっておりますので、どうかご心配なく。