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『小さいおうち』中島京子
2011年05月10日(火)
昭和初期、東京郊外の赤い屋根の小さいおうちで女中をしていた頃のことを回想してノートに記すタキ。そこに閉じ込められた思いは…。

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文章がとても綺麗で、読んでいて縁側でひなたぼっこをしているような気持ちになる、心地よい作品でした。多少、もってまわった言い回しをしているものの、その加減が絶妙なんですよ。美しい文章ってこういうものなんじゃないかと思いました。
丁寧に昭和初期の生活が描かれていて、派手な事件が起きるわけではないのに、その生活を読みながら一緒に楽しんでいた気がします。

物語の中盤からだんだん日本は戦争の渦に巻き込まれていくわけですが、ああ、確かに意外と日常はこんなだったのかもしれないなと思いました。昔、小林信彦の『ぼくたちの好きな戦争』を読んだ時も、戦時中をそんな風に描くなんてと驚きましたが。

最後は、せつなかったですね。
読み終えても、しばらくは泣けてしょうがなかったです。
あらすじにしてしまえば、なんだ、と思うような展開なんですよ。どこかで聞いたような話じゃないかと。それなのに。




以下ネタバレ!








この手記には、「嘘」が書かれていることが物語の最後にわかります。
それを思うと、もしかしてあの言葉も嘘だったのじゃないか、そう言って欲しかったという言葉だったのじゃないかと思うと、どれだけの思いを抱えて生きてきたのだろうと思うと、泣けて泣けて…。

ああ、最後にもし奇跡的な救いがあったらなあ…。
あの言葉を嘘だと思わなければ、救いなのかもしれないけど…。
読者に解釈を委ねるラストなんですね。
★★★★☆


余談ですが、私はバージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』を知らなかった。絵本だということも知らなくて、図書館で探すのに苦労しました(笑)
『天空聖龍〜イノセント・ドラゴン〜 9』山口美由紀
2011年05月06日(金)
最終巻です!
闇の龍とは? カナン、ラムカ、サニンの愛憎の結末は…。
連載で読んでましたが、単行本で通して読むと、これはこれでうまくまとまっているのかなと思います。
長編になると、こういうラストになってしまうのもしょうがないかなとも。いや、不満というわけではないんですが(笑)

最後のシーンの意味は、読者の解釈にゆだねるということなんでしょうかね。
★★★


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