日記でもなく、手紙でもなく
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2002年01月14日(月) 成人式


 前日、前々日などより、少し空気が冷たい感じもする。

 有楽町駅の階段を下りていく和服の艶やかな女性2人。右横を先に抜けていく時に横目でみると、とても若い。そういえば今日は成人式。
 慣れないせいか、階段を下りていくのが少しぎこちないところもあるが、可愛らしい簪が2本髪に挿されていてほほえましい。

 成人式などやめてしまえと、ほえているような人も、最近後を絶たないが、さて?


2002年01月11日(金) ワインの故郷(の一つ)、ナーエ・エリア


 会社のほうに、「ドイツワインの三色旗をご存知ですか?」というアンケートの入った封書が届いていた。
 ドイツワインで茶と緑が、それぞれラインとモーゼルである、ということくらいは、ドイツワインを2度くらい飲めば、だいたいわかってしまうくらい。初級レベル。

 しかし、もう一色の青というのは知らなかった。
 正解は、<青>のナーエ地方のもので、ちょうどモーゼルとラインに囲まれたようなエリア。青色のボトルというのは、確かに記憶があるが、茶と緑のボトルほどには見かけない。
 添付の手書きのような、かなりラフな地図に示された実際のエリアを見る限り、ラインが一番広く、その半分強がモーゼル、更にモーゼル・エリアの半分弱が、ナーエというように示されている。

 ドイツワインを2本セットにしたようなギフト箱だと、だいたい、モーゼルとラインを1種ずつ入れてあったりするものが圧倒的に多い。

 このナーエワインを知ってもらおうとするアンケートであるのなら、このDMは成功しているのかもしれない。


2002年01月06日(日) 宮坂不二生・監修「ボサノヴァ・レコード事典」(ボンバ・レコード刊)

 昨年の10/25付日経朝刊文化欄に、それを監修した宮坂不二生氏自らが、<ボサノヴァ・レコード事典>について11月発売予定ということを書かれていた(*注)。実際には昨年12月末くらいに店頭に並び始めていたものの、値段を見たら2800円もするので少しためらっていた。

 ビルボードの年末号(今年度の各ジャンル別ベスト100が掲載されている特別号)がそろそろ入っていても良い頃だと思って、銀座山野まで行ったら思惑通り入っており、ついでにボサノヴァCDが並んでいる棚に、この本も並んでいたので、ついでに購入しておくことにした。

 このレコード事典の内容だが、宮坂氏のボサノヴァLP約2000枚のストックから574枚を選択し、そのアルバム(アーチスト)について(宮坂氏含め)7人で解説を分担してまとめられている。確かに形としては、よく見かけるようなものではあるが、さすが!と言わざるを得ないようなセレクションが見事。ボサノヴァのことを知っていると思っていればいるほど、ここでのアルバム選択について感嘆してしまうのではないだろうか。

 そのセレクションだが、ぱらぱらとページを繰って見ると、今までのボサノヴァのレコードを扱った本とは根本的に異なるところが2つある。
 一つは、取り上げられているレコードが、記録性を重視しているためか、(現在CDとして再発されているような盤もないわけではないが、)既に廃盤となって長い時間を経ているものも、数多く多く取り上げられていること。この人、この歌手にこんなアルバムまであったのか!と思わせる盤もかなりあり、まさにジョアン・ジルベルトやA.C.ジョビン、セルジオ・メンデスあたりが、正にボサノヴァなのである、などと考えている人には(それはそれで確かに間違ってはいないものの)、ボサノヴァの裾野の広がりを認識する、強烈な一撃となる本に違いない。
 もう一つは、ブラジルの歌手だけではなく、米国やヨーロッパの歌手が歌ったボサノヴァの盤も、ページをぱらぱらと見ていると、そこそこ取り上げられていること。その意味で、世界的に広がっていったボサノヴァを、実際のレコード現物の視点から検証し、捉えていることになる。ここがボサノヴァ・ファン以外にも特に興味深いところになってくるだろう。

 何しろ驚いたのが、1963年に発売されている、カテリーナ・ヴァレンテ&ルイス・ボンファというレコード。活躍した時代を考えてみれば、あるいはヴァレンテのレパートリーの広大さを考えてみれば、十分にあり得ることだとも言えるのだが、実際にジャケットを見せつけられると、こんな盤があったのかと驚いてしまう。まさに、このような盤を取り上げている視点が、旧来のボサノヴァ本には全く欠けていたのではないかと思う。

 このような視点で見ていくと、ドリス・デイの<ラテン・フォー・ラヴァーズ>、イーディ・ゴーメ、Hi-Lo's、ジョニ・ジェイムス、フランク・シナトラ、スティーヴ&イーディ(withボンファ)、リタ・ライスがジョビンの曲を歌ったアルバム、あるいは、最近CD化再発されたナンシー・エイムス、更にアート・ヴァン・ダムやシンガーズ&リミテッドの盤なども、きちんと取り上げられている。
 キティ・カレンにボサノヴァ・アルバムがあったことなども、全く知らなかった。まだまだある。アンディ・ウィリアムス、ジョニー・ソマーズ、ペリー・コモ、トニー・ベネット、ヴィック・ダモン。国内のアーチストでは小野リサも登場するが、これも音楽好きな人から見れば、納得できる選択だろう。小野リサにしてみても(彼女の選曲の幅を考えれば考えるほど)ここに選ばれたことについて、光栄に思うことなのではないか。

 ジャズ系では、スタン・ゲッツやポール・ウィンターなど、CD化されて今なお聴かれている盤以外にも、アンドレ・プレヴィンのアルバムが挙げられていて、これにもほとほと感嘆してしまう。また、ジャズ系以外の演奏ものでは、パーシー・フェイスの盤が取り上げられていて、これは拍手。

 音楽というものの面白さは、芋づる式にたぐっていくような聞き方をしている人であればあるほど、その面白さについてよくわかっているように思うが、本当に好きな人なら、その蔓をたぐりながら、一層その深みにはまっていくところもある。しかし、深みにはまると同時にその広がりをも実感する。

 ところで、既に廃盤となって長い時間を経ているような盤がかなり取り上げられていると書いたが、例えば、私の好きな、ルイス・ボンファのアルバムが(CD含め)、574枚中リーダー作が13枚も登場しているし、歌手ドリス・モンテイロの盤が12枚も取り上げられているのは、恐らくこの本くらいではないだろうか、というような気がしないでもない。
 マリア・トレードは、ボンファのリーダー・アルバムで共演しているものの、マリア・トレードのリーダー作というのが、ユナイテッド・アーチスト・レーベルから1963年に発売されていた、ということもこの本を見て初めて知った。
 やはりもっとCD化して再発して欲しいような盤というのは、まだまだ山ほどあるのだということも、恐らくこういう本を見る人なら、強く感じてしまうのではないかと思えてくる。

 それにしても、ヴァレンテとボンファの共演アルバムというのは、一度ぜひ聴きたいものだと思っている。なお、ヴァレンテやトレードのアルバム・ジャケットは、この本の中のカラー写真ページにも収録されている。

(*注)2001年10月25日参照


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