日記でもなく、手紙でもなく
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夜、恵比寿で知人と待ち合わせをして、広尾のイタリア料理店へ行く。 考えてみれば、今年初めて。
席に着くと、なかなかエグい日に来ましたね、と言われてしまう。昨年末に来た時に、完璧に覚えられてしまっていたらしい。 周りを見回すと、そういえばヴァレンタイン・デーで、若いカップルがとりわけ多い感じ。そういえば、そうですねぇ、などと言いつつ、去年の末にきて話をしていたことが、実際にあって大変喜ばれてしまった。
本日のデザートの中では、またまたズッパ・イングレーゼがあったものの、新たにチーズケーキの上に林檎ののった焼き菓子が大変秀逸。またまた3種類も食べてしまう。
外へ出ると、今週ずっと空気が冷たかったのだが、ことさら冷える感じの夜。
東京では花見団子になかなかお目にかかれないなぁ、そんなことをずっと思っていました。
京都で子供時代を過ごしていて、その時の記憶というのがいくつかあるのですが、その最たる2つのものが、神社のお祭りの時のお子様向けパチンコの店と、もう一つがこの花見団子。白・緑・ピンクの3色団子です。 京都では、ちょっとした和菓子屋だけでなく、まさにスーパーの和菓子売り場にすら、桜餅などと並ぶほどポピュラーな存在でした。
ところが関東では、この花見団子にほとんどお目にかかりませんでした。甘辛団子や団子の外側を餡でくるんだような団子は、本当に良く見かけるのですが。
今日、新宿・伊勢丹の地下を覗いてみました。桜餅でも買って帰ろうかと思ったからに他ありません。 東京のデパチカで、ベスト3に入るのが、池袋・西武と同じく東武。これはまさに競い合っている感じ。いい勝負です。3番目が新宿・伊勢丹です。よくわかります。惣菜・洋菓子・和菓子、かなりいい店が入っています。
桜餅、さすがにいくつかの店には置かれていたのですが、実物を見ると、他にはないのか、みたいな気持ちになってしまいました。 ぐるぐる回っていると、今まで東京では見かけなかった<デメル>のチョコレート・コーナーもありました。いよいよ出てきたかと思いながら、そういえば、京都の仙太郎の店があったことを思い出しました。
遠目に、<桜餅>という表示も見えますが、その隣に<花と団子>という文字も見えました。ひょっとして、と思ったら、花見団子が皿の上に置かれていました。これを買わずして帰ると、おそらく後悔するに違いないと思いました。 ただ、よくよく見ると、3色でもピンクが茶色に変わっていて、白い部分に桜の花びらがくっついています。それで、花見団子ではなくて、花と団子。
花見団子では、こちらでは売れないから、ネーミングを変えて売っているようにも思ったりしましたが。
家で食事の後、お茶を飲みながら最初の一本。白い部分が一番上にあり、これはまさしく京都の花見団子の味。次が抹茶。なかなかたっぷり抹茶が使われているようで、その香りがきいています。一番下の茶色。実はこれはきな粉味。合成着色料を使わないようにしようと、努力したのだろうというのが、我が家の結論でした。 ただ、きな粉味、悪くはないのですが、今ひとつそそる感じではありません。
やはり、合成着色料でも、ピンクのあの色彩感が、花見団子には不可欠のようにも思いました。
お正月に放送され、ビデオに録画しておいた番組、<若冲>を見る。近年再評価が進んでいるユニークな江戸期の絵師。
若冲の世界一のコレクターは、実は米国の人。自宅では、カリフォルニアの明るすぎる光を避け、ブラインドと、日本の障子(風のもの)で外光をコントロールし、蝋燭の炎の光で、ゆらめく若冲の絵を見るのが、一番ということらしい。 こういう人がいてこその再評価でもあるのだろう。
この米国コレクターが捜し求め、実物を一度は見たいと思っていた作品が、全30点で構成される<動植彩画>。 もともと、相国寺に若冲から寄贈されたもので、かつては年に1度全作品を一室にかけて、見られたという。 現在、御物になっているので、なかなか見ることもかなわない。
一度は、忘れられた絵師だったが、今の時代に復活している−−というのは、おそらくそこに何らかの理由があるはずだ。 徹底した観察に支えられ、重ね塗りの一切ない画が、どうしてここまで人を惹きつけるのか。拡大してみると、線の迷いが一切ないようなことも見えてくる。
若冲といえば、なにしろ<鶏>の絵が、とても生き生きしていることは知ってしたが、それ以外の動植物をテーマに、数々の作品を多数描いていたことがよくわかった。 鶏が一番手頃に観察できた、ということだったようだ。
今や、新しい伝説の絵師、若冲である。
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