モクジ | 今ヨリ、カコへ | 今ヨリ、ミライヘ
2005年04月04日(月) |
「痛みを与える」という行為 |
いわゆるソフトというか
普通のカップルでも刺激を求めてやっちゃうSM的行為から
一歩進んだものが、
「掴む」と「痛み」というSM的行為だと思うのですが、どうでしょう。
痛みというのは、Mにとって快感なのか?
私はまだまだヘタレMなので、分からない。
私の場合、手でペチペチとお尻を叩かれたりするのは、
かなり快感に近いものがあるかと。
それは、マッサージで「イタ気持ちいい〜」と感じるのと似ているかも。
それを越える痛みは、喘ぎ声を上げてしまう快感とは
全く別物であるというのは確かなのだけど、不快かというと
そうではない。
ムチで叩かれ、
なんとなく、Mとして簡単にうめき声を上げること、根を上げることは
恥ずかしいような気がして、現時点の極限まで我慢する。
涙が出ても、ギリギリまで我慢。
ご主人様から、「よく頑張ったな」とお褒めの言葉を頂く。
緊張していた心が緩む。
痛めつけられた場所を、労うかのように愛撫される。
快楽の快感が訪れ、心身ともに緊張から緩和へと移り……
そしてまた、今度は別場所に痛みを与えられたり。
こんな、
アメとムチ・痛みと快感・緊張と緩和
を繰り返していると、分からなくなってくる。
痛いのだか気持ちよいのだか
自分が何なのだか分からなくなり、混乱してゆく。
そうなると今度は、ムチが振り下ろされるたびに、
理性という殻が剥がされ、落ちてゆく。
アダルトチャンネルで、
本職の縄師の方が、M女性の望みにより
更に1ランク上のMに仕立て上げるという調教を見たことがあるけれど。
緊縛、快楽、痛み……と与え続け、イクことを堪えさせ、
限界まできたところでイカせ、そして「自分を出せ!」と頬を叩き始めた。
最後の方は急に人生論みたいになっちゃって興ざめだったけど(苦笑)
その手前までは、凄いなぁ……と真剣に見入ってしまった。
でもその時は、それがどうであるかなんてことは
全く分かってなかったわけで。
前回の逢瀬で、初めてそのことが、
少しだけわかったような気がします。
今まで私のsexは、理性が勝っていたと思う。
自分の身体の快感なんて、二の次。
それに、あまりに求めすぎたり淫らに感じすぎては、
男の人が引くだけだと思っていたし。
(現に、そういうことあったし……)
痛みと快楽の繰り返しが理性を剥がし、
本質を剥き出しにさせ、
身体が求めるがままのsexをさせてくれる、と知りました。
そして同時に、固い理性の殻をかぶったままの自分にとって、
とても必要な行為だったのだということも。
もちろん加虐的・被虐的な嗜好がない人には通用しないし
信頼と冷静な判断ができないと、危険な行為ではあると思うけど。
だって、
信頼もなにもない人に痛みを与える行為を施されても、
それはタダの「恐怖」にすぎないでしょうし。
痛みを与える側も、それなりに覚悟が必要だと思う。
だって……一旦、理性の殻が全て剥がれてしまったら、
そりゃもう、手をつけられない淫乱奴隷になっちゃうのだからして(笑)
そういう奴隷を扱える自信がもててから、
痛みによる調教はしていただきたいものです、はい。
《 2005.04.05 16:15 記》
--***--
2005年04月03日(日) |
昼下がりの情事 2005春 |
ずっと一緒に居られない。
いつかは別れる。
恋愛じゃない、私の片思い。
そんなことわかっているのに、どうしてそんなことを誓わされるのだろう。
どうして私は、こんなことを考えてしまうのだろう。
そんな考えが頭を巡る時が、たまに訪れる。
緊縛でムチ、という先日の逢瀬の前のこと。
3月20日。ウツウツとしていた私は、ご主人様に突然呼び出された。
「明日ですか。予定はないですけど、私、今、あまりよい状態じゃないですよ〜」
のらりくらりと逃げる私に
「調子が悪いならやめるか? 出てこられないほどか?」と。
今、私の体内時計はとても遅れ気味でとってもルーズだけど、
出て行けないほどじゃない。
それに明日はどっちにしろ外に出なくてはいけない用事があったし、
どうしてもご主人様は私を呼び出したい様子。
okを出すと、「鶯谷に13時」というメールが届く。
……鶯谷っていう気分じゃないんですけど……。
どうしよう。
そこで「ホテルのデイサービス」という考えが浮かぶ。
ビジネスホテル並みでいい。場末のラブホって感じの場所じゃなきゃ、どこでもいい。
そう思って、ネットで検索。
楽天トラベルでいくつか見つかる。
ご主人様に了解をとり、その場でネット予約。
最後にご主人様が
「あ、明日はノーパンでロビーに迎えに来い。
それと、明日は麻瑚にとって嬉しいことがもうひとつあるぞ」
と書いて送ってこられた。
当日、私はギリギリ時間より1時間早く、家を出る時間を設定した。
けれど、結局はギリギリ時間すらもアブナイ時間。
用事を一件済ませ、待ち合わせの地へ。
ご主人様のご要望により、今日はお昼ごはんになるようなものがいいとのこと。
おつな(いなり)寿司、すき焼き弁当、そしてデザートに小さな卵に入ったプリンを
デパートで買う。
慌ててホテルへ。
チェックインの時間を20分過ぎていた。
でもご主人様がくるには、まだ30分位ある。
部屋へ入り荷物を置くと、コートを脱いで近くのコンビニへ。
お茶と、なんかちょっと飲みたかったのでビールを買う。
ご主人様にチェックインした旨をメールしたら、すぐ返事が返ってきた。
「もうすぐ着く」
えええ……!!
お願いだからゆっくり来て下さい、あと10分は!せめて!とお返事。
速攻で部屋に戻り、汗だくになった身体を軽くシャワーで流して、
身体を拭くのもそこそこに、持ってきた服に着替えて、ロビーへ降りた。
ご主人様は既に待っていた。
……服装を見て「あああ〜!」と(笑)
そうなのかぁ、ご主人様ったら、普段と違う服装だから、私を呼び出したのね。
エレベーターに乗る。部屋は7階。
「その恰好だったら、やっぱり普通のホテルでよかったじゃないですか(笑)
私も着替えておいてよかった」
そんな会話を少し交わし、軽くキスをすると7階に着いた。
「本当に部屋は狭いですからね」
「……本当だ」
「仕方ないでしょ、急だったし、この値段ですから。我慢して下さい」
そう言う私の服……ニットのキャミソール型なワンピースの裾をめくる。
命令通りだな、と言わんばかりにご主人様が笑う。
そして胸。ボレロをよけ、ワンピースの中へ手を入れると
「ノーブラか?」
コクンと頷く。
ニットのボレロとワンピースの下は、ガーターベルトとストッキングしか着用していない。
「このまま散歩に行くか?」
私の片乳を出したまま、ご主人様が笑ってる。
「……あー、いーですよ。どうせですから、このまま片乳出してプリプリ歩きましょうか?」
「(笑)……いーよ。花粉が飛んでるから外出たくないし」
呆れたように笑ってらっしゃるけど、最初にそう言ったのはご主人様である。
「舐めな」
「ええ〜、"即"ですか」
「こういう恰好でフェラなんて、今日ぐらいしかできないだろ?」
しぶしぶスラックスのジッパーに手をかける私に、追い打ちをかけるように「服、汚すなよ」と。
ちょっと悩んでから、ベルトを外し、ジッパーをおろし、スラックスとパンツの両方を中途半端な位置までさげた。
昼はビールを飲まない、と言っていたご主人様だが、
買ってきた350ml缶のエビスビールを、結局は2/3飲んでしまわれていた。
お弁当を、なんだかんだと言い合いながら食べ、お茶を飲み、休憩。
「TVでもつけましょうか」
「つくのか? 外にプリペイドカードの自販機があったぞ」
「ええ〜、普通のチャンネルぐらい……つかない(涙)
じゃあ、せめて、ラジオか有線でも」
私がチューナーを弄っている横に来て「いいよ」と手をどかす。
ラジオをつけたりけしたり、チューナーを合わせたり消したり、下らないおふざけなやりとりが続く。
「なんで〜」
「いいよ! もうすぐ麻瑚の喘ぎ声が響くんだから」
「だから……イヤなのに……」
そう言う私を、ご主人様はベッドへ押し倒す。
そのまま抱き合ってキス。
でも……やっぱり気になる。ご主人様はこれからお出かけされる方だ。
「ご主人様、お洋服、シワになります」
「……そうだな」
ご主人様はちょっと残念そうに服を脱ぎ、ハンガーにかけた。
私だって着衣のまま犯されたいけど……そうはいかない。
昼下がりの普通のホテル。
「麻瑚、私たちはどういう人に見えるかな?」
「ん〜、不倫カップル(笑)」
ご主人様はまるで(萎えるなぁ……)と言わんばかりに苦笑。
そう、さっきお弁当食べながらお茶を入れたときも
「今日は主人が遅いから、ゆっくりしていらっしゃってね」と言ったら
リアリティありすぎるからやめろ〜、と根を上げたのはご主人様だし(笑)
「年下オトコをたぶらかす、人妻?(笑)」
「……私はたぶらかされてるのか?(笑)」
「……本当は逆です〜」
そんなことを言って笑いながらキスしていたけれど。
いつもの一部屋ずつ孤立したラブホとは違い、ここで大声は出せない。
声を抑え気味にしながらほにゃんとしていると
「麻瑚、気持ちいいか?」
「はい……」
「どんなふうに?」
「凄く……」
「どんな風に凄く??」
仕方ないなぁという感じで私が
「蕩けちゃいそうなぐらい……に?」と答えると、ご主人様が笑って再び動く。
「ご主人様……いやらしい」
「何が?」
「……部屋が、薄暗いのが」
ひとつしかない窓。
ご主人様がカーテンを締めた瞬間、部屋には間接照明の灯りだけになった。
明るい外を厚い布で遮断し、わざと作られた艶めかしい空間。
いつもは、窓から陽光がさしこんでいるか、
窓が閉まっていても照明が昼間のように明るく壁が白い部屋でなので
淫猥な雰囲気が全くない部屋なのだ。
「普通は、明るい方がいやらしいだろ?」
「だって、明るい方に慣れちゃってるんだもん。暗い方がいやらしい(笑)」
ご主人様もきっとそう思っている癖に。
いつもと違う場所で、違う雰囲気で、違う服装の二人が、
賑やかな通りに面した薄暗い部屋で抱き合うというのは
何故かこう、非常に後ろめたい淫靡さがあるのだ。
ここまではよかったのだけれど。
いろいろ頑張ったけど、頑張りきれない私がでてきてしまった。
ご主人様に、「麻瑚は誰のものだ?」といつものように問われた。
……答えられなかった。
先日、ちょっとしたことがあり、私はご主人様にワガママを言ってしまった。
他の男には言わなかった類のワガママだ。
ご主人様はそれを怒ったりせず「そうか、麻瑚はイヤなのか……」とだけ呟いた。
麻瑚がイヤなら、しないよ。無言の中にその気持ちを汲み取ることができた。
が、その瞬間、「私ったら何をいってるのだろう? 何をしているのだろう?」と気づいた。
後日メールでその非礼をお詫びしたのだけど、
ご主人様からは「麻瑚は私だけをみていなさい、私を信じなさい」とのお返事が届く。
信じていないとか、そういうことじゃない。
ご主人様も私も、きっと向かっている方向は同じだったのかも知れないけど、
互いが互いにそれを上手く言い表せない状態になっているような感じだ。
でも、私は決意する。
最近あまりに甘い時間が多すぎて忘れかけていたことを、思い出してしまったから。
「麻瑚は誰のものだ?」
何度も問いかけられるけど、答えたくない。もう私は……ご主人様だけのものではいたくない。辛いから。
「麻瑚、抜くぞ! 答えろ」
でも私は答えない。涙が流れてきた。
やっとご主人様が、私の状態が普通じゃないことに気づいた。
「誰のものでも……ないです」と私が必死に呟くのと、ご主人様が抱きしめるのは、ほぼ同時だった。
ウツウツとした心の状態が、今まで普通に答えられたことを、お遊びでは言えなくさせていた。
ご主人様は私を抱き起こすと、じっと目を合わせる。
「もうあまり長い時間一緒に居られないのに。そう言うと、後が辛いです」
そういって首に抱きつく。
「私が言わせすぎか?」
ううん、と首を横にふる。
「すまないな、先のことを約束してやれなくて」
ううん、とまた首を横に振る。
そんなこと分かってる。最初からそういう取り決めで、私たちは主従契約を結んでいるのだ。
そのことは変わっていない、最初も今も。
結婚して欲しいとか、一生ずっと一緒にいられることを約束して欲しい
と思っているわけではない。
でも今は、心の繋がりが余計に深くなっていて、いつかは別れるということが
そしてその日が確実に近づきあるということに、私が辛くなってきているだけなのだ。
ご主人様は相変わらずずっと私の目を見つめている。
私は辛くなって、視線をほんの数センチ、下にずらす。
「麻瑚は私のものだ、わかったな」
私は完全に俯き、何も言わずにいた。顔が持ち上げられる。
「麻瑚は私のものだ、わかったな……言え」
それは私が同じ言葉を繰り返すまで、続けられた。
その後も抱かれ、感じさせられながら思う。
この人と、身体だけの関係だったらよかったのに。こんなに辛くなかったのに。
でも私にはそれができないって、自分ではわかっているのだけれど。
座位の時に命令された
「ほら、麻瑚、もっとしがみつけ。身体が離れないようにしな」
肩に回した手を首へと移動させ、上半身を合わせるようにしがみつく。
「麻瑚、もっと腰を密着させな。私の身体から離れるな」
ずるいなぁ……と思いながらも、身体はご主人様の言いなりに動き、
唇から喘ぎ声が漏れた。
頭で考える前に、身体が反応させられてしまい、心が寄り添おうとしてしまっている。
ヘトヘトになるまで責められた。
最後のフェラチオ要請のときに「起きあがれなーい……」と呟くと
ご主人様は少し考え、そして仰向けに寝る私の口へペニスを挿入してきた。
「いいか、出すぞ」
しばし唇にピストンを与えたあと、告げられた言葉。
私は頷き、ペニスに吸い付く。
イラマチオ状態のフィニッシュは、初めてのことだ。
ご主人様にされる分には、こういうフィニッシュも全然イヤではない自分が居た。
いつもと違う展開に、ちょっと満足げなご主人様のペニスを
いつものようにキレイにすると、隣に横たわった。
腕枕をされ、抱き寄せられる。
私はそれにあわせて左手を伸ばし、ペニスをそっと掌で包む。
しばし会話をする。ご主人様から先に眠りについた。
先に目覚めたのは私。
眠るご主人様の顔をじっと見た。
肌がまだ若いよなぁ……とか。
ご主人様の奴隷になったあと、男友達と寝たときに、凄く感じたことだ。
肌が違う。もちろん年齢差だけではないだろうけど。
男友達の皮膚はざらざらとした感触で、私の肌と全く混ぜあわさらなかった。
ご主人様とはいつもすんなりと融け合えるのに……
そう思った瞬間から、私はご主人様を選んでいたのだ。
別れるならいつがいいのだろう。
いっそのこと、今日、今ここで……でもこれからお出かけされるご主人様に、
そんなことを言うのは自分勝手すぎる。
そう考えていたら、眺めているのも寄り添っているのも辛くなり、
そっとご主人様から離れ、背を向けた。
ほどなくしてご主人様が気づく。
「寝てるのか?」
ぼんやりした声でそういいながら、後ろから私に抱きついてきた。
「ううん」
覆うように後ろから抱きしめ、私の脚の間に自分の脚を入れるご主人様。
それだけで、さっきの決心は鈍る。
うとうとと眠り、目覚め、を繰り返す。
目覚めている時には、私の身体を触る。その時間が長くなる。
そして私の脚の間へと、手が伸びる。
「もう濡れてるぞ」
そうなのかな〜って思ってると、ゴロンと身体の向きが変えられた。
仰向けになり、ご主人様と目が合う。
ご主人様は私の首すじにキスをし、耳元で「淫乱だな」と呟き、
身体を少し起こして、再び私の目を見て軽く笑った。
それだけなのに、うっとりとする自分が居る。
「ここ、何時まで居られるんだっけ?」
「16:30迄です」
「あと1時間か……早く済ませないとな」
ご主人様はイタズラっぽく笑った。
少し油断すると、あっというまに1時間以上超過していることも多々。
ゆえに、最後のsexのあとは、バタバタと慌ただしく支度をすることも多々。
今日はきちんと服を着て出なきゃいけないので、そうもいかない。
愛撫され、フェラチオをし、挿入され、
ご主人様のペニスに酔いだした頃、言われた。
「麻瑚は私のものだ、わかってるな?」
困ったような顔をしていると、また繰り返された。
「麻瑚は私のものだ、わかってるな? 麻瑚も言いな。麻瑚は誰のモノだ?」
「……ご主人様のものです」
「誰が?」
「麻瑚が。麻瑚は全部、ご主人様のものです」
ヨシヨシというように、ご主人様が笑う。
その額に、自分の額を当てた。
「でも……ね、何かあったら、私がそれをちゃんと察知して、
先にご主人様にお別れを言わなきゃって……ちゃんと思ってますから」
覚悟はしている。
でも、どうなるのだろう、その日が来たら。
だけど、泣いて縋ってなんてみっともない真似だけは絶対したくない。
ちゃんと三つ指ついて頭を下げて、「ありがとうございました」とお礼が言える
そういう教育を、私はご主人様からうけているはず。
幸せな日々は、いつしか真綿で首を絞めるような日々になってきてしまったのかもしれない。
ううん、でもそれは、私の心が不調だから。
元気になったら、またいつもの私に戻れる。絶対に。
ホテルを出て、駅で別れた。
「ちゃんと、着いたらメールするように」
いつものご主人様のお約束に、笑って反発する。
「今日は逆ですよ〜。
ご主人様が次の目的地に着いたら、私に『着いた』ってメール送って来なきゃ」
ご主人様は苦笑して改札をくぐり抜けて行った。
そして夜、ちゃんとメールが届いた。
《 2005.04.05 16:05 記》
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