モクジ | 今ヨリ、カコへ | 今ヨリ、ミライヘ
2006年04月14日(金) |
鞭 -8- 奴隷の愛、奴隷の自信、奴隷の…… |
彼がペニスを引き抜く。
そして、自分で後始末をしている。
ご主人様とならば、「後始末は私がします! させて!」
ぐらいの勢いで、手伝わずに居られないのに、手を出しちゃうのに。
私は後始末する彼を無視していました。
ヴァギナが空になった状態の私には、
恐ろしいほどの嫌悪感が襲ってきました。
そして、後悔。
なんでしちゃったんだろう、って。
後始末が終わった彼は、ベッド……つまり私の隣に、横たわりました。
「思いっきりイッちゃいました……」
「そうですか。気持ちよかったですか?」
「うん」
「それはよかった」
それで全てを何とか納めようと思っていたけれど、
私の心は言うことをきいてくれない、納得してくれない。
私は寝返りを打ち、横を向く。
彼に背を向け、心の中でで叫んでいたのは
「ご主人様、ご主人様、ご主人様……」ただそれだけ。
勝手なものだと、自分で呆れました。
自分で撒いた種なのに、
「ご飯を食べに行ってきます。それ以上のことはありません。あり得ません(笑)」
と言っていた癖に、こういう結果になって、
辛くなって心で呼ぶのはご主人様のことか、と。
私、勝手すぎるわ。
そんな私の背中に、
「この場をどうしていいのか分からない」という
彼からの雰囲気が伝わってきました。
私は自分の背中に、その問いに対する答えを出しました。
「『ごめんね』と言って、ただ後ろから抱きしめればいいの。それで全ては解決するから」
でも、彼にはそれを読み取る能力がなかったみたいです。
困った彼は、悪戯するみたいに、私の背中を指先でちょこちょこと触れてくる。
私が反応して、振り返るのを待つように。
……甘いんだよね。
自分がしたいだけして、私へのケアも何も出来ない人に、私はもう心を開けない。
私は、後ろを向いたまま無言でベッドから起きあがり、 一人バスルームへ向かいました。
一人でずっとバスタブに浸かっていました。
足を抱え、小声でご主人様の名を呼びながら、頭の中を整理。
かなり長い時間だったと思います。
その間に彼が「どうした?」と入ってきたら、許そうとも思ったけれど、
もちろんそれもなく。
そうだろうね〜、そうだよね。
だって彼は、面倒くさいことは嫌い。
女のこういう感情に触れることも、きっと嫌いだろう。
女に泣かれることも苦手だし。
だから私は、彼の前で泣いたことが一度もない。
私は一人バスルームで、自分の気持ちをグイグイと引き揚げました。
「彼が気持ちよかったなら、それでいいじゃない?」
と、自分を無理やり納得させてみる。
癒しとしての私の立場は、彼が満足すればそれで全うされる……はずでしょ?って。
お風呂から上がり、部屋に戻ると、彼はソファでTVを見ていました。
ひとまず、着替えた私はその横に座り、部屋にあったサービスのジュースを無言で飲んでいました。
「久々に、思いっきりイッてしまいました」
そんな私に、ベッドでの言葉がまた繰り返されました。
でもね、ちょっとひっかかるこの言葉。
久々に……彼女と別れ、2ヶ月ぶりの思い切りの放出ってこと?
つまりは、
彼女と別れたから、私と会ってご飯を食べ、ホテルに誘ったってこと?
私は便利に使われたってこと?
心の中で首を振る。
いいじゃない、そこまで考えて自分を陥れなくたって。
もういいじゃない。
二回も「思い切りイッた」と繰り返すということは、
彼は、かなりよかったということなんでしょうし。
私は言う。
「そうですか……良かったですか」
「はい」
「それは、よかったです(笑)」
ソファで、ぽつぽつと会話中、
どうしてもこれだけは言っておかなきゃ! と、あのことを思い出しました。
「そうそう、私にね、謝って欲しいことがある」
「?」
「ルール違反したでしょ。
私が絶対にアナルはダメっていうのに、 触ろうとしたり
拡張もしないで入れようとしたでしょ」
「……アナルはとっておくの?」
その一言に、ムッとしちゃった。
「とっておくとか、そういうことじゃない。
今まで誰も辛い思いしか与えなかった場所に、
ご主人様が初めて気持ちよさを教えてくれた場所だから。
アナルは、ご主人様だけの場所なの」
「ふーん」
わからないだろうなぁ、この気持ち……彼には一生。
彼は更に言います。
「じゃあ、ご主人様とは、調教の時はラブラブなんだ」
……こいつ何言っての? まだ理解してないのね。
今の、ご主人様と私の繋がりは、調教だけじゃない。
普段だってきちんと繋がっている。
相手を心配する。
楽しいこと、面白いこと、美味しいこと
……楽しそうなことは全部「分かち合いたい」って思ってる。
辛いときは互いに呼び合う。
簡単に会えない距離だから、そういうことも大切にする。
下らないこともいう、ケンカまがいなこともする、一緒に笑う、一緒に言い合う。
ご主人様は、決して私に『愛している』とは言わない。
でもそのかわり、ことあるごとに『麻瑚は大切だから』と言って下さる。
女を大切にしない彼。
人の心を読まず、自分のことを優先にする彼。
そんな彼に、私は力強く答えました。
ピンクのオーラをまき散らしながら、自信に満ちた笑顔で。
「ううん、普段もラッブラブなの♪」
悔しかった。
ただのアブノーマルカップル、そう思われるが凄くイヤだった。
だから思い切り言い放たせて頂きました。
そして、
彼のネガティブを貰ってしまった私は、
なおかつ、
懺悔しなければいけない行為をしたと落ち込みの私は、
数日間思い切り凹むのでした。
--***--
2006年04月13日(木) |
鞭 -7- イッちゃう……って。 |
もうダメだと、観念しました。
思えば……
お互い子どもじゃないのに、
こういう展開になることだって容易に想像できたのに、
ホテルまでついてきてしまった私が、
部屋に入った私が悪い。
このまま無視していても、彼はきっと力でねじ伏せて、
生で挿入してくるに違いない。
それはイヤ。
かといって、ここで私が怒り、空気が悪くなるのも、あとあと嫌な思いをしそう。
でもね、ナマは……私が愛する人だけにして欲しい。
それさえ今はかなわないのに、
なんでこの人にそうされなきゃいけないの?
とにかく、生挿入それだけは避けたい。
気持ちを入れ替えました。
もういい……全部自分が悪い!!
意を決すると、私はうつぶせ寝のまま後ろを振り向き、
「つけて」
とだけ、冷たくぶっきらぼうに言い放ちました。
いそいそとコンドームを手に取り、装着する彼。
ああ珍しいなぁ、あの頃ならコンドームつけることでさえゴネたのに。
準備が終わっても、私は体勢を変えない。
協力なんて一切しない。
するならすればいいという態度は変えない。せめて、最後の抵抗。
彼は、うつぶせのままの私にあてがう。
「……だからそこはダメ!」
再度、アナルにあてがう彼をたしなめました。
このまま本当にアナルにねじ込まれてしまったら困る!!
しかたなく、少しだけ協力することにし、足の力を抜きました。
「ん……」
彼が侵入。
ああ、入っちゃう……残念なことに、
ご主人様に開発された私の身体は、
先ほどの彼のクンニで開いてしまっていたみたい。
入ってしまった。
彼が動く。
この体勢、当たる……まずかったかも。
身体は感じる、感じているんだけれど……心がまったく開かなくて。
感じている身体に対し、心は嫌悪感まで抱いている。
拒否し続ける。
これ、自分の中が対立していて、とっても気持ち悪い。
彼の「おまんこの奥まで入れたい」という事前の申し出通り、
時折奥まで激しく貫かれました。
「イヤ……イヤ……」と私が小さく呟く私に対し、
彼は「いやなの? じゃあ、やめるよ?」って。
おきまりのセリフだけど……真意は?
なんだろう?
彼は私のM性を引き出そうとしているのかな?
そういえば2ヶ月前に別れた彼女は、至ってノーマルで、
なおかつ責められることが好きだったと言ってたっけ。
あのねぇ〜、私はそう簡単にM性解放しないよ。
身体からなんて解放できない。心を開いてくれなきゃ。
それに私がM性を解放してしまったら、
あなたの手には負えないM女麻瑚になっちゃうよ。
そしたら、どーする?(苦笑)
「イヤ……イヤ……」と呟いた本心は、本当にやめて欲しかったから。
でも今ここでそれを言えば、場がしらける。
彼が逆ギレするかもしれない。
かといって「お願い、やめないで」なんてウソも言えない。
私はひたすら黙っていました。
彼は何も言わず動き始めました。
そして体位が変わる。
私が仰向けに。
彼は座ったままの状態、つまり肌を密着させない正常位の状態。
1分、動いたかな? いや30秒かも。
一旦、彼の動きが止まる。
でも、ガマンしきれなかったみたい。
「だめ、もうイっちゃう! ……イク! ……ああっ!」
声を上げて達する彼。
私は冷静に「やっぱり早い?……特に今は興奮していたから、余計かなぁ」
と考えたりもして。
ご主人様とのsexとは段違いのフィニッシュ。
……私、冷静すぎ(苦笑)
--***--