解放区

2014年04月05日(土) 徒然なるままに

うーん、思うように書けない。「とりあえず一本書く」というのが本当に大事だと思う。並行して2本考えているのだが、何とか書き進んでも数行で立ち止まる。そして前に書いた文章との整合性をチェックする。思うがままに書き連ねるなんて天才の業でしかありえないということがよくわかるわ。徒然なるままに書き連ねるのは。

しかし何でそこまでして書こうと思うのだろうか。ということを思う。結局は自分の存在についての問題なのだろうと思う。今の仕事を続けていれば収入的にも問題はなく、それなりのステイタスもあり十分な人生は歩めるはず。なぜそこから外れようとしているのかということは、正直理解されないような気がする。まあええわ。



マー君のMLB初日。やっぱり気になってしまい、仕事前のわずかな時間だったがテレビでチェックしてしまった。てめえはカナダの国歌を聴いたあたりで時間切れになって出勤したが、そもそもトロントの球場を見た時点で涙が止まらなかった。あの懐かしいロジャーズセンター。そこでマー君が初めてMLBの舞台に立つ。外野にはイチローがおり。ほんまに夢みたいだった。自分がトロントにいたころからは全く想像がつかないぜ。





「鴨川ホルモー」

学生時代を強く思い出す。京大生以外には理解されそうもないこの作品が世間に受け入れられたということは、ある程度学生時代の共通の思い出につながるものがあるのだろう。でも京大生だったら100%以上楽しめる作品だと思う。久しぶりに観なおしたが、既視感に溢れてヤバかった。



2014年04月04日(金) カブトムシ

毎日午後からは組織学の実習である。

組織学とは何をするのかというと、人間のいろんな器官の組織のプレパラートをひたすら見て、それをスケッチしていくのである(ちなみに今日は男性生殖器であった)。したがって、実習中はひたすら孤独である。

と、言うほどのものでもないのだが、ふと実習しながら音楽を聴くのもいいのではないかと思い、今日はMDウォークマンを持参して実習に臨んだ。

家から適当にMDを持ち出してきて、それを聴きながら実習していたのだが、これがすこぶる調子がいい。気持ちよくスケッチを続けていると、イヤフォンからaikoの「カブトムシ」が流れた。

どうもこの曲を聞くと一年前に過ごした風景を思い出してしまう。

この一年間で、てめえの周りの風景はずいぶんと変化した。一年前、てめえは学生ではなく植木屋のしがないアルバイトであり、日々持ち歩いていたのも携帯電話ではなく、もはや絶滅しかけているポケベルであった。

植木屋の仕事は過酷であった。まあ、楽な仕事ってのもそうそうないとは思う。剪定となると、高さが優に10mを超えるであろう木にも登って、命綱だけを頼りに枝を落としていく。そうして、雑然とした木が見事に整えられていくのだ。

てめえらのような下っ端は、ひたすら落ちてきた枝を拾ってトラックに積んでいく。枝といっても、大きなものはもうそれだけで「木」である。

一応ヘルメットをかぶってはいるのだが、当たると衝撃で腰が砕けそうになる。大きくて運べないときは、すぐにのこぎりで運べる大きさに切ってやるのだ。ぐずぐずしているとすぐに親方の怒号が飛ぶので、枝を切ると両手いっぱいに抱えてすぐにトラックへと走らなければならない。

汗は滝のように噴き出て、降りそそぐ木の粉は体中にまとわりついてくる。持参する2リットルの麦茶はすぐになくなってしまう。毎日がこれの繰り返しであった。


そんなある日、いつものように現場に行くと
「おい、木、登ってみるか」
と親方に言い渡された。

驚いたが、この世界では親方の言葉は絶対である。
返事を聞く前に、親方はてめえに新品ののこぎりと命綱を渡した。
いいのかバイトにそんなことさせて?
しかし親方の命令は絶対なのだ。
そうしててめえは剪定技術を学ぶ事になった。


てめえが親方に選ばれた理由は、おそらくバイトのくせに、まるで職人であるがごとく足袋を履き、手甲を絞めていたからであろう。まず形から入るのは基本だが、それが親方に認めてもらえたということだったようだ。

とにかく、まずは木に登らなければ始まらないので、慣れない手つきではしごを木に立て掛けた。

登ってみると、上から感じる高さは思っていたよりも全然高かった。おまけに登ったときに加わった力で、木全体が少しゆらゆらと揺れている。で、頼り甲斐のありそうな枝に足をのせたが、体重をかけたら折れそうだ。

ここでびびったらおしまいである。
思い切って上のほうにある枝をつかみ、体重をかけた。
そうしている間、親方が下からてめえをじっと見ていた。

さて、どの枝を落とせばいいのだろう。
これがまるで分からない。
登る前に親方から簡単なレクチャーを受け、大体の目安をつけて登ったつもりだったのだが、実際に中から見てみるとどの枝を切るつもりだったのかまるで分からないのである。

「はよ切ってまえ!」
下から親方の怒号が飛ぶ。

それからは無我夢中であった。
気がつくと隣に親方が登ってきており、怒鳴られながら剪定をした。
ぼろくそに怒鳴られたのは理不尽だと思ったが、職人になれたような嬉しさがそれに勝った。



植木屋では、いろんなことがあった。

最初に剪定をしたプラタナスの枝は、とても素直にのこぎりを受け入れてくれた。

楠は、枝を切ったときになんとも言えないいい香りがして、本気で惚れてしまった。

イチョウを剪定したときは、こっそり銀杏をポケットに詰め込んであとで異臭に悩まされた。

現場には、親方とは別に他の会社から来ている現場監督がいるのだが、監督には真剣に
「おまえバイト辞めて職人目指さへんか?」
と誘われた。彼はてめえが学生アルバイトだとは知らなかったらしい。
大変光栄であると思ったが、てめえが目指しているのは別の道なので丁重に断った。

隣の木で剪定をしていた職人の載っていた枝が作業中に根元から折れて、重傷を負われたこともあった。慌てて飛ぶように木から下りてその人のところに駆けつけたが、親方から
「もうすぐ救急車がくる。おまえは自分の仕事をしろ」
と言われた。再び木に登りながら震えていた。
もしかしたらてめえが剪定していたかもしれないのだ。
その方は腰の骨が砕けたらしいが、数ヶ月後に無事植木屋に戻ってきた。

他の造園会社に職人として派遣されたこともあった。
親方に、いいのですか? と聞いたら、頑張ってこいと励まされた。
その現場では、一人前の職人として礼を尽くされた。
まさか「実はバイトです」なんて言えるわけがない。
この場を借りて謝っておこう。

すみません。実はしがないバイトでした。

ただ、要求された仕事だけは、きちんとこなしたつもりである。
その会社には、それからもたびたび手伝いに行った。

そのような植木屋の日々を送っていたとき
よくラジオから流れていたのが「カブトムシ」だった。
休憩しているときや昼飯を食べているとき。
また剪定の合間にコンビニでトイレを借りたときなど。
そういった風景が、この曲を聞くたびに昨日のことのようによみがえってくる。

朝になると、今日こそ辞めてやると思い
昼には次の木をどう剪定しようかと考えを巡らし
夕方には仕事を無事終えた充実感でいっぱいだった。

親方は何を思っておれに剪定技術を教え込んだのかは知らないが
「プロ意識」だけは確実に学んだように思う。
それが何であるかは、うまくは説明できないのであるが。

今年の春にあった平等院の庭園工事を最後に、てめえは植木屋を辞めてまた学生に戻った。
いろんな植木屋から選ばれた平等院工事のメンバーの末席に加えて頂いたのは、てめえの一生の誇りである。




2014年04月01日(火) 桜の咲く季節/スワロウテイル

どこまでも青い空の下
満開の桜の花が川べりの道に並ぶ。

まだ子供のころは、桜の美しさを理解できなかった。
「死体が埋まっているから美しい」だなんていうよりも
酒臭いオヤジたちが好むものという認識だった。

自分が年をとり、今ようやく理解できる。
ソメイヨシノのない沖縄に住んでいたからというのもあると思う。
桜の美しさは、きわめて日本的だと思う。

雲のほとんどない、青一色の空を見上げると
まぶしいばかりの太陽の光を浴びて、純白に映える桜の花
今日のこの桜の美しさを、私は死ぬまで忘れない。




Huluに大好きな「スワロウテイル」が入っているので、時間があるとつい観てしまう。何度見ても全く飽きない、たぶん日本映画(典型的な日本映画では全くないが)の中で最も好きな映画。

さまざまな人種や言語を混ぜ込んだ無国籍な世界観も秀逸だし、キャラの作り方も素晴らしい。退屈なところの全くない脚本も、時折セピア色に染まる画も、音楽も何もかもが美しい。Charaの歌声も。





何と今はありがたいことに、youtubeで検索したら映画そのものが最後まで観ることができる。ただし英語の字幕付きで、英語のセリフはそのままになっているのでおそらく外国で発表したバージョンなのだろうと思う。編集もちょっと違うし、これはこれで新鮮に楽しめた。


そして何より、世界で最も素晴らしい「My way」が聴けます。続いて「Mama's alright」に続くのも素晴らしい。

最後のランのフェイホンに対する弔砲を聞くといつも涙が出てしまう。そう、フェイホンは人生を戦い抜いた戦士だったのだ。



Charaが出た映画は、この「スワロウテイル」と「Picnic」のみ。いずれも岩井俊二監督の作品で、どちらも素晴らしい。「Picnic」では共演した浅野君と結婚する出会いになったのだが、残念ながら二人は離婚した。この映画もなんとYoutubeで観ることができる。なんてすごい時代になったものだと思う。





2014年03月22日(土) 3日目

さて、実はここまでで、予め考えていた「行きたいところ」をあらかた行ってしまったのだ。どうする? と弟に尋ねてみたが、何もプランはないとのこと。

じゃあ午前中はぶらぶら街歩きして、昼から淡水にでも行こうかということになった。

そんなわけで、午前中はぶらぶら街歩き。なんとなくお寺にでも行こうかということになり、龍山寺へ。てめえはベタに世界平和を祈った。

お守り売り場はお土産にするのかお守りを求める日本人の日本語が飛び交っており、売り場の人も日本語で応対していた。逆に線香売り場は台湾人ばかりだったのが印象に残った。


そこからぶらぶらとひたすら歩いた。実はお目当てのお茶屋があったのだがなぜか閉まっていた。特にお茶に執着していたわけではないので、またさらにぶらぶらと歩いた。

昼前になりさすがに腹が減って来たので、牛肉麺の店に入る。弟はあっさりスープを、てめえはピリ辛スープを選んだが、いずれも意外とあっさりしていた。うーむ、日本のラーメンスープは意外と複雑な味なんだなあと思いを馳せてみたぜ。

牛肉麺屋で料理を待っている間に、kindleに入れてあったガイドブックを見ていると「猫空」なる場所を発見した。なんでもロープウエーに乗っていくところで、そこには茶畑とお茶屋があるらしい。お茶屋さんは、自分の畑でとれたお茶を出すらしい。

朝にお茶屋さんにふられていることもあり、ちょっと興味を持った。弟も「淡水は前にも行ったから、そっちの方が興味ある」とのこと。というわけで、予定変更。

その後また周辺をぶらぶら。アニメイトに行きたいと弟が言うのでアニメイトに行ったが、日本から輸入したものばかりで全然面白くなかったそうだ。

その後牛肉麺に続いて発見した麺屋で連食。笑 なんせ、凄い行列だったのだ。整然とした行列にてめえもよく並んだ。その店「阿宗麺線」の麺は、カツオ出汁がぷんと効いてとても旨かった。これはなかなか面白く当たりだった。


それからMRTに乗って、「猫空」を目指した。MRTに乗って終点の「動物園」まで行き、そこからロープウエーに乗る。このロープウエーが3kmくらいあり、のんびりと台北の空旅? を楽しむことができた。

さてこの猫空に行くまでだったが、ものすごい人だった。それも観光客らしき人はほとんどおらず、おそらく皆台北の人だったと思われる。そう、猫空は、地元の台北っ子が週末を楽しむために行くところなのだ。

ロープウエーの旅を楽しみ、猫空駅に着く。空からは下に臨む茶畑が見えたが、駅から降りたらたくさんのお茶屋さんがあった。それぞれの店は結構離れているので、駅からバスも出ていた。

しかし我々は特に行き先も決めていないので、適当にぶらぶら歩くことにした。

駅からは道路が3方向に分かれていたので、適当に道を選び歩き始めた。山の上の空気は澄んでいてとても気持ち良く、のんびりした雰囲気もとても良い。これはなかなかいいところに来たかもしれない。

しばらく歩くと、お茶を飲ませる店やレストランなどがぽつぽつ道端に並ぶ。

てめえらも適当な店に入り、お茶にすることにした。ここ猫空は鉄観音が有名らしいので鉄観音を注文しようとしたのだが、てめえらが入ったお店は英語も日本語も通じなかった。店の人が紙とペンを持ってきてくれたので何とか注文は通ったのだが、よく考えてみればそれが外国旅行としては当たり前なんだよな。

そんなわけでしばしお茶を楽しむ。お店の人は、7煎目まで楽しめると言った(様な気がした)。

1煎目。香りは強いが旨みはいまいち。
2煎目。香りも旨みも強い。
3煎目。香りは落ち着き、旨みがより強い。てめえはこの3煎目が一番好きだった。
4煎目。また違う旨みがあり、しっかり旨い。しかし弟は「もうおなかたぷんたぷんや」と早くもリタイア。笑
5煎目。二人分頂きました。笑
6煎目。まだ旨み十分だったが、てめえもリタイア。笑



その後台北市内に戻る。鉄観音を山盛り飲んだので、尿意が半端ない。笑

そのあと市内をぶらぶら。気が付くと夜になっていたので、レストランを探したが、てめえがあらかじめリストしていた店はどこも予約でいっぱいだった。土曜日の夜だから当たり前と言えば当たり前ですね。いろいろ行きたい店はあったが、これは今度の宿題にしましょうね。


そんなわけで、弟のリクエストで初日とは別の夜市へ。ここは以前に訪れた通りの昔ながらの夜市で、お酒もなく猥雑な雰囲気が残っていた。

仕方がないので近くのコンビニでビールを購入し夜市を歩いた。しかし人も多く、ゆっくりできないのがどうにも落ち着かない。お酒もないし、なんだか盛り上がらず。弟は弟で好きなものを食べていた。しかし彼は台湾に来てからよく食べる。

夜市を堪能し、ぶらぶらと街中を歩いた。


とある土産物屋さんの前に、大きなバスが止まった。バスの中から日本人観光客がどっと吐き出され、土産物屋の中に消えていく。外から見てもあまり面白そうな店ではなく、その観光客団体以外の客はいなかったことから、おそらくツアーで強制的に連れて行かれる土産物屋だろうと思った。

安いツアーではえてしてこういうことがある。客は安くで旅ができる代わりに、ツアー主催者と結託しているお店に連れて行かれる。そこで買い物をしなくても全くいいのだが、何か買ってしまうのが観光客の性というものか。

てめえ的にはそういった店には全く欲しいものもなく値段も観光客値段のことが多く、したがって単なる時間の無駄なので、そういった土産物屋のおまけが付いてくるツアーはよほどの理由がない限り避けるようにしている。まあそもそもツアーで旅行しないけどな。


ぶらぶら歩いていると、「牛肉料理の店」を発見した。てめえは夜市であまり食事していなかったし、弟も小腹がすいていたようだったのでここで食事することにした。今回の旅行でほぼ唯一「適当に入った店」となったが、意外とここが当たりだった。というか、台北では食に関してはほとんど外れがないかもしれない。


ここでいろいろ牛肉料理を頂いた。もちろんビールもあり、ゆっくり食事できたのが良かった。やっぱり食事にはお酒がないとさみしいね。



2014年03月21日(金) 二日目。

朝。自然と7時前には目が覚めた。今回泊まった宿はスイートルームタイプなので、ベッドルームとは別にリビングがある。そんなわけでシャワーを浴びて8時くらいまでリビングのソファーで本を読みながらごろごろし、それに飽きたら全く起きてくる気配のない弟を叩き起して雙連の朝市に向かった。

ここはほぼ地元民御用達といった風情で、肉や野菜や魚などを売る店が軒を並べる。食べ物を提供しているところはなかったが、これはこれで面白い。一通り見て回った後、近くの「天祥蚵仔麺線」という店で麺を食べた。くたくたに煮た麺に、具は牡蛎と肉団子とモツ。汁はエビのスープが利いていて、これが香菜の風味とよく合いとても旨い。地元の方もたくさんいて、もちろん誰も「麺固め」などと無粋なことをいう輩はいない。

大が50元、小が40元で、機会があればもっといろいろと食べたいと思っていたので弟と二人とも「小」にしたのだが、これでも結構ボリュームがあった。豆板醤のようなものと胡椒が置いてあり、後半はちょっと味変してみようと思い豆板醤を投入したが、辛さだけではなくさらにうま味も加わりこれまた旨かった。


さらにぶらぶら歩く。弟は「潤餅」の屋台を見つけて「これも旨そう! ねえ買っても良い?」と尋ねた。これは要は台湾風のクレープというか、小麦粉を薄く伸ばして皮を焼き、そこにいろいろな具を乗せて巻いて食べるもののようだ。

おう注文してみ、と言うと、にっこり笑って得意(?)の英語で注文を始めた。のだが、これが全く通じない。弟の英語が下手糞なのではなく、英語自体がダメのようで、English, no. と言ったきり、台湾語で「誰か! 英語わかる人!」といった勢いで人を呼びに行こうとしている。なんだかめんどくさいことになりそうだったので、なんとか中国語を思い出し「要一个」と注文した。


無事買うことができ、焼きたてを頬張る弟。一口もらったが野菜がたっぷりでナッツも入っており、味付けは意外に甘めであった。これもまた旨かった。

食欲旺盛な弟はさらにもち米の炊き込みご飯を購入。さすがに途中で腹いっぱいになったようで残りはありがたく頂いたが、台湾風ちまきの中身みたいなものでこれもまた旨かった。何食っても旨いぞ台湾。



朝市を堪能した後は、弟が行きたいと言っていた書店へ。本だけではなく雑貨もあったので結構楽しんだ。この店で面白かったのは、雑貨も「メイド・イン・台湾」のものが多かったこと。どこにでもあるような高級ブランドあるいは外国製の雑貨を置いているような店とは一線を画している。弟も欲しかった本が買えたようで大満足している。

その後、きわめてベタだが歩いて101へ。この時点でちょうど12時くらいになっており、飲食店街は混雑を極めていた。

展望台で時間をつぶそうかと思ったが、こちらも凄い混雑で、ありえないくらいの行列。てめえも弟もすでに経験済みなので展望台に行くのは断念した。ランチを予定していた「鼎泰豐」も凄い行列。まあ時間が時間だし仕方がないわな。

「鼎泰豐」はそもそも本店に行くつもりだったのだが、鼎泰豐経験者からは「本店はやめておけ、101店が良い」とのアドバイスを受けたのでこちらに変更した。

なんでも本店の方は行列のオペレーションがあまりよくないこと、101店の方が箱も大きいこと、そして実際に両方で食べてみて、あまり味に変化を感じなかったからとの理由だった。「行くのなら本店」をモットーにしているてめえとしてはそれでも本店に行こうかと思ったが、鼎泰豐経験者が口をそろえて同じことを言うので今回は言うことを聞いてみることにした。

まあ朝から腹いっぱいいろんなものも食べたし、全く腹も減っていなかったのでもう少しぶらぶらすることにした。


というわけで、今回てめえがぜひ行きたかったほぼ唯一の場所である「四四南村」に行くことにした。101から徒歩で5分くらいの場所で、元々は国民党軍の軍人が住んでいた村だったところを保存してあるのだ。その一角は雑貨屋+カフェになっており、べーグルが旨いらしい。


今回もGoogle mapで移動する。これほんまに便利で、迷うことなく到着できた。

さてこの四四南村はなかなか風情のある一角が残されており、大都会の真ん中にこのような戦後そのままの古い村が突然出現する様はまるでタイムスリップしたような気分にさえなる。

この一角にある雑貨屋+カフェの「好、丘」に入る。手前半分が雑貨スペースになっており、ここも「メイド・イン・台湾」の雑貨しか置いていない。この店は、こだわってあえてそうしているようだ。

台湾の調味料など大変面白そうなものがあったので、いろいろと買いこんだ。結論から言うと、今回の旅行で買い物したのはほぼここだけになってしまった。

カフェはまた今度の機会ということにして、101に戻る。鼎泰豐に向かうとさすがにさっきよりも入店待ちの人数は減っているが、それでも凄い人。店先には「45分待ち」と表示されている。

さっき通りかかったときにシステムを確認しておけばよかったが、どうやら整理券を発行しているようだ。順番が来ると電光掲示板に番号が示される。げげっ、これなら四四南村に行く前に整理券だけとっておけばよかった。

うーむ、これならほかの店にしようか。てめえはそう言って、第二候補に考えていた「欣葉」に向かった。101の85階に位置するこのレストランは台湾料理の名店だそうだ。


しかし、店を選ぶ客観的な評価というのはとても難しいと思う。そういう意味では「ミシュランガイド」は一つの基準を示してくれているので、ある意味便利ではあるなと思う。


というわけで85階に向かおうとしたが、何と専用のエレベーターがあり、入口近くには受付があって予約のある人しか乗れないらしい。えー予約なんてしてねえよ、と思いつつ、予約がなければ入店できないのか? と尋ねた。いえ、少々お待ちいただければ…との回答だったので、同じ待つのなら初志を貫徹しようと踵を返した。


戻ると待ち時間が40分に減っていた。さっそく整理券をもらう。整理券と同時に「注文票」のようなものを渡された。予めここに注文する品を書き込むらしい。これはこの店独特の方法ではなく、台湾ではほかの店も同じシステムをとっているところが多かった。

さっそく弟と二人でメニューとにらめっこ。看板メニューの「小籠包」はもちろん注文。あと「トリュフ小籠包」にも興味があり注文。それに加えて「小菜(台湾おつまみ)」「鶏肉の紹興酒漬け」「紅油炒手(ピリ辛ワンタン)」「炒飯」を注文。もちろん台湾ビールも。昼から飲めるのは旅行の醍醐味ですね。

そうこうしている間にあっという間に順番が来た。どうやら整理券だけゲットしてほかの店に流れた人もいたみたいで、結構すぐに席に案内していただいた。


「小菜」

春雨ともやしと昆布などを和えたもの。つまみとしては良かった。

「鶏肉の紹興酒漬け」

てめえチョイスに見えるだろうが実は弟チョイス。もちろん酒の肴としてはばっちり。

「小籠包」

さて、今回の本命メニュー。さっそくそのままで頂いたが、正直なところ「あれ? こんなもん?」。それなりにうまかったが、驚きの旨さではなかった。これは魏飯夷堂とあまり変わりない印象。期待が大きすぎた?

「トリュフ小籠包」

これも同じ。5個入りを始め注文したのだが、「二人なので2個でも可能ですよ」といわれ、その通りにした。それでよかったと思う。

「紅油炒手」

結論から言うとこれが一番旨かった。ワンタンの皮もぷりっとしており何よりタレが秀逸。弟は「このタレだけでご飯が食べたい!」と、こっそり後で出てきた炒飯にかけて食べていた。またこれが旨かった。弟は、この皿を最後まで下げられないように守ってましたよ。

「炒飯」

これも旨かった。上記のタレとまた良く合った。



ビールも2本頂き、大満足。サービスも素晴らしかった。今度はぜひ本店を攻めようかな。


食事を終えて、弟の希望で「九份」へ向かった。行きはバスで行ったが、またこれがすごい人だったのと、九份に向かう客のほとんどが日本人だったのにうんざり。

着いてからまたすごい人だかり。しかもほとんど日本人で、人ごみの大嫌いなてめえは人に酔いました。正直もうごちそうさまです。街は悪くなかったのだけどね。今度行くときは宿泊して、人気のない夜と朝を楽しむのが良いだろうと思った。


帰りの台北直通バスはこれまたすげえ行列だったので、近くの瑞芳駅までバスに乗り、そこから鉄道に乗って台北に帰ることにした。

これがまたのんびりとした鉄道で、各駅停車の上に一つ一つの駅での停車時間が長い。正直とんでもない時間がかかってしまった。

台北に戻ったらもうぐったり。復路だけで2時間くらいかかったのでは。そんなわけで目当てのレストランももう閉まりそうな時間になっていたので、とにかく急いだ。

目指したのは「長白小館」。酸菜白肉火鍋で有名な店で、酸味の効いた白菜の鍋。デフォルトで豚肉が1人前付いており、さらに豚・牛・羊の3種から2種類の肉をチョイスできる。もちろん豚二つみたいな注文もできるようだ。

正直、外国で頂く牛肉は外れが多いので、ためらわずに豚と羊を選んだ。


まずは鍋に火の通っていない豚バラ肉が乗った状態で、鍋が運ばれてきた。火が通ると食べごろで、自分で作ったタレにつけていただく。

タレは基本は芝麻醤に豆腐乳、韮泥(おろしにんにく)、韮菜花醤(ペーストにした韮)だが、てめえはここにさらに自家製と思われるラー油とおろしにんにく、そして欠かせない香菜を山盛りっ! 

さてこれが結構旨かった。肉と白菜などほかの具を順に頂いたが、結構な量で。しかも高野豆腐のようなものや椎茸やカニなど山盛り。カニは正直いらんかったかな。

肉と白菜だけでも結構な量があったので、男二人で腹いっぱい頂きました。もちろんビールと共に。笑 肉は豚も羊も旨かった。


弟と宿に戻る。帰りに飲み物を買おうと宿近くのセブンイレブンに寄った。「歓迎光臨!」と店員さんの声が響く。なんかこの辺も日本的だなあと思う。

白酒と台湾ビール、そして焼いた腸詰と、茶葉蛋(茶葉ゆで卵:お茶と八角などの香辛料で茹でた茹で卵)をつまみとして思わず購入。


レジで支払いを済ませ、店を出ると、何と店員さんが追いかけてくる。なんだ? お金は払ったけど、と思ったのは全くの杞憂で、なんとてめえはレジでぴったりお金を払ったつもりが、1元と5元を間違えて払っていたために4元のお釣りが生じていた、と店員さん。これにはこちらの方が恐縮してしまった。正直、4元くらいいいのにと思ったし、4元のお釣りのために外まで客を追いかける国民性は日本と台湾くらいなものじゃないのかと思った夜だった。


ちなみに茶葉蛋はとても旨かった。弟も「旨い! 旨い!」と食べていた。腸詰はやっぱりコンビニクオリティーでいまいちだったぜ。


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