日々是迷々之記
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2004年05月07日(金) |
大阪脱力ホッピー物語 |
会社から帰ると、酒屋に電話をした。連休前に「黒ホッピー2ケース」を注文していたのだ。店員さんに電話番号を告げ、いつごろ入荷になるか確認したところ、5月に入ったらすぐに入ると思いますとのことだったのだ。
連休中は私も家にいたりいなかったりだったので、電話がかかってきたかどうかもわからない。そこで、電話いただいてたらすみません。と一言。すると脱力度満点の返事が返ってきた。
「いえ、こちらこそスミマセン。7ケース注文したんですが、2ケースしか入荷しなかったので、ちょっとお客さんとこには電話できなかったみたいですわ。今、売り場を確認したら1ケースと2本くらい残ってますけど、取りにこられます?」とのたまうではないか。
注文してるんだから入荷したら電話せーよ!といつもならちょっと憤ってみるのだが、モノは黒ホッピーである。ここで「あんたの店なんかもう行かんわ!」とでも言おうがものなら二度と黒ホッピーが手に入らなくなってしまうかもしれない。通信販売なら手にはいるけれどそれだと高いし。結局今回の注文はなかったことにして、電話を切った。
私はジャケットを着てヘルメットを持ち家を出た。連休最初の日に買い出しに出かけた店に黒ホッピーがあるのを見たからだ。しかも1本100円(税込)。ここで買ってしまおうかと思ったが、2ケースも注文しているのに、ここで買うのもあれやなぁと思い、止めておいたのだ。
ちきしょー、あんとき買っときゃ良かったやんけ!と静かにつぶやきながらカブでその店に向かう。すると黒ホッピーは店頭にあるぶんしかないという。その数7本。うわー、700円分。それをわざわざバイクで買いにくる私は一体なんなんだか。まぁ、カブだからガソリン代は20円くらいだが。それだけしか買わないのもナンなので平行モノのゴードンジンと目についたオーストラリア産のワンカップを何故か買う。
買い物に行って、目的のブツがないと何故かちょっと違う別のモノを買ってしまう。これは節約的生活においては背徳的行為だと思うが、何故かやめられない。駅のキオスクでひまつぶし用の文庫本にいいのがなかったらチェルシーヨーグルト味なんかを買ってしまったり。とにかく買わなきゃ気が済まないという意味ではちょっとビョーキなのかもしれない。
かくして我が家の冷凍庫にはホッピージョッキ、ちいさなショットグラス、ジン1本が入っており、食品はその片隅でひっそりとしている。大阪でもホッピーがもっとポピュラーになればいいのになぁと思いつつ、凍ったショットグラスに凍りかけでどろっとしたジンを注ぎ、ぎゅっと飲んだ。
青空に導かれて、私は颯爽と自転車をこぎ出した、とでも書くことができればいいのだが、現実は青空に導かれて洗濯をした。それもたんまりと。外出&嵐でろくに洗濯をしていなかったのである。
よたよたと洗濯物を干し終えると今度はパソコンを起動して各種作業に取りかかる。久しぶりにサイトを更新したりして。ついでに書こう書こうと思っていて放置していたネタを書き留める。昼からやっと外出できそうな気配だ。
カブで堂島アバンザのジュンク堂へ向かった。特に用事があったわけではないが、旅に飢えていたので。旅に出ればいいんだけれど、明日会社に行ったら魔のように忙しいのが分かっているので、体力を温存しておくのだ。ということでいろんな本を見てまわることにした。
ワンボックスカーに原付スクーターを積み込んで日本一周をしているおじさんの本にちょっと感動しつつ、折りたたみ自転車の本にわくわくする。先日階段から落っこちてからというもの、自転車を持って階段を上るのがちょっと怖くなってしまい、していない。でも、折りたたみ自転車ならサイズが小さいので大丈夫な気がする。これを新幹線に積んで東京とか行ってみたいなぁ。
結局アロハシャツを作る本と、とある料理人のエッセイを買った。全然旅とは関係ないけれど。その料理人のエッセイ本がかなりツボにはまって面白い。好き嫌いはあるとは思うが私は好みだった。朝から冷やしかき揚げうどんとカレーライスを食べる話ってそれだけで楽しい。包丁についての本も探していたのだが、結局良さそうなのは見つからなかった。
何故包丁かというと、最近巻き寿司作りに凝っているからなのだ。切れない包丁だと上手に巻き寿司が切れない。ということで研いでみたわけだが、私が持っているのはステンレスの両刃の洋包丁、一般的な研ぎ方の指南書というのは鋼の片刃包丁。ということで研ぐことは可能なんだけれども…といった感じで思うような切れ味にはなっていない。
目下、欲しいものは鋼のちゃんとした包丁と折りたたみ自転車。もちろんiPodや食器洗い乾燥機もいいけれど、どっかそれより先に何かがつながってそうなモノに今は惹かれてしまう。よく切れる包丁でナイスな巻き寿司、折りたたみ自転車で知らない土地でも地元気分。何だか楽しげだと思う。
2冊の本を抱えてビルのとなりのカフェでコーヒーとビーフシチューパンなるものを購入して長い木のベンチに腰掛ける。エッセイ本を開いてコーヒーを口にするとまもなくすずめがちょこちょことやってきた。私はパンくずを投げてみた。するとすずめはチョンチョンと小さく跳ねながらパンくずを取りに来る。座っているベンチのすぐ横に置いてみた。まだ来る。だいぶ人に慣れているようだ。手におおきめのパンくずを持ってみた。すると、手からパンをついばむではないか。うう、かわいい…。
結局ビーフシチューの部分は食べたけれど、パンの部分はほとんどすずめ達にあげてしまった。現金なすずめはパンが無くなったことを知ると、どっかに行ってしまった。うーん、カワイイ顔してドライなのねとつぶやいてみる。あなどれない。
かくして連休最後の日は何となく過ぎていったのだった。
ゴールデンウィークだが、今年はどうも気合いが入らなかった。
当初の予定では愛知県のだんなさんの家を拠点に伊豆あたりにカヤックを持っていって遊ぼうかと思っていたのだが、先週、だんなさんの住むアパートが火事になりだんなさんはホテル暮らしになってしまった。
ついでにクルマも修理の見積もりは50万円ほどに。ボンネット周りのプラスチック部分が派手に溶けている。何だか痛々しい。
そんなこんなで大阪をベースにせざるを得なくなり、31日早朝、満身創痍のクルマで潮岬に向かって出発した。渋滞を避けるために高速を使う。すると予想外に早く着いてしまってヒマをもてあましてしまう。なので早々に七輪に炭を入れ食事にする。
するとだんだん風が強くなってきた。向かいのテントはフライシートが張れずに四苦八苦している。風速5mくらいか。結局七輪は早々に火を落とし、テント内にそそくさと引っ込み、21時頃に寝てしまった。
夜中、風の音で何度か目が覚めたが6時過ぎに起きた。外は相変わらずの風で灰色の空。どちらともなく帰ろうということになり、速攻で撤収して帰路につく。いやはや、一体何をしに行ったんだか。
翌日も、そして今日も風が強く自転車でのんびりポタリングをしようかと思っていたがまるっきりやる気が出ずに何もせず過ぎていった。
明日こそはやる気のでる天気だといいのだが…。
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