2015年06月08日(月) |
他人を家に入れるという事 |
丁度先週、妹の赤ん坊の世話をしている時期に、神田うののベビーシッター騒動をTVで見た。 総勢4人の子守を雇っていた神田うのが、中でも一番信頼を置いて子供も懐いていたという60歳台のベテランに、総額推定3000万円以上の金品を自宅から盗まれたというこの話、色々と考えさせられた。 盗みは許されない事ではあるが、私にはこの子守の気持ちが解ってしまった。 小さな子供は、可愛いだけでは済まされない。おしめ交換、ミルク、離乳食、抱っこ、遊び相手など、実際に面倒を見るのはかなりの重労働である。 自分は安い給料で扱き使われているのに、雇い主は子供の世話の面倒な部分は全て自分に押し付けておいていいとこ取りしておきながら子育てを語り、ママタレの顔をして煌びやかな世界でチヤホヤされて、沢山の物を手に入れている事に腹が立ったんだよね。とってもよくわかる。 でも普通はしないけれどね、窃盗なんて犯罪。
少し前にはパリ在住の元アナウンサーの中村江里子とかいう人が、やっぱり子守だか家政婦だかに家の中から物を盗まれたという話があった。 金品だけではない。家庭の事情を週刊誌に暴露する家政婦もいたし、どんなにいい人に見えても、他人を家に招じ入れるというのはこういう危険を伴うものなのだ。 だから雇う側も相手を完全に信頼してはいけない。自分と家族を守るために、貴重品はきちんと管理しておかなければならないのに、彼女等はあまりに脇が甘かった。微温湯のような性善説の世界で生きていれば簡単に他人を信頼するのは仕方の無い事なのだが、裏を返せば今までがそれだけ幸せな人生だったという事であろう。 他人を家に入れるのが好きではないので、私は家政婦サービスを利用した事はないが(それ以前にそんな金銭的余裕は無い)、ネットで色々な話を見聞きすると、普通に客を招き入れる際ですら注意は必要なようである。 妹の家に行って赤ん坊の世話を手伝うのは体力的にも精神的にもしんどいので、地元で子守を探して雇えと言おうと思っていたが、こういう事件を聞くと、やはり身内が手伝った方がまだ安心なので、私が行かざるを得ない気がして来た。
子守に行くのはとてもしんどいが、悪い事ばかりではない。 行く度に体重と体脂肪率が落ちるのだ。(行く度に体調を崩して寝込むからだが) 自分で言うのもなんだけれど、今年の私はスタイルいいよ♪
8.5kgと妹は言っていたが、体重計で量ってみると、赤ん坊は9kg近くあった。 お蔭で木曜日が終わる頃には、私の腕だけではなく脚にまで筋肉痛が出る始末。 限界を感じつつ、もう1日何とか乗り切れるだろうかと不安を抱えながら眠りに就いた。 が、2時間後、寒さに震えて目が覚めた。 何故かタオルケットが足元で団子になっていたので、それを直して顎まで引っ張り上げると、すぐに暑くなった。 なのに悪寒がする。これはマズい。 ふらふらと起きて、薬箱を漁り、風邪薬を探したが、葛根湯しか無い。風邪の初期症状に効くと言われるこの薬、私には効いた例が無いのだが、気休めにでも飲むしかない。 妹の部屋に行くと、丁度授乳中であった。事情を話すと、朝になったら実家の母に迎えに来て貰おうという事になった。
金曜日。 妹親子にとって生命線と言える(要は実入りの良い)仕事の日なので、特に休む訳には行かないのだ。 という訳で妹は、赤ん坊とヨレヨレの病人である私を置いて出て行った。 当初の予定では、私は明日帰宅する事になっていたが、雲行きが怪しいので主人に電話した。 仕事中だったが、どうやら赤ん坊に胃腸風邪をうつされたようだと事情を説明すると、 「またか!どんだけ弱いんだよw」と呆れられた。悔しいが、返す言葉も無い……。 妹は夜まで仕事で帰って来られないので、実家の母が高速を飛ばして私と赤ん坊を迎えに来てくれる事になったが、それまでの永い事永い事。 一寸体調が上向いたと思って、台所の洗い物と洗濯に着手したら、赤ん坊が泣き出し、途端に具合が悪くなった。 しかし保護責任者遺棄の罪に問われかねないので、捨て置く事も出来ない。寧ろ私の方が保護責任者を必要としている状態なのに。 おしめを取り換えたら抱っこを要求されたので抱っこしてやったら、立てとせがむ。いや今日は全身がだるくて痛くて無理(筋肉痛は赤ん坊のせいだけではなく、風邪によるものだったらしい)だと断ると、更に泣く。 そして噛み付く。あまりの痛さにギャーと叫んで引き剥がすと、二の腕に小さい歯型がくっきりと赤く残っていた。 こ、こいつ……と睨め付けると、構ってくれたと思ったのか、赤ん坊はニヤ〜と笑った。なんかもう脱力。 抱っこしながら縦にしたり横にしたりしながら漸く寝かし付け、洗濯物を干し、私もぐったりと横になった。 しかし1時間後、赤ん坊の泣き声で起こされる。そこからが辛かった。 おしめは濡れていなかったので、取り敢えず抱っこして揺らす。しかし私が座るのすら許さない様子で、立てと泣く。いや私も限界なんですが……。 よっこいしょと立って揺らすと、泣き止んで寝息を立てる。大丈夫かと思ってソファに凭れてうつらうつすると、何故か察知して泣く。この繰り返し、病人にとっては地獄である。 赤ん坊の頼りなさげな白い頸を見て、縊り殺したくなる育児ノイローゼの母親の気持ちが理解出来た。 私はしないけれど。母親じゃないし、数時間後にはこの苦行から解放される事が判っているし。 その後、無事に母が来てくれて、赤ん坊の荷物を用意して、3人で実家に向かった。 私の運転で。病体での長距離ドライブはかなりしんどかったが、母に運転させるよりはマシである。 実家到着後は、赤ん坊の世話を親に任せて、実家までの道程で買った風邪薬を服用して、夜まで眠った。只管眠った。
土曜日。 午前中、赤ん坊を抱っこ紐に括りつけて、近所の床屋に連れて行った。 理容師さんは結構お年を召しているが、赤ん坊の扱いは慣れたもので、手早く散髪してくれた。物凄く手際が良い。 なのに料金は格安。赤ん坊の散髪なんて大人を相手にするより大変なのだから、この2倍ぐらい取ってもいいと思う。 散髪の間、赤ん坊を抱っこしたままなので私まで髪の毛塗れになったが、それは仕方無い。 家に帰ったら落とそうなーと話しかけながら歩いていると、赤ん坊は抱っこ紐の中で首を左右に振り出した。頭の後ろで髪がジョリジョリと音を立てるのが楽しいらしい。 なのに数分後、実家に着くと、赤ん坊は寝ていた。 紐から下ろして横たえても寝ているので、チャンスと思い、濡れたタオルで指先を湿らせてふやかしてから、妹の家から持参した爪切りで爪を切った。赤ん坊の爪を切るのは初めてなので怖いが、忙しい妹に任せていてはいつまでもやらないので仕方無い。 その後で、私も1時間ばかり横になって休んだ。寝てばかりだが、すぐ疲れるので仕方無い。 起きたら大分スッキリした。昼食を済ませたところで赤ん坊が起きたので、髪の毛を落とすべく、お着替え&洗面所で洗髪。 薬をやって離乳食とミルクを与えて、後は父に任せた。久し振りに孫と会えて嬉しいようで、私は寝ていたので知らなかったが、昨夜は父が赤ん坊を風呂に入れてくれたらしい。 そしてやっと、午前中の仕事を終えた妹が迎えに来た。また高速を飛ばして、3人で妹の家に戻る。往復ずっと運転するのはしんどいだろうから、途中までは私が運転したが、昨日よりはずっと楽だった。体調が回復しているのを実感した。 妹宅に着くと、義弟がいた。彼に赤ん坊を手渡すと挨拶もそこそこに、置いていた私の荷物を回収して、妹に車で駅まで送って貰う。 帰りの便にはぎりぎりで間に合った。その後の乗り換えも奇跡的に上手く行き、当初の予定時刻よりは遅くなったが、無事に帰る事が出来た。 しかも最寄の駅には、主人が迎えに来ていてくれたので、「ただいま!ただいま!」と纏わり着くと煩がられ、 「思ったよりも元気だったな」 と言われた。確かに、死にそうだった前日よりはずっと元気である。
以上が、私の1週間であった。 今回は、妹からは多めの謝礼、母からは多めの小遣いを貰った(それって二重取りじゃないの?と主人には言われた)ので、また行ってやってもいいぞという気分になっている。 しかし毎度これでは私の体がもたないので、少し鍛えないと。
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