朝食会場は昨夜と同じレストラン。またもや窓際の良席をゲット出来た。 広い庭園には、沢山の蜻蛉が飛び交っていた。ここでは今日が蜻蛉の日、本格的な秋の始まりのようである。 鳥も来ていて、空中で虫をキャッチする様子を見られた。あちらも朝食らしい。 折角なので朝食後は庭園を散歩してから、宿を後にした。
近くの湖をぐるりと車で回ってみたが、あまりの寂れっぷりに驚愕した。 結婚前に初めて主人に連れて来て貰った時は、夏休みだった事もあって大賑わいだったのに、当時の面影はどこに行ってしまったのだろう。 表通りに面した旅館やホテルが幾つも閉鎖されており、嘗ての観光地を余計寂しくしていた。せめて、朽ちた廃墟だけでも取り壊して自然に還せば、もっとマシになるだろうに。 車を停めて湖畔を歩いていると、どうみても手ぶらな犬連れ観光客がいて、嫌な気分になった。糞はどうするつもりなのだろう。 湖から奥の道に逸れると、階段の上に神社があった。そしてそこから犬の吠え声がする。 おいおい、神社はイヌネコ禁止だろうに……と思って境内に入ってみると、犬は神社の売店の中にいた。 ここが観光地として寂れたのはリーマンショックのせいではなく、この躾のなっていない畜生を敷地内で飼っているために、神の怒りを買ったからではないだろうかと思ってしまった。 もと来た道を戻って、湖畔のボート乗り場で、主人を白鳥ボートに誘った。 腰痛持ちの主人は難色を示したが、だだを捏ねて一緒に漕いで貰う。 しかし湖なのに思いのほか波が高く、横風と横波を受けると恐怖を感じたので、僅か数分で岸に戻る事に。 次は穏やかな日に乗りたいが、その時主人の足腰がまだ大丈夫で、付き合ってくれるかどうか。 土産を買って、昼前に湖を出立した。
今日は高速道路は使わず、下道でのんびりと次の目的地に向かう。 国道沿いの店で昼食を摂ったが、イマイチであった。価格的にも味覚的にもコンビニに遥かに劣っていたが、まあこれも旅ならでは。 寂れた道の駅に寄りながら、ゆるゆると宿を目指した。 前日のホテルは温泉付だったが、本日の宿は温泉宿のような雰囲気なのに、温泉が付いていないタイプであった。 その代わりに外の温泉施設に無料で入れるというが、面倒なので部屋付きの普通の風呂でいいやという事にした。 だって本当に面倒。支度して行ってみて何か忘れた場合、取りに戻ってまた風呂に行くというのを考えたら、果てしなく面倒になってしまった。 本日の夕食もレストランだった。部屋食がいいのに。しかし折角主人が選んで取ってくれた宿なのだから、我が儘イクナイ。 食事は美味しかったが、他の点で微妙であった。 何故、地元食材で揃えてくれないのだろう。 いくら美味しくても、名産品でも、他所の物ではなくて、地元の物を出してくれればいいのに。 だって、うちでいつも食べてるやつだよ、これ……。 そこだけは一寸残念であった。
週末は、主人と旅行。 ……の予定だったのだが、日曜出勤だったのを出発前日になって思い出した主人は、職場中に当たった挙句、最後の1人、独身の同僚と交代して貰って来たらしい。 更に、金曜日の午前中は休めないとの事だったので午後からの出発だったのだが、直前になって、主人が初日の宿を、間違って1週間後の日付で予約していた事が発覚。 その場で宿に電話させて予約を取り直したが、満室だったらどうするつもりだったのか。 こいつ、本当に外で仕事出来ているのか……?と疑問を抱かざるを得ない出来事だった。 まさか痴呆ではあるまいな。
今回は、近場の県をぐるりと回る車の旅。 当初の予定では主人の実家に顔を出すつもりでコースを組んだのだが、昼以降の出発では時間的に厳しいという事で、実家は次の機会にして、そのまま真っ直ぐ宿へ向かう事になった。 本当は、のんびりとあちこち寄りながら旅をしたかったが、そんなに長期の休みを取れない職場なので仕方無い。あーあ、1週間ぐらい休める会社はいいよなー。1箇月も休める外国とかいいよなー。 昼食が素麺だった事もあり、夕方に宿に着いたら途端に腹が減ったので、部屋に荷物を置いたらすぐに食事会場であるレストランに向かった。 時間が早かったお蔭で、美しい庭が一望出来る窓側の良い席が取れた。 美味しい食事を堪能していると、私の携帯電話が鳴った。妹からであった。 中座して電話に出てみると、「お義兄さんの具合どう?」と。そう言えば昨夜、最近主人の体調が良くなかったので、愚痴がてら相談していたのであった。 「あー、今は大丈夫みたいよ。食事中だからまた後でね」 そう言って電話を切ろうとすると、 「今おうちじゃないの? どこ?」 と訊かれたので、正直に答えると、 「はあー、旅行だと!? いい御身分だなあー!」 と言われてしまった……そりゃ身動き取れない子持ちよりはな。 しかも、 「まさか、具合が悪いお義兄さんに『頭が痛い? 気のせいよ、出掛けりゃ治るって。さ、行くわよ!』って言って、強引に連れ出したんじゃ……鬼だな!」 と、あらぬ疑いをかけられる始末。完全に冤罪です。 全力で否定して、電話を切って席に戻り、主人に報告すると、 「流石ドビーちゃん。よくわかってるなー」 と、これまた酷い冤罪。 何故そこまで皆で私を鬼に仕立てたがるのか。
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