昨年末からか、ツイッターでは「MeToo」というハッシュタグを付けてのセクハラ告発の波が全世界に広がっているらしい。 「らしい」というのは私はツイッターのアカウントを持っていないし、「#MeToo」で検索かけたりもしていないので。 ハリウッドでワインスタインとかいうプロデューサーのセクハラを一番最初に告発した人は、とても勇気があるし素晴らしいと思う。 しかし、雨後の筍のように後から「私も私も」というのはどうなのだろう。 とモヤモヤしていたら、カトリーヌ・ドヌーブやブリジッド・バルドーが代弁してくれたではないか。 曰く、MeToo運動は魔女狩り、実名で被害を訴えようという動きについては「清教徒みたいな潔癖さ」、最初に声を上げた人以外は売名目的に過ぎない、思わせ振りな態度でプロデューサーに取り入っといて何を今更、等々。 それよそれ! ドヌーブもバルドーも名前しか知らなかったけれど、私のもやもやを言語化してくれて本当に有り難う!
そう、魔女狩り。 怒りの炎に包まれた被害者達と支援者達が狩ろうとしているのは加害者だけではなく、異論を唱えようとする者もではないだろうか。 一寸した異議すら許されない、そんな雰囲気になっていると私も感じたのだ。 そして現実に、自分の身体を武器にして上の地位を目指す、そういう女も存在するから厄介なのだ。 被害者達が怒りを向けるべきは、反論者ではなくこちらではないだろうか。
海外ではこんな感じで議論が活発になっているが、一方日本では。 集団強姦された被害者は実名告発するどころか、示談金をタンマリせしめてダンマリ(或いはニンマリ)、加害者達は前科も付く事無く野に放たれたのでしたとさ。メデタクナイメデタクナイ 凄いよ、世界に逆行しちゃってるよ! 流石東洋のガラパゴス! 示談金を貰うってのは、事件に関する全ての情報を加害者に売る事で一切を口外出来なくなるって事で、それはもう売春婦と変わらないと思うのだ。 そう言えば一昨年だっけ、高畑息子がホテル従業員に強姦して怪我を負わせた容疑で逮捕され、その後示談が成立して無罪放免になったのは。 あれもまた、世の中金だよなーという空しさが残る話であった。
話を戻そう。 もうずっと昔に受けた被害なのに、まるで先ほどの出来事のように語るのは、それだけ心の傷が大きかったとも言えるが、なんだってそんな話を今まで後生大事に仕舞っていたの?と思ってしまう。 勿論、子供の頃に被害を受けた場合は別だ。大人と違って、子供が自分で自分の身を守るのは難しいし、理解力にも乏しいからだ。 でも、いい歳をした大人が、尻馬に乗らなきゃ被害を実名で告発出来ないのって、みっともないように思う。文句があるならその場で言えばいいのに。 一旦泣き寝入りしたんならそのまま一生寝てろや、とうちの主人は吐き捨てるように言っていたが、私、この人のこういう所大好き!
半月前の話になるが、年末には、主人と一緒に私の実家に行って来た。
往きは大雪で大変だった。 寄り道してゆっくり昼食を取ったり、正月用のお餅を買ったりしていたら、山越えの頃にはとっぷり日が暮れて、結構な地吹雪に。 主人は夜目が利かない上に雪道に慣れていないので、何だか大変そうだなと思って、途中から交代して私が運転したのだが、 「流石、雪国の女……!」と、よくわからない褒め方をされた。 実家には、示し合せた通り、妹家族も来ていた。 翌日は幼馴染宅にお邪魔して、夏休みに引き続き今回も沢山のお下がりを貰って来たのだが、その中のプラレール(の模造品)が偶然にも、甥っ子が「じいちゃんちであそぶの!」と自宅から持って来ていたアンパンマンの線路と同じ規格である事が判明。 風邪で寝込む義弟に代わって、うちの主人が監督する中、甥っ子は線路を繋げて電車をグルグル走らせていた。朝から晩まで……よく飽きないよなあ。 主人は子供の頃ブロック遊びで鳴らした口らしいので(よくわからん)、甥っ子の線路遊びも嫌がらずに付き合ってくれた。 次の朝、甥っ子は私と顔を合わせるなり、おはようの挨拶もせずに開口一番、 「おじさんはー?」と訊いてくる始末。 弟子入りに3年かかってしまったが、すっかり懐いた様子である。 そして何故か主人の言う事は聞く。 この人は怒らないが、逆らっちゃ駄目な人だというのはわかるらしい。
実家には2泊して、大晦日に帰途に着いた。 車に乗り込もうとしたら、起きられるようになった義弟に連れられて見送りに出て来た甥っ子が、何故か私に雪玉を投げ付けて来た。 赤いセーターが白く雪塗れに……カシミアなのに。 仕方ないのでこちらも投げ返す。数分だけ雪合戦をしたら甥っ子も気が済んだようなので、やっと出発である。 しかし道を間違えてしまった。修正をかけて道を曲がり、信号待ちをしていると、昔お世話になった知り合いが車に乗って、目の前を横切って駐車場に入って行った。 思わず後を追って、車を降りて挨拶をした。20年ぶりの再会である。 出発時に甥っ子が私に雪をぶつけたりしなれば、こうして近況を聞く事も無かっただろう。偶然って凄いなと思った。
無事に自宅に戻って、翌日の元旦には、主人の両親が訪ねて来た。 最初はこちらから赴く予定だったが、義母が動けなくなって(更に)散らかった部屋を見られたくないから、という理由であった。 ここで出来た嫁なら自ら乗り込んで掃除の手伝いでもするのだろうが、私がいるのはその対極。 息子である貴方が行って掃除でもしたら?と助言してみたものの、主人が却下したので余所の家庭には口出ししない事にする。 主人の実家の近くに転勤になって半年以上経つが、あれこれ呼びつけられたり口出しされたり、余計な干渉をして来ない人達だというのは、本当に有難い事である。
そして恐ろしい事に、年末年始で増えた体重が戻らぬまま、今に至る。 シオンはお餅食べ過ぎなんだよ!と主人に言われるが、お餅大好きなんだよう。
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