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『人生、一度きりよ』
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仕事が思ったより早く終わったので、急きょ髪を切りに行くことにした。 その美容室はここ6年来の行きつけで、担当もずっと同じ男性。 最近はけっこう会話も弾むようになってきた。6年かかってようやくか!
きょうはコーヒーの話で盛り上がった。 私コーヒー嫌いなんですよと言うと、美容師さん(源氏名を悠さんという)は、いや実は昔は僕も嫌いだったんですけど、本当においしいコーヒーを飲んだら、考えがかわりました、などとのたまう。 苦くてすっぱいのが嫌なんですよね、とわし。 いや、苦くもすっぱくもないんです。むしろ甘いんですよ! とふだんクールな悠さんは熱弁をふるう。
ほほう、そんなに言うんならためしてみっか。 どっかこのへんでおいしい店、あります? あー、そしたら×××がいいです。夜11時まで営業してますよ。 ちらりと時計を見ると、9時半。
で、髪を切ったその足で、行ってみた。 ひとり客が2人いた。古めかしい感じの洋楽が流れていた。 ナポリタンとブレンドください。 私は40代と思しきマスターに注文した。
おいしかった。 苦くもすっぱくもなかった。かおりだけが口の中に広がった。
帰り際、マスターに話しかけた。 コーヒーおいしかったです。また来ます。 マスターが笑った。また、来てください。
サンキュウ、悠さん。
ナイスなひらめき。 それは突然に訪れる。
過去のひらめき経験のなかで、もっとも私が興奮したのは、「サンテ」という言葉がフランス語で「健康」という意味だと知ったときに訪れた。
「サンテ」が「健康」なら、もしかして、もしかして、「ド・ウゥ」って「目の」って意味じゃないのおおおおおー! そのとき書店にいた私は即座に辞書コーナーに赴き『プティ・フランス』をおもむろにめくり、確認したのだった。 果たしてその通りであった。
ああ、参天製薬よ。 こんな感動をありがとう。
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