【ザレゴト・タワゴト・ササメゴト】


2007年11月02日(金) そして、少しずつ違っていく

 先週の土曜に実家から新米が届いて、土鍋で炊いた。ぴかぴかの新米に少しだけ塩を振る。ごはんの味がする。 小さな土鍋は半合炊くのだって精一杯で、しかも盛大に吹いてガス台を酷く汚すのだけれど。

 去年じいちゃんが死んで、この秋ばあちゃんが手術をして、「お父さんが作った最初で最後の米だから」ハハさんはそんなふうに言った。

 ガンダムネタで良く使われるジオングの整備兵がシャアに脚がない事を指摘された時の返しの台詞が
「脚なんぞ飾りです」だったか「あんなの飾りです」だったか
気になって仕方がなかったので調べていて偶然出会った本『麦ふみクーツェ』(いしいしんじ著)の文庫を購入。「おんがく」を通して自分が自分としている事を教えてくれる本。長い長い交響曲の中で、たった数回ならされるために待ち続けるシンバルのように、馬鹿みたいに立ち尽して待ち惚ける僕らにもきっと意味がある。良い事も悪い事もみんな同じ。おおきいとちいさいも距離の問題。 死んだ人の体は冷たくて固いけど、そのひとのたましいは消えない。そこにいない、ただ距離の問題なんだ。 僕らはちかい人やとおい人に沢山沢山囲まれて、自分自身を高らかに打ち鳴らす時を待っている。

 あまいごはんのこうばしいおこげを噛み締めながら。


 < マエ  モクジ  ツギ >


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天瀬紺太(仮) [ 俺 ]
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