- different corner -
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時々、自分の感覚や判断力に自信がなくなることがある。 自分が今「正しい」と言い切ったことは、 実はまったくの間違いなのではないかと不安になる。
学生の時、油絵で抽象画を書いたときのこと。 その絵の中に手を書き入れたのだけど、 先生がこの手の部分はモデルを使って書いたほうが いいと言ってきた。
私は、この絵の世界はまったくの空想の世界だから 本物の手をここに描いたら絵の世界が崩れてしまうと反対した。 しかし、先生はどうしてもモデルを使うべきだといい、 結局いやいやながらその部分はモデルを使って書き直した。
だけど、その絵を見るたびに 手の部分だけ浮いているような気がしてならず、 展示した後は破棄してしまった。 先生や同級生はいい絵だったのに、と残念がっていたけれど、 私にとってはその絵は気持ち悪くてしかたがなかったのだ。
モデルを使ったからこそいい絵だったと 言ってもらえたのかもしれないし、 今見れば私も他の人と同じように あの絵がいい絵に見えるかもしれない。
でも、あの絵はもうないし、 同じものは二度と描けない。 完璧なものや正しいものを いつもぶちこわしているのは 自分なのかもしれない。
私が両親に対して持っている感情や、 周りの人に持っている不信感。 自分が正しいと思っているものや 正しくないと思っているもの。 自分が何かを好きになる理由や、 嫌いになる理由。
それらすべてが、間違っているとしたら?
正解は、どこにいけば手にいれられるのだろうか。
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