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2005年05月15日(日) リサイタル: フォーレ ソナタ1番

今日は私のピアニストのリサイタル。
腕の調子もいまひとつなので、とにかく休む、休む。
演奏会の日はもちろん演奏の日なのだけれど、休む日でもあるな、などとふと思う。腕の故障をおこすまでは、演奏会の当日であろうとなんであろうと基本的に休むということを意識的にしたことはなかったけれど、最近は違う。

もちろん10時前には起きてしまったので、とにかく何もしないをする。ソファの上に寝そべって本を読んだり、ゆっくりと軽食をとったり。

夕方になってようやくウォームアップを始め、ドレスを用意し、演奏会1時間前、約束の7時に会場到着。早速簡単に音出しを始め7時半には自分の控え室へ。

リサイタルのプログラムは:
Beethoven Violin Sonata No.1
Beethoven Piano Sonata Op.110
---intermission---
Faure Five Songs
Faure Violin Sonata No.1

私の出番は最後。9時半近くになると思うと待ち時間が長いな…とふと思う。(笑)結局、会場近くを歩き回ったり、演奏を終えた演奏者と話をしたり、ホールの裏から少しだけ他の演奏を聴いたり、控え室でウォームアップをしたりしながら過ごしていました。

シンガーが歌い始めた頃に舞台袖へ。鏡で自分の姿を確認し、と同時に「できる」という確信を心のなかで強めていく。

いよいよ私の出番。思ったよりもたくさんの聴衆の姿が確認できました。変な緊張もなく、調弦を始める。そこまではよかったけれど、いざ演奏が始まると、彼はいつもよりも速いテンポで弾き始めているのがわかった。うたいあげたいのに、彼はそうする余裕を全くくれない。彼は途中で何度も音を抜いたり、ミスタッチをおこしたり、そのたびに何かをCatch Upするかのようにまたテンポが上がる。聴衆の数も予想以上のもので、リハーサルのときと音響も全く違う。この調子では100パーセントの演奏は無理だな、と思い、だからといって諦めるわけでもなく、またOver Playingをすると余計に崩れていくような気がしたので、弾きすぎずに様子を見ていくことにした。

結局、落ち着くまでに2楽章分かかったように思う。2楽章でも前へ前へ行ってしまう彼に、自分のパートをうたいきれないまま時は流れていった。

3楽章は前日に強く話しあったからか割によいものになったような気がした。そしてそれを弾き終えたときに、聴衆からくすっという笑い声にもにたような反応が聞こえてきた。「今の楽章、可愛かったね、おもしろかったね」そんな反応のようにとれた私はそこで聴衆とのコミュニケーションがとれていることを実感し、このまま落ち着いていこうと思うことができた。

4楽章も彼が音をDropする以外は良い流れがあったように思う。最後の最後でまたかなり前へプッシュされてしまったので、びっくりしたけれど、私は彼を逃さずに一緒に弾ききった。

演奏後、自分が今ひとつ燃焼できなかったFrustrationを抱えていながらも、一方で聴衆からは喝采を受けていた。演奏会終了後、多くの方が私たちに会いに来てくれ、「素晴らしかった」「息を呑んで聞き入ってしまった」「美しかった」などというコメントを頂戴し、とてもありがたく思いました。
(2005/5/22)


けい |MAIL

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