朝、さくらの夢を見て目が覚めた。
さくらはここのところ具合が良くなかった。 皮膚が痒いのか、自分で噛んだり掻きむしって酷く、 病院に連れて行ったけどあまり良くならなかったので、 市販の薬を塗ることにした。 それからだった。
塗った薬を舐めて、中毒を起こしてしまった。 食べ物を受け付けなくなり、無理矢理食べさせても吐くだけだった。 吐くものがなくなった後も、胃液を吐き続けた。
前日、さすがにぐったりして危険な状態だったので 夜に病院に連れて行って注射を何本も打ってきた。 体が冷たかったので、カイロを敷いて寝かせた。
けど、「いやにさくらの夢ばかり見たな」と思った朝、 さくらは動かなくなっていた。 さくらはそこにいるのに、ただただあるだけだった。 これから一緒に生きていこうと思ってたのに もう思い出を作ることはできなかった。
動いていく時間は私だけのものになってしまった。
|