長庚やしづかに払ふ雪ばんば健やかな死もあるだらう冬の草寒椿かの人も病みゐるといふ手の甲の真白く見ゆる柚子湯かなときめきはいつも空より冬木の芽私には、別れたままになっていた生母がいる。会いたいと思っていたわけではないが、父の死によって何かが解けた。病んでいるという知らせが届く。