永久という名の瞬間
2004年02月11日(水) 利益のない契約

(なんでそんなことを口にするの?)
(一体貴方は私に何が言いたいの?)
 日常における他愛もない言葉のキャッチボールでさえ、私は取りこぼして、罪悪感に襲われる。
 思いやりのない私は、どんなに考えたって相手の言いたい事が判らないし、もうこれ以上、そんなことに頭を働かすのは止めたいと思う。

 私はとうに、相手に向かう私の欲求の我儘さと、相手からくる欲求の重さに疲れはてている。
 だからこう、宣言したい気になる。
『私はあんたのことなんて理解したくないから、
 あんたは私のことを理解しないでいいよ』
 と。

 このトレードは、なかなかつりあってはいる。
 でも、何かが間違っているのは明白。
 なぜならそんな契約を結んだところで、救われる人間はいないもの。それこそ、利益のない契約。

 だから私はもう一度振り出しに戻ってしまう。
 貴方のことがわからないと、その苦悩に戻ってしまう。
 そしてまた、言葉の取りこぼしに悲しむ日々が回るだけ。

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photo by 東雲