永久という名の瞬間
2004年04月13日(火) 蔦の絡まないチャペルにて

 私が所属していない方のキャンパスに、足を伸ばしてみた。
 そのキャンパスは去年出来たばかりで新しく、立派だと聴いていたので、一度使ってみたかったのだ。

 まず足を向けた先は、チャペル。
 以前聖歌隊だった私は、前のキャンパスのチャペルには毎日のようにお世話になっていたから、新しいものを一目見たかった。
 案の定、礼拝堂は重い扉が閉じられていて、とても入りにくい雰囲気だったけど、人目をのがれるかのように、ほんのすこしだけドアをあけ、中に滑り込んだ。
 喜ばしいことに、私の怪しい行動は、誰の目にもとがめられなかったみたい。

 礼拝堂の中には、誰も居なかった。
 前のキャンパスの時も、めったに人なんて居なかったから、それは予想したままで、ちょっと嬉しかった。変わらないことは、時々人を喜ばせる。
 ライトが一箇所しかついておらず、それが5枚のステンドグラスを映えさせて。とても厳かで。
 私はそのまま聖歌隊の席に向かい、座った。けれど、なんだか居心地がわるかったので、一般の席に移動。そこでしばらく、ソルジェニーツィンの『イワン・デニーソヴィチの一日』を読んだ。
 途中、おじいちゃんの先生か、もしくは牧師さんが入ってきたが、目で会釈しただけで、私も彼もお互いの好きにしていた。
 だって、そこは神様と『私』との、一対一の空間だもんね。・・・私の中に、キリスト教の神様はいないけど。 

 学校の中で。
 独りになりきれて、独りを咎められなくて、独りで居る事に安心できる場所は、礼拝堂だと気付きました。

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photo by 東雲