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2006年01月15日(日) ■ |
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レターオープナーと捕球 |
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ずっと野球を観ていて気づいたことなのですが、捕球とはボールを捕るとうより、構えたグラブにボールが入るって感じなんですね。そのときの、グラブの開き具合に優しさがあるような気がして、素敵だなと思います。なんていうか、アレに似てます。よちよち歩きの子供を、手を広げて一歩先で待ちかまえ、子供が手の届くところまできたら、ぐっと抱きとめるお父さん。それからの私は、「自分が」「自分が」と思うと、物事がスムーズにいかないのかもしれない。もっと相手の持っている力を生かさないといけないんだなと考えるようになりました。
今年はやっていないのですが、例年この時期は大学で事務のアルバイトをしていました。書類に不備がないかを確認する作業でした。一日に200〜300、ピーク時には500通以上さばいていました。速さと正確さが勝負です。その第一段階が、書類を開封する作業。一度に開封するのが50通。書類の中身を切らないよう、レターオープナーを使っての作業になります。つまり、作業の速く進めるにはこのレターオープナーを使いこなす必要があるのです。封筒の頭を刃と刃の間のある隙間にいれ、横にスライドしてさせていくと、ポテトチップスのCMに出てくるようなきれいな切り口ができます。私はこの仕事を4年連続やったのですが、1年目は慣れるまでに時間がかかりました。うまくスライドさせられず途中で詰まったり、紙が刃に当たらずに空振りしたり…。ですが、次の年にはほとんど流れを止めることなく、スムーズに開封作業を進めることができるようになっていました。実は、これは野球を観ていたおかげなんです。
1年目の私は、“自分で”開封しようと思っていました。ですが、2年目は考え方を変えました。このレターオープナーに開封してもらおうと思ったのです。自分は、切り口に封筒を差し込むだけ。あとは余計な力を入れず封筒に手を添え、作業が終わるのを待つ。すると、レターオープナーに本当に意志があるかのごとく、横にスライドして、見事な切り口を作ってくれました。そうなんです、ボールが野手の構えるグラブの中におさまるを見て、私も野手の構えるグラブになろうと思ったんです。
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