paranoia kiss
    

なぜだか、彼のことばかり思い出す。
そんなきっかけはないのに。

とても晴れた日、
あいかわらず、消音のテレビと音楽と
なくてはならないお酒。
思い立って、お布団を干した。

ふと気が付くと、彼は取り入れたお布団で、
寝息を立てていた。
あまりに心地よかったから。と照れくさそうに
寝ぼけ眼でほほえんだ顔をよく覚えている。

とりたてて、特別なことがあった日でもないのに。

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ケンカして左手にあったラブリングを
線路に捨てられた日。
酔っ払った彼は自分のしたことに気づいて、
必死で探してくれた。
それでも、一緒にいたいんだ。と嬉しい反面、
感情が冷めていくのにも気づいていた。

本当に別れることになった日、
やっと自分の本心を伝えた。
本当に結婚したかった。と。

恋人は今から親に会わせる。と言っていたけど、
もう一人の恋人が借金を返済し終えるのを
これ以上待てなかった。
絶対。という確約などないのだから。

後日、部屋の合鍵を郵送した。
電話で、本気で離れていくのか?と聞かれたけど。
本気だから、返したんだよ。

唯一の自慢だった鍵。
すぐにあの恋人に渡したんだろう。

外見が整ってる人がそれから嫌いになった日。
今でも、連絡はあるけれど。

本当の負け犬はどっちなんだろう。

2007年06月30日(土)



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