chikuの日記...chiku

 

 

もうすこし - 2007年05月02日(水)

*もう少しで全てが終わるよ。
*その声は言った。
*あれからどのくらいたっただろう…



昨日は美術館研修(?)に行ってきました。
…疲れた。
んー…でも面白かったかな。
私、美術館なんてまんまり行かないから色んな企画展とか見れたの良かったなぁ。
時間が無くってゆっくりしてられなかったのだけど…
本来自分のペースでゆっくり作品を眺めたい私としては、ちょっと物足りない部分もあったのですが、そこは集団行動の悲しい性なんで。
最後のジブリ美術館とかは本当にぐったりしてて良く覚えてない死。
マラソンは嫌ですよ。
たくさん歩いたからか、ほぼ競歩状態だったからか、足にマメが出来て痛いです。ぐっすん。
帰りの電車の中ではなんだか盛り上がってめちゃくちゃ笑ったから、「終わりよければ〜」の要領で楽しい一日でしたよ。
もう巡ってこないだろうこんな機会だから…かもしれないけどね。


その昨日から感じてる右目の不調。
右目がぼんやりしてる気がする…
疲れ?



明日から実家に帰ることになってます。
GWの間は多分いないのですみませぬ。
今日はがっつり部屋の掃除をしたいなぁ。










湯船に浸かっている時に思い出すHPLの『冷気』
なんだかとっても印象深いのでちょっとだけ小説チックなものを…













ぴちゃん。
水の滴る音。
ぴちゃん。
断続的に鳴るその音で目が覚める。
わたしは生ぬるい液体に浸かっていた。
記憶が曖昧でぼんやりしている。
タイルとカーテンで囲まれたそこには、蝋燭の灯りがわたしの浸かっている液体を照らしゆらゆらと揺れいていた。
息をするたびに白い息がわたしの口から漏れている。
「ローズさま」
カーテンの向こうから声がした。よく通る男の声。聞き覚えのあるその声にわたしは一瞬安らぎを感じる。これは…安堵だろうか。
シャっとカーテンを開ける音。
「…失礼しました。おやすみ中でしたか。」
「構わない。続けなさい。」
「は。」
男が喋るたびに口から白い息が漏れる。厚手のコートに手袋、その手には数枚の白い紙とふわりとしたタオル。
わたしは現れた声の主を横目で見上げながらさらに深く液体に沈む。
「今日午前、新しい『器』が手に入りました。子宮と卵巣に不具合が見られましたが『不必要な臓器』のため全て摘出済みです。その際小さな傷がついてしまいましたが『器』としての美しさは十分保っています。」
男の声は高くも低くも無く、早くも無ければ遅すぎもせず、わたしの心地よい高さと速度で言葉を紡ぐ。
それはまるで呪文のようにわたしの意識をはっきりとさせてゆく。
「そう…。」
ざばぁと液体を滴らせながら私は立ち上がりバスタブから一歩足を踏み出す。それと同時に男が持っていたタオルをわたしの肩にかける。
男の手が俄かにわたしの左肩に触れると、わたしの左腕はそこからぼとりと糸を引きながら崩れ床に落ちた。
「…失礼しました。」
男は平然と頭を下げるが、わたしも男もそんな事は気はしていない。『いつものこと』だから。
わたしはカーテンの外に既に待機してある車椅子に裸のまま腰掛ける。
「いきましょう。新しい器。早くみたいわ。」
「かしこまりました。ローズさま。」
男が車椅子を押し、わたしは部屋から出て行く。
…新しい『器』を得て、もう一度目覚めるあの部屋を。


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