問題は脚本だったと思うんですよ。
や、のっけからなんだって話なんだけど、あんまり織田が可哀相になってきたので…
確かに、三十郎役は織田でなくてよかったと思うんだけど、リメイク「椿三十郎」に人気がないのは脚本にも問題があると思うんだよね私には。 三船三十郎時代のものをそのまま使うって話でしたもんね。
実際問題、あの頃と今とじゃ随分感じ方も違うし。何より、間が違うと思った。ああいうのを好きな人はいいと思うんだけど一般受けはしないだろうよ、というのが正直な感想。
どのへんの客層を狙ったのか、そこを聞いてみたいような気がする。 主役を織田に据えて、それで現代版椿三十郎を作るって話ならよかったんじゃないかなとは思うんだけど。
痛快っていうほどには心地良くない。
きっと観に行った人の大半はもっと現代的にアレンジされていて、快刀乱麻を断つみたいなのを求めてたんじゃないかと。それでいくと、あれー?って言いたくなるわけだ。
いくら設定が現代に通じるっていってもさ、ノリとテンポは昔のまんまだから。観てない人には「面白そうだけどなあ、コメディぽくて」って言われたけど。そう思って観に行くから失敗するんだきっと。私も同様だけど(笑)
笑いどころは作ってあるけど、笑いにくいんだよ。笑うってほどおかしいわけでもないんだから。笑って欲しいところなんだろうなあという製作者側の意気込みは感じるが。
何でそこでそういう行動に出るんだよ?!とツッコミを入れたくなる場面が多数。そういう話なんだろうけど、メリハリが薄いのかなあ…
ああ、若手の俳優陣の拙い演技力にも原因はあるだろうねえ。奴らがもっとしっかり動けてればまだもうちょっとマシだったんじゃないかという気もしないでもない。若手の子らの右往左往っぷりがそのまま若侍たちに通じてるっていう演出だっていうなら話は別。そういうことなら若手の子らばかりのせいじゃない。
繋がりはおかしいよね。水戸黄門とか暴れん坊将軍とかのがストーリーが単純なだけあって観やすいんじゃない。 何せ落ち着かない。
椿の行動原理は「俺が正しい」ってところかな。 そういうキャラクターなんだとわかっちゃいるが、若侍たちの情けなさっぷりで多少緩和している筈なんだが、それにしても椿自信あり過ぎ。 若侍たちが馬鹿で無鉄砲で考え無しだと気付いている割に配慮足りなさ過ぎ。
和太鼓と古臭い音楽で始まる冒頭は好きなんだけどね。
織田はねー、リメイクってところになのか、三船三十郎になのか、椿三十郎そのものになのか、何だか気負い過ぎな様子に見えて仕様がない。本人は役作りをしてああなったっていうんだろうけど。 奴にプレッシャーはないと思うが、過去の椿三十郎に重きを置き過ぎているような気がしないでもない。いちいちわざとらしい。
わざとらしいといえば睦田母子。あのテンポにはついていけん。 元々テンポが遅い話のところにあの二人のあのテンポが重なって余計に辛い。ああ、メリハリがないんだ…微妙だ…
いい味出していたなあと思えたのは、佐々木蔵之介。 何なんだろうあの人。口に秣つっこまれて佐々蔵哀れとか思ったのに。あの出番の少なさであの確実な存在感。 彼だけは安心して観れたよ!
室戸半兵衛さんはね、切れ者設定なわりに椿を信頼しすぎて墓穴掘った感じ。経験値高そうなのにあっさり悪事暴露しちゃって、キャラクター的にどうなのあれは。馬鹿はちゃんと上司さんたちが担当していたのに。使い方が勿体無い人だなあと思った。
殺陣は意外と頑張ってたかな。最後の室戸との一騎打ちがいちばん怪しかったと思うけどね。対多数なら誤魔化しようがあるからか。
結論。 睦田上代家老役が藤田まことで納得。
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