2001年11月21日(水) |
ドラフト指名選手の将来 |
大相撲九州場所10日目。平幕の大善が横綱武蔵丸を寄り切りで破り、大金星を挙げた。この金星は昭和以降6番目となる年長金星。36歳11ヶ月の大善が起こした波乱だった。
大善は、武蔵丸とはちょうど10年前の九州場所で一緒に新入幕を果たした。そのときは初日に顔を合わせて勝ち名乗りを受けたが、以降の相撲人生は対照的。横綱まで上り詰めた武蔵丸。一方の大善は幕内と十両を6回も往復。今は幕内最年長のベテラン力士である。
新聞に大善のコメントが載っている。 「プロ野球は解雇されたら終わりだけど、相撲は辞めるときは自己申告。気持ちがある限り続けられる」
なるほど。私は新聞を読みながら頷いた。周りが体力の限界を示唆しても、最終的な判断は自分にある。「まだやれる。まだやりたい」と思えば、続けられる。 ゴルフもそうだ。50歳を超えればシニアがあるし、ジャンボ尾崎はシニアでプレーするのを嫌がり、今でも若手に混じってツアーに参加している。
野球とサッカーのように、チームと契約するプロスポーツは、「気持ちがあっても」続けられない。
けれど、ごく一部の選手は違う。 今年、巨人を引退した村田は引退に際し、「こんなに素晴らしい引退セレモニーをしてもらって、野球人としてこれ以上幸せなことはない」と喜びを表した。 村田とともに現役を去った斎藤にしろ、槙原にしろ、彼らは「解雇された」わけではない。自らの意志で、現役に終止符を打った。ともに、「自分の力に限界を感じ」引退を決意した。現役を続行する「気持ち」があれば、まだ続けることはできた。
先日のドラフトで87人の新人選手が指名された。 大善の言葉のように「気持ちがある限り続けられる」偉大な選手は、何人育つのだろうか。 ドラフト1位として騒がれるのは、最初の1、2年だけ。入団した時点から、ドラフト1位も15位も同じプロ野球選手となる。力のあるものだけが生き残り、力のないものは球界を去る。 数年後、87人のうち、どれだけの人数がプロ野球選手として生きているのだろうか。
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