二人の娘達がまだ学生で、一緒に生活していた頃離れに建物を増築した。簡単な台所もつけ小型の冷蔵庫も備えた。やがて娘達は嫁いでいき、我が家は老妻と二人の静かな生活になった。そして外孫も四人になった。
婿殿の勤務の都合で二人の娘は何れも海外で暮らしている。長女の家族が7年振りに日本へ帰国することになった。孫達の転校のことなどもあるので暫くは我が家へ寄宿することになった。そこで離れの建物を掃除して二〜三ケ月提供することにした。備えつけの小型冷蔵庫が使えるかどうか通電してみると電気がつかない。日立の製品であったから、サービスセンターに電話して調べて貰った。殆ど使用していない冷蔵庫であったが、内蔵されているガスが固まってしまって通電しないのだという診断である。修理しようにも13年前の製品であるから部品の在庫がないという。修理するより購入した方が安いとも言われた。
その担当者の勧めで同じ型式のものを購入してきた。ところが、同じ型式の最新のものであるにも関わらず微妙にサイズが大きくなっていて、所定の格納場所に納まらない。かくして折角新調した小型冷蔵庫を返品せざるを得なくなった。
この場所に小型冷蔵庫を設置しようとすれば特注になり高いものになると販売店では言う。
何か騙されたような気がしてならない。そもそも13年前の製品であるとは言え、殆ど使用していない新品同様の冷蔵庫であるにも関わらず、ガスが固まって使用できなくなること自体おかしいと思うし、10年間しか部品は在庫しないという説明も納得しがたい。更に同じ型式の製品の寸法が微妙に異なるというのも合点がいかない。
結局この離れの建物では冷蔵庫はなしで我慢して貰うことにした。冬だからいいようなものの夏だったら大変であった。
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