2003年06月06日(金) |
MESSAGE: Bring Me (雨) |
ほんの少し前まで、アナタの手のヌクモリを 感じていたのに
あんなに強く握り締めていてくれたのに
びしょ濡れのアタシは今、 一人で電車に揺られてる
あの日、この人だ! ってピンときたの
絶対大事にしてくれる
アナタもそれに答えて アタシの手を取ってくれた。
移り行く季節の中で沢山のアナタを見てきた
アナタのあたっかい声、辛い顔 幸せな気持ち
手からすべて伝わってきてた。
今、滴がながれていく。 人ごみの電車のなか、アタシに気を止める人なんていない。
揺れる床にアタシガ映ってる。
■
ここにもか。 毎回、毎回、困ったものだな。
ごつい手に連れられてゆく。
アナタは誰・・・!? アタシをどこへつれていくの?
■
君も一人にされたの?
とまどうアタシに声をかける 見渡せば 沢山の仲間達がいる。
元気だしなよ、あたしなんてもう5回目だヨ
次はどんな人にあうのかしら? それだけが楽しみ。
迎えにきてくれるひとなんていないワ
■
アノコはしなやかで強い骨 スラリと伸びた手足
憂鬱な日を共にしてきた。
大事なんだ。
無事にしてるだろうか。
ゴメン。 ホントウにごめん。 仕事にいきずまってるんだ。
だけど、話を聞いてくれるのはキミだけなんだ。 きみじゃないとダメなんだ。
■
ガチャリ。
明かりがさした。
まぶしい。
いっせいに仲間達がざわめく。
お迎えよ!お迎えよ!お迎えよ!お迎えよ!お迎えよ!お迎えよ!
あたしはココよ! 僕はココだよ!
”すみません。今日のなんですが”
ごつい手とアノ手がゆれてる。
■
ゴトリ。
アタシは勢いあまって転がってしまった。
”アレです!ありました!”
近づいてくる。 そっとアタシを持ち上げるやさしい指、手のひら。
ゆっくりと伝わる
― ゴメンナ。
アタシの感は間違ってなかった。
― いいの。滴を振り払う。
こんなに愛してくれる人間はいない。
だけどアタシはただの雨傘。
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