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風にのって龍が翔ぶ
瑠奈
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2004年01月31日(土)
意識しない美を美として追求する心

先日親しい友人に書の色紙と栞を差し上げたところ、「最近書風が変わってきたのじゃない?」と言われた 彼女には数年前から拙いながらも作品を贈っていたし、展覧会にも来てもらっていたのでここ数年の私の書を一番よく知ってもらっている
 嬉しかった 何年もやっているのだから上手くなるのは当然かもしれないが、書風が変わった、わたしの書になってきた 喜びを隠せないほど嬉しかった 自分でも一皮剥けたかなと感じたことがあったからだ

 条幅(大字かな)を書いていたときのことだ 「ああ、こんな字はもう二度と書けないだろうな」そう思った瞬間があった 自分で書いた字なのにもう二度と書けないというのは変かもしれない 同じような字は書けたとしても同じ字は書けない 雑念がなく無になっていた時に書けてしまった字というのはそうそういつも書けるものではない 同じ字を書こうとしてつい技巧に走ってしまうと綺麗だが魂のぬけたような字になってしまったりする しかし技巧を習得することは書を志す者にとっては大事なことである そしてそれプラスなにかが必要である 

精神的なもの、内面的なもの、自然からの力・・・気の力とでも言うのだろうか 朝の気、昼の気、夜の気、みんな違う気があるとおもう だから気の力が書き手の心に及ぼす力が朝に書いた字と夕刻に書いた字とではきっと違うと思う 朝であっても早朝と正午に近い朝とでは流れている気がまた違うのだろう このことはなにも書に限ったことではないのだろう 技術と精神 その両面が調和されたとき見事な逸品が生まれるのだと信じたい




になはれてゆく梅さえもさかりなる
京の春のきさらぎの空
       大隈言道