ゆらゆら日記...カヅミ

 

 

境内にて - 2001年12月13日(木)

ある変態がいた。その変態はルーズソックスを履き、ミニスカートを纏い、然しそのミニスカートは

短すぎて下に履いているブリーフが見えた。上半身には窮屈で破れそうになっている色褪せた

黄色いTシャツを身に着けていた。胸には「Believe myself!!」と大きくプリントされていた。

かなり近くで子供達の声がする。黄色い変態はその短く刈り上げられた髪を撫でながらそちらの方向へ

ヨタヨタと歩を進めた。


その境内は丘にあり緑は深く古い御堂があった。木造の御堂の前に賽銭箱が置いてあった。そこは

一段高くなっていて降りて少し歩くと前方に鳥居がある。5,6人の子供達はそこに向かって石を

投げて乗せようとしているようだった。黄色い変態はヨタヨタと緑の中から現れ、そのまま子供達の方へ

向かっていった。子供の一人が気づき彼を指差した。皆が一斉にその方向を見た。そこには一人の黄色い

変態がいた。変態は叫んだ。「俺を見ろ、子供達。俺を良く見るんだ。」子供達はぽかんとしたまま

それを見ていた。



人影が鳥居の先にある階段を登ってきた。その人影は様子を見て「やめろ、この変態め。」と言った。

黄色い変態と子供達はそちらを見た。緊迫した空気が境内を覆った。更なる変態が現れたのだ。

更なる変態は白いハイソックスに白いブリーフという軽装だった。散切り頭の髪を振り乱しながら

子供達に進み寄った。散切り変態は黄色い変態から子供達を遮るように立ち「国の宝、子供達に

何をするつもりだったんだ。」と真っ当なことを言った。黄色い変態はしどろもどろに「自分を信じて・・・」

と言って最後には押し黙ってしまった。気まずい沈黙が流れ子供達も苦笑いをし、突然現れた

散切り頭の変態を信じていいものか其々思案していた。御堂が開く音がして皆一様にそちらを見た。

やはり、そこには変態がいた。両手に剥いたバナナを持ち、生まれたままの姿で辛うじて股間には

薄汚れたブリーフを履き、ランドセルを背負っていた。ランドセルを背負っていてもこの変態は

どうみても成人男性だった。ランドセルの中身はバナナでいっぱいで歩くたびにランドセルから零れ落ちている。

バナナの変態はこう言った。「バナナを食え、頼むからバナナを食ってくれ、子供達よ、さぁ」

そして、子供達の方に突進して来た。バナナで子供達に切りかかったのだった。バナナの変態が

動くたびにバナナは落っこちた。散切り変態が止めようとするがそれでも子供達に下に落ちたバナナを

拾い投げつけた。そうするうちに子供達も変態達に向かって石を投げつけていた。散切り変態は抗議を

したが、子供達は聞く耳を持たなかった。


日が沈もうとしている。境内には変態達しかいなかった。子供達は変態達が大人の本気を見せて殴り倒して

階段の下に捨てておいた。変態達は子供達を打ち倒すことで快感を覚え、同時に連帯感も覚えた。

子供達を下に捨てた後、自己紹介をした。黄色い変態は松尾と名乗り散切り変態は馬野と名乗った。

バナナの変態は夕田と名乗った。3人は1週間後に改めて会うことを約束し「警察が来る前に」と

境内を後にした。


翌日にはこの事件は新聞で取り上げられ大問題となった。変態達は各々その事態の大きさに

困惑するどころか興奮していた。



続かない。


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