あたしが、 すごく大昔、 好きだった人で。 『タモツ』ってヤツがいる。
そいつのことを好きと思いながら、 あたしは別に、 付き合っている人(服部)がいて。 タモツと服部は、すごく仲が良くて、 あたしも含めて、他にも何人かいつもつるんでた仲間内がいて、 すごく楽しい毎日だったと思う。 馬鹿騒ぎとか。事件とか。混乱とか。 笑ってるばっかじゃなかったけど、 今思えばすごく、 ただ楽しい毎日だつたように思う。
だけど、 服部に対して持っている「情」も、 タモツに対して感じる「恋」も、 あたしにとっては大切で、 欠かせないもので、 2人に対する罪悪感、 自分が『正しくない』という事実、 そんなものに苛まれて、 胃を痛めていたときもあった。
今、思う。 なんであたしはタモツのことが好きだったんだろう? 「好き」という感情に理由を求めることは馬鹿な行為かもしれないけれど。 だけど思う。 なんであたしはあんな風に、 誰かをあんなにも強く、 好きと思えたんだろう。
そう思って、 昔の日記を読み直した。 あたしはその時なにを考えていたのかな? って。 すごく思った。
7月20日。 あたしって泣き虫だ。 泣くのってやだ。なんか卑怯だ。 泣くことで何かが解決するってわけじゃない。 負けを認めるみたいでやだ。 自分を正当化したくって、でもそれを言葉にできなくって、 焦って混乱してボロボロきちゃうんだけど、 なんでここでこらえられないんだあたし? って思う。 なんでもない、 どうでもいい、 たいしたことじゃない、 そう思おうと思うのに、 勝手に感情が爆発して、 涙になって落ちてくる。 弱いのってやだ。強くなりたい。 すっげー強くて絶対負けない女になりたい。 そんなこと不可能かもだけど、 ただ強くなって、 守れるもんしっかり守りたい。 こんなことに負けてる場合じゃない。
タモツは、 許すことができるのも、それは人間のデカさだ。 って、そう言った。 あたしはまだまだそれはできんよと言って、 だけどやらねばなと思った。 泣いて謝ったあいつらの、どっか心苦しさをちゃんとしなけりゃと思った。 それはけじめだと思った。
あたしはこの日記を書いた時あたり、 すごくシンドイことがあって、 他人に故意に傷つけられて、 凹んでいたのだけれども、 タモツは、凹んでるあたしに、 傷つけた張本人であるヤツらを、 「許せ」 って言った。 すげー重み。 すげー強さ。 その、タモツの言葉が、 今もあたしの中に残ってる。 あたしを傷つけたヤツらは、 それを悔いて謝って、 あたしはでうしてもそれが許せずにいた。 だけど、 タモツはそれを、「許さ」なくちゃいけない。って言った。
あたしは結局、 その時はどうしても「許す」という行為を、 まっとうできなかったのだけれども。
今でも、 何かがあると思う。 自分の気持ちや、 事情よりもまず。 他人の気持ちや、 行動にいたるまでの感情の動き、理由、状況を理解して、 まず「許せ」と。
だけど、 そういう生き方はシンドイな。
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