■ 金曜。定時で仕事を切り上げる。そして、歌人とイラストレーターとのコラボレーション企画である「テノヒラタンカ」のイベントを青山まで見に行く。歌人な友人とその友人に会うことができた。イベントの中で、イラストから連想して各自が短歌を作るというコーナーがあって、僕は可愛い亀の絵からイメージして短歌を一つ詠んだ。読み手というか聞き手がどのような短歌を求めているのかを珍しく強く意識して作ったのに対し、ある程度の反応があったのは一つの成果だった。けれど、短歌ひとつを作るのに20分というのは、時間がかかりすぎだ。もう少し、言葉の瞬発力が欲しい。
■ 短歌のイベントが終わって電車で帰り、自宅の最寄り駅から帰路へと歩み始めたところ、卓球部の後輩が泥酔して路上で寝ていた。彼を介抱する卓球部員はお酒を飲んでいなかったらしいが、介抱の経験が殆どなくて何もできずに戸惑っていた。介抱係の後輩と少し話していると、もう一人の介抱係が買出しから帰って来た。帰って来たばかりの彼はコンビニのビニール袋からスポーツドリンクを取り出し、眠っている後輩に無理やり飲ませようとしていたが、反応は帰ってこなかった。僕は、タクシー代3000円を介抱係に渡し、適当に見守ってからその場を後にした。そして、後輩の泥酔の発端である卓球部の新歓コンパに顔を出した。新入生は3人いた。僕の近くにいる新入生は、生ビールをこれまで中ジョッキで10杯飲んだのでもう限界だと訴えていた。10杯も飲んでいてまだ無事だとは。かつての僕ならばここでも心を鬼にして酒を飲ませていたけれど、嫌がっている奴に酒を飲ませるなんて勿体無いという考えに行き着いた。 翌日に行われる結婚式のスピーチは、この時点で200字程度しか思いついていなかった。
■ 土曜日。出勤日だが、予め休みを取っている。スピーチのセリフを考えるが、いまいち文章にならない。結婚式は、大学時代の卓球部の先輩が主役で、彼は今でも僕が最も親しんでいる先輩だ。兄のような存在の先輩に、公でどのような言葉をかけたらいいのか。原稿が未完のまま出発の電車に乗り、会場に着いてから引き続き文章を練って、ようやく完成した。けど、お酒を飲んでいたせいか、実際にスピーチの出番が回ってきたら原稿を読みながら喋るのが馬鹿馬鹿しくなって、全てアドリブでスピーチした。新郎の先輩には、2次会で一緒に飲んでいたときに「いいスピーチだった。ありがとう」とお礼を言われた。安心した。
■ ほんと、色々な結婚がある。新郎の先輩と話しながら思った。 // |