初めて優美子さんとお会いした時、 精神安定剤のせいでしょうか。。。 目の焦点が合わず、ろれつが回らないのです。 薬草のお茶を何杯か飲むうちに、 やっと、言葉が聞き取れるようになりました。 『何も楽しいことはない。死んでしまいたい』と言う優美子さん。 子供の学校もいや、 夫もいや、自分の兄弟、親もいや、 そして一番いやなのは自分。 買い物がとめられないなんて。 最近は、買ったものを見るだけで落ち込んでしまう。。。 『どこのブランドが好きなの?』 いろいろなことを話しているうちに、心がほぐれてきました。 『じつは、母親をモリで何度も何度も突く夢をみて、 汗びっしょりで目がさめる。。。 それも、同じ夢ばかり何度もみるのです』 なるほど、問題はここだったのです! 優美子さんにお母さんのことを聞くと、 泣きながら話してくれました。 4人兄弟の長女に生まれた優美子さんに お母さんはことのほか厳しく、習い事も、 お母さんが昔やりたくてもやれなかった小唄と三味線。 ピアノやバレーを習いたかったのに。。。 それを言うと、理由もなくひどく怒られた。 洋服は、いつもお母さんの好みのものばかり。 そして、中学、高校、大学はすべて、 自分の希望は無視されて、お母さんが決めた学校。 もちろん仕事も。 お母さんがやりたかった図書館の司書。 つまらない毎日。 そんな時、買い物をすることで初めて、すべてを忘れた。。。 しかし、お金がどうにもならなくなった時、 馬鹿にされながらも、お世話になるしかなかったのが やっぱり母親。 これでまた、頭が上がらなくなってしまった。 その頃、優美子さんに初めて好きな人ができたのです。 夜学に通うまじめな青年。。。 妹達は、何時に帰ろうと文句ひとつ言われないのに、 自分だけは門限8時。。 ひどすぎる。 結婚したいとお母さんに言ったら、激怒して大反対。 理由は、夜学に通う男にまともな人はいないからって。。。 ここまで話して、優美子さんはもう 涙でぐちゃぐちゃです。 結局、お母さんの認める、自分の好きでもない人と結婚して 今なのです。
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