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■ 堕ちて。
酷い頭痛がしていて。 気を抜くと、その場にへたりこんでしまいそうになる。
雨の所為で気温が下がった外で、独り。 ぼんやりと灰色の空を見上げた。 未だ雨は降り止まない。
−基本的に、雨の空気は好きだよ。
あいつの言葉。 顔に容赦なく落ちる雫に眉をひそめる。 段々と服が黒く、重くずしりとのしかかる。 ふつりふつりと、短い糸を結びあわせていくように 記憶が浮かんでくる。
いつだって、笑顔だった。 感情起伏が激しかったけれど、大体は、笑顔だった。 楽観的。 一言で言えばそんな人。 眼鏡の奥の瞳は優しくて。 手を伸ばせばそこにいた。 嫌ってくらい、側にいた。
最後に泣かれたのは、いつだったか。
−大好きだよ、大好き。 −・・・。 −でも、行かなきゃならない。 −わかってる。 −忘れないで。忘れないよ。 −・・・わかってる。 −愛してるよ・・・。世界で一番。 『狂ってしまいそうになるくらいに、世界で一番。』
伝えれば良かった。 あの後自分は何も返せなかった。答えれなかった。 恥ずかしさもあった。 けれど、不安だったのだ。それ以上に。 言えるのならば、どんなにか言いたかったろう。
−愛してる。宇宙で一番。
雨は生暖かい涙と混じって、溢れてくる。 決して雨だけの所為じゃない滲む視界を、無理に見開く。 そうすれば、いつかのように、後ろから抱き締めてくれるかも知れない。 −風邪ひいちゃうよ。 そういって、笑って。 温かな体温を手に入れる。
悲痛な叫びをあげる心臓は、未だ真実を受け入れられず その恋しい体温を探し求める。
もう二度と手に入らない安堵感。
あの時縛り付けてでも離さなければ良かった。 行くな行くなと泣叫んで不様にしがみつけば良かった。 でも、
あんな儚い笑顔を見てしまっては 自分にはもう何も出来ないことなど、百も承知だった。
愛しい人は、あのソラへ。
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イメージはジェースネで。(うわっ) シリアスは切なすぎてこわい。
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2003年01月10日(金)
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