今迄。そしてこれから。



 鈍痛




朝起きて、慌てて目覚ましをとめる。
時計の針に驚いて、僕はばたばたと部屋を出たのだけれど
家の中のしんとした様子にはたと気づいて、そこで初めて
今日が日曜日だったことに思い至る。
なんて馬鹿馬鹿しい。

自分自身に腹を立てながら、テレビをつける。
家族はおきていない。まだ眠っているのだろう。

このぽっかりと空いた時間を有意義に過ごす術を知らない僕は
とりあえず座ってお茶でも飲んでみた。
子供向けの番組がやっている。
僕は子供のころこんな早起きをしたことはなかったのだけれど。

昨日の彼のことを思い出す。
なんだったんだろう。
いきなり泣き出したりして。

頬杖をついていたら、ブラウン管の中で悪者が登場してきていた。
色とりどりの戦士達が、どんどん攻撃をしかける。
失敗だ。
個々の攻撃じゃあ悪の真打には到底敵わない。

僕はどうすることもできなかったから、とりあえず慰めようと
彼の肩に手を置いてなだめてた。
手に触れた彼の肩の儚さに、ぎくりとした。
何でできてるんだろう。
あまり長く触れていると、砂糖菓子みたいに溶けてしまいそうで怖かった。

戦士達はあわただしく集まりだして、合言葉のような呪文のようなものを叫ぶ。
それは一つになるための魔法。
悪を討つために、一丸となるための暗示。

「すきだ」
そう言った唇は花びらみたいに甘かった。
やっぱりあいつは砂糖細工だったんだ。

敵はあっけなく倒される。
酷い爆発音がして、戦士達の勝利を華々しく飾っていた。


彼はどうして泣いたりなんかしてたんだろう。
彼はどうして僕のことを好きだなんて言ったんだろう。


どうして僕は彼にキスなんてしたんだろう。






2005年02月19日(土)
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