せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2004年10月12日(火) 「アル・ムルワッス劇団」 劇場下見

 夜、「アル・ムルワッス劇団」をタイニイアリスに見に行く。
 バグダッドから来日している劇団。
 一部は、歌と踊りで、フォルクローレ風なもの。
 初めに、初めて見る太ったギターのような楽器のソロ。
 これが、津軽三味線のような曲弾きをする。
 演奏している人の、入り込み方もまさに「津軽三味線」だった。
 イラクも日本もアジアなんだなあと思う。
 男性8人と女性2人のダンス、音楽はやはり見慣れない楽器+キーボードの生演奏。
 合間合間にシンドバッドのような若者が登場してマイムで動く。
 歌詞は全部、アラビア語なので、たまに聞こえる地名「バスラ」とかそんなくらいしかわからない。
 古くから伝わる音楽を使っているそうなのだけれど、これがとっても「宴会」っぽくてよかった。
 手拍子のうちかたが、全部「前拍」だったのも、日本の宴会のノリにちかく聞こえる理由かもしれない。
 そのうちに、「ひとつとせ〜」という日本の数え歌のようにも聞こえてきた。
 続く第二部は、パントマイムによるパフォーマンス。
 二人の男がどこかに閉じこめられていて、出られないという状況。
 こちらはちっとも、フォルクローレではなく、とても洗練されている。
 多分にヨーロッパ的。
 イラクは、日本なんかよりずっとヨーロッパに近いんだよなと改めて思う。
 終演後、出演者といっしょにトークがあった。
 いろんな質問に対して、とってもていねいに答えてくれた。
 思ったのは、イラクは、日本なんかよりずっとずっと演劇先進国なんだということ。
 イラクのどんな劇場でも、日本の国際フォーラムやタイニイアリスよりちゃんとしてるそうだ。
 どのくらいの劇団があるのか、国際演劇祭はあるのか、日本に来ての印象は?
 アメリカに占領されて変わったことは?
 イスラム圏では女性の社会進出が難しいと聞いているが、劇団ではどうなのか?
 シンドバッドを演じていた彼が、全部答えてくれた。
 自分たちは演劇をしているのだということをきっちり言っていた。
 戦争があろうとなかろうと自分たちは、演劇を使命だと思ってやっているのだという誇りが見えた。
 イラク全部の代表ではなく、彼らは演劇人なのだということを改めて思う。
 そして、イラクというと、まだまだ発展途上な国なんじゃないかという、見下ろす視線で会話していたことに気づき、恥ずかしかった。
 日本の演劇の歴史は、歌舞伎、能、狂言をのぞけば、たかだか百年。
 それよりずっと前から東西交流の要に位置していた国と日本では、日本の方がずっと後進国だ。
 そのことを忘れているのは、まさにアメリカ的な感覚だよなあとも思う。

 急遽、モリエールの小屋下見に行く。
 22時15分から下見。モリエール集合。
 集まったのは、のぐとまみーといっこうちゃん。良ちゃんは、こないだ見てきたそうだ。
 ソワレ終演後、バラシ後ということで、きれいな空舞台。
 初めての小屋なので、どうしようかとあれこれ考える。
 当初は、いかにもオフィス風のパーテーションを使う予定だったのだけれど、高さが途中までしかないので、やはり黒幕を使おうと決める。
 舞台の高さ、張り出しの大きさなどなど、基本的なことの確認。


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