催眠術…あるいは自らの強い思い込みで誰かのことを好きになったら。 それは本物の「好き」ですか? …何が『嘘』の「好き」ですか? そうやって生まれるものは恋にはなりませんか。
誰かに背中を押されたがっている。
自分の意思ではいつまで経っても此処から動けやしない。
誰かに名前をつけてもらって、 誰かに背中を押されて、 誰かに許して(…赦して…?)もらってからじゃないと。
ヒトノセイニシタイノ?
辛いのは何故なのか。 あの人だけを好きでいて、ずっとそれが続いていて、 その過ぎた日々は決して嘘じゃない。 ホンモノしか詰まってない日々。
ニセモノはホンモノになれますか。 ニセモノはホンモノに勝てますか。 …勝ち負けでは、ないのですか。
恋に執着する自分は嫌いだ。
今は貴方以外があたしの心を揺さぶることも嫌いだ。
本物になれないものは、「恋」になれないのだろうか。 「好き」にはなれないのだろうか。
疑問と不安ばかりが渦巻いて、足が竦む。
いつか叶うなら、そうならあたしはずっとずっと此処にいるのに。 それは決してあり得ないから、だからこんなに苦しい。
貴方への恋から逃げたあたしは、幸せになれますか。
変化を恐れない、強い心が欲しい。
***
「hinaseサンってカレシいないの〜?!」 「え。何、いないよ。何で?」 「絶対いると思ってた!うっわ〜、意外〜」 「いたことないよ〜(笑)」 「またまた〜。それは嘘でしょ(笑)」 「や、ホントだって。あー。っぽいのならひとりいたけど」 「何、その『っぽい』って(笑)」 「カレシ未満ってゆーの?(苦笑)」 「あぁ、そういうのが過去に何人もいたのね。ナルホド〜」 「なっ!(笑)何人もいないよ。ひとりだって。…ひとりだけですー」 「へぇ〜?(笑)…オトコ、切らしたことなさそうなのにね」
何気ない友達との会話。 最後の言葉に驚いた。 そんなこと、言われたことない。
カレシいそうな顔してんのかな、あたし。 それって一体どういう顔?
よく分かんない。
あの人を思い続けていることが、 あたしにそういう顔をさせているのであるとすれば、 あたしのこの恋は決して不幸なものではないような気がする。
どうにもならないこの恋を正当化したいわけではないけれど。
***
怖いの?
変わっていく心が。
哀しいの?
過ぎていく時が。
苦しいの?
この恋が。
何処に行くの?
あたしは。
***
終わることを願っているわけではない。 絶えることを望んでいるわけでもない。
始まりを祈っているだけ。
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