*未完成のお城*

2003年02月28日(金)  焦燥感。

近付き過ぎた距離を責めるように引き離されていく。
ずっとずっと近くにいたから、その反動なのかもしれない。
交差しなかった線が、奇跡のように交わっていたから。

あたしが行けない処へ行こうとしている。

君の目指す場所はいつも明るくて光に満ちている。
あたしは同じ場所から動けずに、何も変わらない平穏の中に居る。

責めているわけではない。

ただ、ただ

純粋に寂しいのだ。

君は飛び立つ人なのだと思う。

「新しさ」を求めて。

常に、新しい輝きを追い求める人なのだと思う。

あたしは逆だろう。
セオリーを愛す。変わらない、平穏を愛す。
冒険はせず、安全な道だけを行く。

君が此処から何処か新しい処へ行くのなら、
また君がいつでも帰って来れるように、戻って来れるように、
あたしはいつまでも同じ場所で待っていよう。

前へ進む君へ
「こっちだよ」と交わりの解けた線の上で手招いて。

だから覚えていて。
忘れないで。

君はいつでも此処へ戻れるのだから。
居心地の悪さなんて、罪悪感なんて、感じないで居てほしい。


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hinase