近付き過ぎた距離を責めるように引き離されていく。 ずっとずっと近くにいたから、その反動なのかもしれない。 交差しなかった線が、奇跡のように交わっていたから。
あたしが行けない処へ行こうとしている。
君の目指す場所はいつも明るくて光に満ちている。 あたしは同じ場所から動けずに、何も変わらない平穏の中に居る。
責めているわけではない。
ただ、ただ
純粋に寂しいのだ。
君は飛び立つ人なのだと思う。
「新しさ」を求めて。
常に、新しい輝きを追い求める人なのだと思う。
あたしは逆だろう。 セオリーを愛す。変わらない、平穏を愛す。 冒険はせず、安全な道だけを行く。
君が此処から何処か新しい処へ行くのなら、 また君がいつでも帰って来れるように、戻って来れるように、 あたしはいつまでも同じ場所で待っていよう。
前へ進む君へ 「こっちだよ」と交わりの解けた線の上で手招いて。
だから覚えていて。 忘れないで。
君はいつでも此処へ戻れるのだから。 居心地の悪さなんて、罪悪感なんて、感じないで居てほしい。
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