辛い、と笑いながら言える自分に驚いた。 きっと母にはことの半分も深刻には伝わっていないだろう。 泣きながら笑う、なんて器用なことも出来るようになったんだよ。 泣き声を誤魔化すのなんて簡単過ぎるよ。
暗い部屋の中でぐらぐら揺れた。 眠れない自分が滑稽で。
あと少ししか残ってないから、早く送って。
それだけを言うために電話したのかな。 でも、いつ聴いても母の声は泣きそうになるほど暖かくてやわらかい。
痛いから眠れないのか 眠れないから痛いのか
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無神経なワイドショーに泣かされる。 見たら辛いって 泣くって 分かってるのに それなのにチャンネルを変えることが出来なくて 結局は泣かされる。
わざわざ抉るようなことしなくてもいいじゃない。
ファンじゃなくても ひとの「死」に触れるのは怖い。 深淵に引き摺り込まれて其処で動けなくなる。
誰があたしを引き上げてくれるの。
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