HIDEの日記
DiaryINDEXpastwill


2003年11月06日(木) メディアの責任

「群像」という雑誌を探しに、図書館へ。こういう文芸誌は本屋よりも図書館の方が見つけやすい。普段は「この手の雑誌読む人おるん?利用率は?」って言うような雑誌を取り揃えている公立図書館に腹が立つが、「自分の金を払ってまで購入したくない」という雑誌を見たい時には便利かも。そしてしっかり、雑誌コーナーにおいてあった。

なになに、「連日60度の」?おいおい、バグダッドで60度行ったっていう話は聞いたことないぞ。ヨルダンの砂漠で45度越えて「あぢぃー!」ってなってた日にバグダッドで「50度」、という話は聞いたことあるが。この時点で、この青年がセンセーショナルな世界に行ってきたヒーローを演じたがっていることが明らか。あとは似たようなことの繰り返し。

日本人はこういう話に弱いから、だまされちゃうんだろうなぁ。これを鵜呑みにしちゃえば、イラクというとこはとにかく大変なとこ、という遠い世界のイメージになるばかり。そこにだって、人は何千年にも渡って生活してきてるんだから。こういう伝え方を手助けしているメディアにも責任があると思う。ちゃんと裏を取れば、「おかしい」と気付くはずなのに。一般の日本人よりもメディアの方が情報も持ってるのに。

昔、朝日新聞の記者と「言論の自由」をめぐって言い争いをしたことがある。「正確な記事」よりも「売れる記事」を書きたがるメディアには検閲が必要、と言ったら、「お前は『言論の自由』の意味を考えたことがあるのかぁ!」と言われてしまった。自由の裏には責任が付きまとっているのだから、その自由を謳歌したいのなら、その自由によって生じる責任も果たしてもらいたいものだ。1回流れてしまった過った情報は、後日3行の訂正記事を出したことで、清算されるとは思えない。1回植え付けられてしまった情報は、訂正記事くらいじゃ、上書きされないし、それを見落としたら、そのまま過った情報を信じ続けてしまうであろう。だからメディアもそれだけの影響力(破壊力?)を持っているとちゃんと理解し、その力の使い方にもっと慎重になって欲しいとつくづく思う。

あとこの青年がもし、イラクにいた時に殺されていたら、、、日本のメディアは大騒ぎしてたであろう。その結果、NGOなどの活動も制限されるし、大使館も事後処理に追われてしまい、日本のイラク復興支援がそれだけ遅れてしまう。今、イラクで1人の日本人が死ぬことは決して一個人の問題でもないと思う。やっぱり日本人一人一人がメディアにだまされないように、もっと賢くならねば、だなぁ。


HIDE |HomePage

My追加