 |
 |
■■■
■■
■ 『海の香り』
この場所を好きになったのは キミに出逢うずっと前だから その理由は別にここでキミに逢えるからじゃない。
慌しい毎日の中で通り過ぎて見落としてしまいそうな ちっちゃなちっちゃな港。 とても優しい風が吹く、この場所。 うっすらと海の香りを運んでくる。 『海の香りじゃなくて潮の香りだろう??』 と言ってキミはかすかに笑った。 『そんな違いにたいした意味なんてないのよ。』 出きる限りのポーカーフェイスで答える。
ぎらぎらと攻撃的な太陽をカラダに浴びる日中。 静かに沈んでゆく夕陽を一人見つめる夕方。 少ない星と工場のライトをぼんやりと見つめる真夜中。 いつだってあたしはこの場所が好きだ。 たとえ隣にキミがいなかったとしても。
お気に入りの缶コーヒー。 奮発して買った300円の煙草。 うっすらと漂う海の香り。 あたしの居心地の良い場所。
キミが『またね。』というのはいつもこの場所で。 キミが『お待たせ。』と言うのもいつもこの場所で。 記憶が頭の中を巡る。 想いがココロの中を巡る。
海の香りがする。 もう隣で訂正を加えるキミはいない。 『ほら、やっぱりそんなことにたいした意味はないのよ。』 ぽつりと、一人呟いた。
月曜日の午後。
2003年09月15日(月)
|
|
 |