私は電車に乗っている
体は疲れており他人との距離感や緊張感を保つ事は難しい
ふと 気づくと自分の世界に没頭している
車内は一列に対面してシートが並び 席はほぼ詰まっている
私は 前の人間の顔や体や持ち物 広告 外の風景 あらゆるものを観察する
人の動き 表情 形 すべてが異なる空気や匂いを噴出し続けている
その中で 面白い空気や匂いを嗅ぎつけると
それから私の中で何かストーリーになって映し出される
それらは なんの危害も加えないし 実際なんの発展性もないのだが ストーリーはどんどん展開され 発展してゆく
私は その中で存在し ありもしない出来事に翻弄される
不安だ とてつもなく不安だ 胸が締め付けられて苦しい
事実 車内では 何も変わらない風景が続いている
私の中だけで その場は さまざまな色に変わっていくのだ
心の中ではかなりの起伏があったにも関わらず
私は3分もしないうちに忘れるのだ
それが あたりまえのことのように
|