2002年05月14日(火) |
爆笑問題の日本原論より。 |
21世紀は始まった。 誰もが子供の頃に描いた21世紀とは、なんでも叶う夢の未来だった。 科学技術と人間の知恵が各段に進歩して、不可能なことが可能になる世界だった。 そして21世紀。 実際に人間は、2つの飛行機で2つの超高層ビルに、それぞれ正確に体当たりできることを証明して見せた。 夢の21世紀は、不可能が無くなった事を知らせる2つの派手な爆音とともに始まった。
ドカーン!! ドカーン!!
双子の飛行機が、双子のビルに突っ込んだ瞬間、我々は自分のまわりを取り囲んでいるのが無数の双子だらけだという事に気がついた。 そして我々にはその双子の見分けがまったくつかないということにも。 我々は、“イスラエル”と “パレスチナ”の見分けがつかなかった。 “ユダヤ教" と“イスラム教"の見分けもつかなかった。 また、“キリスト教”と“イスラム教”の見分けさえもつかなかった。 アメリカでは、ヒゲをはやしたいた無関係な男が、テロリストの仲間とされて、殺された。 人間のDNAの殆どが解読されたいうニュースの流れた21世紀初頭、我々が人を見我分ける唯一の手がかりとしたのは、“ひげを生やしているか、はやしていないか”だった。 我々がそんなことで悩んでいるうちに、アメリカは空爆を始めた。 再び派手な爆音が鳴り響いた。
ドカーン! ドカーン!
そのうち、タリバンから開放された人々が、嬉々としてヒゲを剃っている映像が世界中に流される映像をみて我々は安心してこう思った。
「やっぱり違いはヒゲだったんだ。」
同じ頃、日本にいる我々は、“和牛"と“オーストラリア牛"の見分けがつかなくなって困っていた。 グルメ大国といわれた国の我々は、ラベルを替えられてしまったら、何も見分ける事ができないという事実に呆然とした。
"安全な食品”と“危険な食品" “貧困”と“飽食” “貯金”と“借金” “進歩”と“崩壊”
それらの双子は、瓜二つの顔をして我々の周りを取り囲み、我々は何一つ見分けがつけられずにいる。
爆笑問題 太田光
みょ-にこの文章に考えされられた。 今日この頃。
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